東京裁判(その1)
いま戸谷由麻さんの書いた『東京裁判――第二次大戦後の法と正義の追求』を読んでいる。とにかく刺激的で、ものすごく面白い本である。とにかく読むことをすすめる一冊だ。
まず、この本の特徴は、表題にあるように、第二次世界大戦後の国際人道法の発展に、この裁判がどのように貢献したかを明らかにする。検察は何を立証しようとしたのか? また戦争をどう考えるのか、20世紀の国際法の発展のなかで、この裁判がニュルンベルグとともに、どのように準備されたのかを丁寧にあきらかにする。そこにあるのは正義という考え方だ。戦犯を事後法の名で裁かないのは、戦争を違法としていた法の正義の在り方からいって正しいのかというのがニュルンベルグの思想だ。
大きな山場は、この東京裁判が戦争犯罪をどう立証したのか。南京、泰緬鉄道、そしてアジア太平洋でくり広げられた戦争犯罪と、その指導者の責任。たしかにこれまで東京裁判を語るとき、その政治的な側面に光があたり、実際に、この裁判で、どんな戦争犯罪が認定され、裁かれたのかということについては多くは語られてこなかった。そこにあるのは、息を飲むような、おそろしいこの戦争での日本軍の行為の実相である。
歴史修正主義の人たちが、東京裁判を忌み嫌い、不当な裁判の名で、この裁判で裁かれたことをすべてなかったことにしようという理由も実はここにあるのだと思う。
絶対におすすめの一冊。
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