ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う
今日は、朝から、職場の人たちとの昼食会のため、少し遠出。昼すぎには、帰ってきて職場で、仕事…。
さて、この間、若者に関する本を立て続けに2冊読みました。それぞれなかなか面白かったです。その1冊が、/小林美希さんの『ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う』です。エコノミストで、「娘・息子の悲惨な職場」にとりくんでいた彼女が、フリーになってとりくんだ労作。
彼女自身、「アンフェアな立場に置かれても、現状に甘んじないで自分の人生を掴み取ろうと必死になっている同世代の姿を書かずにはいられなくなる」と書いているけれど、それが彼女の良いところでもあれば、弱点もである。どうしても社会の構造への迫りが弱い感じは否めないけれど。経済の論理、競争の論理に妥協的と言えば妥協的でもあるんだろうけれど。
でも、この間の、若者の問題にとりくんだものの多くは、派遣や非正規の問題が多い。中野麻美さんや熊沢誠さんなどが、非正規の問題と一体に正規の無法な働かされ方があることを指摘してきたけれど、その実態にせまったルポはせいぜい名ばかり管理職や過労死というテーマに限られている。
今回のルポは、その実態に真正面からとりくんでいる。「労働無法地帯」――そのことばが、もっともぴったりくるような現状が広がっている。数年前、首都圏青年ユニオンの専従をしている人から、いまの日本の若者の働かされ方は、19世紀の資本主義という言葉を聞いたことがあるが、どこまでも地獄のよう無法が広がる。ほんとうに、これで、日本社会が、経済が豊かだと言えるのか、持続することができるのか――
あとがきの言葉は、いまの日本の姿を言い表している。「今こそ、労働と経済の原点に立ち戻り、労働者の尊厳を取り戻さなければ企業の持続的な発展はあり得ない。安定した雇用が守られるために一番必要なのは安定した経済成長だ。その成長を助け、企業の利益を生み出すのは、あくまでひとりひとりの労働なのだ」。
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ルポ“正社員”の若者たち―就職氷河期世代を追う作者: 小林 美希出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/06メディア: 単行本 民主党政権が製造業派遣を本当に禁止するのかどうかは知らないが、派遣社員に対する雇用の不安定さはマスコミによるヒステリックな報道もあり、理解が進んでいる。 しかし、正社員だから良かったね、とはならないのが問題である。 正社員はハードワークを安い賃金で強いられ、心身を蝕まれてゆく。体をこわすことが多いこともあり、若者に限れば、ある意味派遣社員よりも問題が多い状況だ... [続きを読む]
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