東京裁判(その1)
いま戸谷由麻さんの書いた『東京裁判――第二次大戦後の法と正義の追求』を読んでいる。とにかく刺激的で、ものすごく面白い本である。とにかく読むことをすすめる一冊だ。
まず、この本の特徴は、表題にあるように、第二次世界大戦後の国際人道法の発展に、この裁判がどのように貢献したかを明らかにする。検察は何を立証しようとしたのか? また戦争をどう考えるのか、20世紀の国際法の発展のなかで、この裁判がニュルンベルグとともに、どのように準備されたのかを丁寧にあきらかにする。そこにあるのは正義という考え方だ。戦犯を事後法の名で裁かないのは、戦争を違法としていた法の正義の在り方からいって正しいのかというのがニュルンベルグの思想だ。
大きな山場は、この東京裁判が戦争犯罪をどう立証したのか。南京、泰緬鉄道、そしてアジア太平洋でくり広げられた戦争犯罪と、その指導者の責任。たしかにこれまで東京裁判を語るとき、その政治的な側面に光があたり、実際に、この裁判で、どんな戦争犯罪が認定され、裁かれたのかということについては多くは語られてこなかった。そこにあるのは、息を飲むような、おそろしいこの戦争での日本軍の行為の実相である。
歴史修正主義の人たちが、東京裁判を忌み嫌い、不当な裁判の名で、この裁判で裁かれたことをすべてなかったことにしようという理由も実はここにあるのだと思う。
絶対におすすめの一冊。
« 決戦前夜 ~“政権攻防”の行方は~ | トップページ | ある意味歴史に残る?所信表明 »
「平和」カテゴリの記事
- File8 追跡“PFAS汚染”(2024.12.02)
- 台湾有事で沖縄「戦域化」 米軍、南西諸島とフィリピンにミサイル部隊 日米、対中国の基本構想が明らかに 攻撃で周辺住民に犠牲の恐れ(2024.11.25)
- 【”死刑宣告”受けアフガンから脱出する一家】(2024.11.09)
- 12月号ができています(2024.11.08)
- 【速報中】アメリカ大統領選挙 トランプ氏 当選確実 ABCテレビ(2024.11.06)
「読書」カテゴリの記事
- 12月号ができています(2024.11.08)
- 各社序盤情勢、自民への反発大きく にじむ既存政党離れ(2024.10.17)
- 11月号ができています(2024.10.08)
- 石破さんのインタビュー本『保守政治家 石破茂』を読み始める(2024.10.02)
- 10月号ができました(2024.09.11)
「政治」カテゴリの記事
- 教職単位、大幅削減を検討 教員確保へ抜本見直し(2024.12.03)
- File8 追跡“PFAS汚染”(2024.12.02)
- 「無理心中」635人の子が犠牲 「児童虐待の最たるもの」低い関心(2024.12.01)
- 学術会議法人化案、会員300人に増員へ 監事らの首相任命案は対立(2024.11.30)
- 石破首相、「103万円の壁」引き上げ表明 所信表明演説(2024.11.29)
「歴史」カテゴリの記事
- 自民、裏金相当額の寄付調整 衆院選大敗でけじめ、7億円程度(2024.11.11)
- 【”死刑宣告”受けアフガンから脱出する一家】(2024.11.09)
- 12月号ができています(2024.11.08)
- 不登校の小中学生、34万人で過去最多 3割超「やる気出ない」文科省(2024.11.01)
- 釧路市戦災記念碑(2024.10.31)
コメント