新聞と戦争
とにかく分厚い本なので、読み切るまでに、ずいぶん時間がかかってしまった次第。やっとここさ、読み終えることができた。
ことしのJCJ賞受賞作で、すこぶる評価が高い。井上ひさしさんなどは大絶賛だ。たしかに、当時の関係者を丁寧に、ひろく取材し、これまで知られていなかった問題などもふくめ、当時の記者や関係者が、何をどう考えていたのかをうまく再現している。ものすごい労作だと思う。骨の事実以外はボクも圧倒的に知らないことばかりだった。中国戦線に送られた記者、航空機と新聞社、ソウル支局、朝日につくられた軍需工場、そして何よりも社論の転機になった、「満州事件」にかかわる朝日の実態。よくここまで調べたとは思う。
でも、ボクは、この本を読んでいて、ものすごく気持ち悪かった。なぜか。あまりにも客観的に書いているというか、傍観者というか。もちろん、問題の所在は記者のありようだとか、個人の問題に解消することができない。でも、問題は、朝日として、何をどう教訓としてつかんでいるのか。
本として、そんな苦悩だとか、葛藤とか、血肉化しようとか、そんなことがもう一つ伝わってこない気がするのだ。そんな感想をもつのはボクぐらいなのだろうか。
たぶん、新聞で連載していたときに読んでいた人は少なくないとは思うのだけれど、どんな感想をもったのだろうか。
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