果てなき消耗戦 証言記録 レイテ決戦
NHKは、ことしの8・15のNHKスペシャルに、このブログでも取り上げてきた証言シリーズから、レイテのたたかいをもってきた。
昭和19年秋フィリピン中央部レイテ島で、太平洋戦争の一大転換点となる決戦が行われた。戦いに投入されたのは日米両軍合わせて30万人以上。現地住民を含め10万もの命が奪われた。とりわけ日本軍は全兵力の97%にあたる8万人という大きな犠牲を払うことになる。その悲惨な戦場を生き抜いた人々が今回、重い口を開いた。レイテ島を決戦の場とした日本軍は、アメリカ軍が弱体化しているという誤った戦況判断の下に、兵站を軽視した杜撰な作戦を立てていた。そのため一線で戦う兵士たちはアメリカ軍の圧倒的な火力にさらされ、弾薬や食糧の補給もないままに無念の死を遂げていく。間違いに気づいた後も日本軍は作戦を改めず、兵士たちは銃剣を手に敵陣地に突入する「斬り込み」という無謀な戦法を命じられるようになる。一方アメリカ軍も砲撃などを強め、そうした中で多数のレイテの住民が巻きこまれ、命を落としていった。
番組では、日米両軍の元兵士、現地のレイテ住民や対日ゲリラなど、生存者の証言を広範に収集。今もなお戦場の傷の癒えない日米比三国の人々の生々しい証言から、餓死や同士討ちまで起き、徒に多くの人命が失われた過酷なレイテ決戦の実態にせまる。
日本の戦争の愚かで、おぞましく、そして悲しい実態は、このシリーズで余すところなく、明らかにされていると思うので、あらためて書くことはない。兵士の体験した戦争の実相を、ボクらは正面から、全面的に理解し、受けとめ、その体験を受け継がなければならないとつくずく感じた。
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