権利としてのキャリア教育
昨年に出た本だけれど、まだ、読んでいなかった。特に理由はないけれど、論文はいくつか読んでいて、何となく、書いてある中身は想像してしまって…。手堅いだよね彼の書くのはねえ。
でも、今度、読んでみて、よくまとまった一冊になって面白かった。「第1章 子どもと若者の進路をめぐる状況」では、「学校から仕事への移行」プロセスの変容、新規学卒就職の縮小と解体、「おとなへの移行」の困難などを明らかにし、さらにそれが若者・子どもたちの世界でどんな変化をつくりだしているかを明らかにする。「第2章 なぜキャリア教育が求められるのか」では、そもそもキャリア教育というものは何であって、どのように生み出されたのか、なぜ日本の学校にはキャリア教育が必要なのかを明らかにする。「第3章 日本におけるキャリア教育政策の展開」では、日本のおけるキャリア教育がどのように展開されているのか、とりわけ、昨今の若年雇用対策としてのキャリア教育の展開を紹介、「第4章 『政策としてのキャリア教育』の批判的検討」で、この間の「若者自立・挑戦プラン」の問題点を明らかにし、教育政策として展開されているキャリア教育の問題点を検証する。そして。「第5章 『権利としてのキャリア教育』への創造へ」で、保障されるべきキャリア教育の内実を考える。
批判や提案は、基本的にうなづけるものばかり。個人的は、もっと、強い調子の議論や、大胆な提起もあっていいのではとは思うけれど。若者論とし、読んでも面白かったし、同時に、教育課程を考えるうえでも大事だと思った。学習指導要領の問題を、学校という視点から考えたとき、もっと、学校が、どのような力を子どもたちにつけていくのか、どのような育ちを保障するのかということをもっと議論されるべきだと思う。しかし、実際には、子どもたちが社会に出てどんな力がというキャリア教育の視点や、具体的に特別な教育的ニーズにどう応えていくのかというような視点での議論はあまりなされていないとつくづく感じた次第。
« 視点 2008 | トップページ | 「教科書ネット」10周年記念学習会 »
「教育」カテゴリの記事
- 標準授業時数は小学校で年間875時間に 文科省案を批判(2025.05.15)
- 体験談を積み重ねて見いだした「軍隊は住民を守らない」 平和教育の専門家、西田氏の「謝罪」による沖縄ヘイトを危惧(2025.05.10)
- 自民・西田氏の「ひめゆり歴史書き換え」発言、県議会が抗議へ 自民県連の動向注目 沖縄(2025.05.06)
- 戦犯死刑囚 スガモプリズンの日々(2025.04.26)
- あえぐ地方大、探る活路 県唯一の法学部、単科大募集停止(2025.04.23)
「読書」カテゴリの記事
- 6月号ができています(2025.05.11)
- 沖縄県民の戦場動員は行政にも責任 関東学院大名誉教授の林博史さん 4月17日発刊の新著で網羅的に解説(2025.04.17)
- 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(2025.03.11)
- 絵本作家のいわむらかずおさんが逝去 フジテレビ労組、組合員が急増 専務が労組とのやり取りで辞意表明(2025.01.23)
- いのち・人権・平和、 響きあう想いをことばにのせて 落合恵子 × 藤井克徳(2025.01.22)
「政治」カテゴリの記事
- 沖縄・玉城デニー知事、県平和祈念資料館の内容変更を否定 参政党県連の「知事によって左右」発言を受け(2025.05.16)
- 標準授業時数は小学校で年間875時間に 文科省案を批判(2025.05.15)
- 自民、参院選公約に「消費減税」盛り込まず 財政重視をアピール(2025.05.14)
- 「日本軍は県民を殺していない」 沖縄戦を巡り参政党・神谷代表 自民・西田氏の発言に同調 青森で街頭演説(2025.05.13)
- 旧日本軍の元従軍慰安婦が死去、生存者は6人に…韓国政府「残された被害者の名誉回復に尽力する」(2025.05.12)
コメント