コーカサス 国際関係の十字路
少し前に、廣瀬陽子さんという方が書いたこの本を読んだ。ロシアとグルジア問題の背景をとにかく知りたいと思ったからだ。
もちろん今回の事態は、まずロシアの行為が問われるべきであることはいうまでもない。南米の反米の国が。ロシアを事実上支持したりしているが、それは筋がちがう問題である。主権、独立、領土保全の原則という点もそうだけれど、第一、問題を武力によって解決するこということは、現在の国際社会の準則ではない。
ただ、問題は、なかなか複雑でもある。
ボクは、これまで旧ソ連の民族問題は、恥ずかしい話だけれど、チェチェンの問題ぐらいした勉強したことはなかった。チェチェンは、ロシアないの自治共和国にかかわる問題だけれど、このグルジアの問題は複雑だ。歴史をふり返れば、ソ連内のグルジア支配とそのもとでの、自治共和国への抑圧という問題がある。ソ連という国は、民族をたくみに分断し、その支配に重層的に利用していたようだ。
冒頭に書いた問題が前提だけれど、起きている問題は歴史的に理解することが大事だと痛感させられる。同時に、現在の国際社会のありようがその解決を複雑にしているという面もある。20世紀から21世紀にかけての世界の歴史は、国際的な平和秩序の形成の努力がダイナミックに前進した時代だとは思うけれど、その逆流もある。旧ユーゴをめぐる問題にも課題が多いし、「対テロ戦争」なる行為がそのことを複雑にしている。
もともと歴史がつくりだした課題を、この間の国際社会のなかの逆流が問題を複雑にしているということなのだろうか。
でもなぜロシアは、自らの外交を有利にすすめるという判断を超えて、南オセチアとアブハジアの独立の承認にふみきったのか。もちろん、直接的にはコソボの独立があるのだろうけれど。
こうした問題に、どう向き合っていくのか。もう一度、国際的なルールの到達点を、自分なりにしっかり確認しながら、なにが明らかになっていて、何を解決しなければならないのかについて、ちゃんと考えないといけないという感想ももった。ちょっと、国際社会におこっている問題をいろいろ考えないといけないなあと、いろいろ反省し、考えるきっかけになった一冊である。
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