戦争への想像力――いのちを語りつぐ若者たち
「戦争体験」を受けつごうとする若い世代の新たな活動が広がっている。本誌に登場する9人はいずれも70~80年代生まれの若者たちだ。「たまたま」出会ってしまった戦争体験者にたいして、60年という時間を越えて、日常生活のただ中で、どうしたら戦争の現実を伝えられるのかと懸命の努力をしている。
若者たちは、もどかしいほど、悩みながらその作業をすすめる。しかし、そこからは、監修者の小森陽一さんが言うように、「他者の心の傷を、どのようにして人として受けとめ、自らの心の傷として引き受けつつ、共に治癒させていくかという方向をめぐる、深い探求の軌跡を、九人の記録から読みとることができる」。私たち大人の世代が、あたりまえのように受けとめていた「体験」に欠落していたものも教えられる。本のタイトルには、その若者たちの思想のようなものが込められている。
自分の生きた言葉で、その思いを語る若者たち。彼らから私たちが学ぶことの多いことを、この本は教えてくれる。
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