調査報告 日本軍と阿片
日中戦争のことを日中アヘン戦争とよんだのは、故江口圭一先生だ。第2のアヘン戦争とも言われるように、満州事件以降の日本の支配の大きな柱にアヘンがあったことはよく知られている。ただよく知られているというのは、日中戦争に関心のある人たちのあいだでの話で、一般には、よく知られているわけではない。
昭和12年(1937年)に勃発した日中戦争―。広大な中国で、日本は最大100万もの兵力を投入し、8年に渡って戦争を続けた。武力による戦闘のみならず、物資の争奪戦、ひいては金融・通貨面でも激しい闘いを繰り広げた。
「戦争はどのようにして賄われたのかー」。最新の研究や資料の発掘によって、これまで全貌が明らかにされてこなかった中国戦線の「戦争経済」の様々な側面が浮かび上がっている。その一つとして注目されているのが、当時、金と同様の価値があるとされた阿片(アヘン)である。
19世紀以降、イギリスなど欧州列強は、中国やアジアの国々に阿片を蔓延させ、植民地経営を阿片によって行った。アヘンの国際的規制が強化される中、阿片に“遅れて”乗りだしていった日本。日本の戦争と阿片の関わりは、世界から孤立する大きな要因になっていたことが、国際連盟やアメリカ財務省などの資料によって明らかになってきた。
また、これまで決定的なものに欠けるとされてきた、陸軍関係の資料も次々に見つかっている。軍中央の下で、大量のアヘンを兵器購入に使っていた事実。関東軍の暴走を阿片が支えていた実態。元軍人たちの証言からも、日本軍が阿片と深く関わっていた知られざる実態が明らかになってきた。
番組では、日本と中国の戦争を、経済的側面からひもとき、知られざる戦争の実相に迫る。
有名なアヘン王の里見甫や、その後アヘンの扱いが興亜院(中国大陸での戦線が拡大し占領地域が増えた為、占領地に対する政務・開発事業を統一指揮する為に設けられた。長は総裁で、内閣総理大臣が兼任した)がになったことなのよく描かれている。関東軍がすすめたアヘン政策が、国家ぐるみのものとなっていったのだ。その規模がどのようなもので、また、アメリカなどがどのような関心をもち、どう調査していたのかなどもよくえがかれたドキュメンタリーだった。
番組の最後で、日本軍がアヘンにかかわったことは日本の記憶に残らず、関係した政治家は戦後生きのびたとのべている。それはだれか? 岸がまず視聴者の浮かびあがるだろう。自民党のなかには、満州人脈は根深く息づいている。
ちなみに、大平は興亜院の出身である。福田赳夫は、アヘン販売の舞台となった南京政府の財政顧問だった。
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» 日本軍と阿片 亜細亜解放の真実 あるいは 悪い奴ほどよく眠る [試稿錯誤]
「。。戦前にある日本の名士が中国奥地を旅行した。車窓から山村の寒村に日の丸の旗が翻っているのをみて,「日本の国威がかくも支那の奥地に及んでいるのか」と随喜の涙を流したという話がある。なんぞ知らん、それがアヘンの商標であることを知ったら、かれはなんといって涙を流したであろうか。」 江口圭一『日中アヘン戦争』(岩波新書、1988年) 「日中戦争当時、旧日本軍が中国東北部の旧満州国でアヘンの生産と販売を独占した上、治療した中毒患者の中国人を炭坑現場などで労働者として動員する計画を進めていたことが... [続きを読む]
» 日本軍と阿片・NHKスペシャル「調査報告 日本軍と阿片」8月17日放送(8月30日再放送)に質問状を郵送・支那事変以前の支那のアヘン実態や日本の台湾でのアヘン撲滅実績を隠蔽した狡猾で悪質な印象操作 [正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現]
font size=5,color=blue8月30日、8月17日放送のNHKスペシャル「調査報告 日本軍と阿片」の再放送を見た。
かなり狡猾な印象操作なのでツッコミ難かったが、NHKは支那事変以前の支那におけるアヘンの実態や日本が台湾でアヘンを撲滅させた実績などを隠蔽しており、NHKによる日本を貶めるための悪質な印象操作と認められたので、まずは郵便にて質問状を送った。/font
font size=5〒150-..... [続きを読む]
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NHKらしい気配りに満ちた番組でした。
投稿: 古井戸 | 2008/08/21 08:19
NHKは支那事変以前の支那におけるアヘンの実態や、日本が台湾でアヘンを撲滅させた実績などを隠蔽しています。
NHKによる日本を貶めるための悪質な印象操作と認められたので、まずは郵便にて質問状を送りました。
投稿: deliciousicecoffee | 2008/09/04 00:51