権利としてのキャリア教育
昨年に出た本だけれど、まだ、読んでいなかった。特に理由はないけれど、論文はいくつか読んでいて、何となく、書いてある中身は想像してしまって…。手堅いだよね彼の書くのはねえ。
でも、今度、読んでみて、よくまとまった一冊になって面白かった。「第1章 子どもと若者の進路をめぐる状況」では、「学校から仕事への移行」プロセスの変容、新規学卒就職の縮小と解体、「おとなへの移行」の困難などを明らかにし、さらにそれが若者・子どもたちの世界でどんな変化をつくりだしているかを明らかにする。「第2章 なぜキャリア教育が求められるのか」では、そもそもキャリア教育というものは何であって、どのように生み出されたのか、なぜ日本の学校にはキャリア教育が必要なのかを明らかにする。「第3章 日本におけるキャリア教育政策の展開」では、日本のおけるキャリア教育がどのように展開されているのか、とりわけ、昨今の若年雇用対策としてのキャリア教育の展開を紹介、「第4章 『政策としてのキャリア教育』の批判的検討」で、この間の「若者自立・挑戦プラン」の問題点を明らかにし、教育政策として展開されているキャリア教育の問題点を検証する。そして。「第5章 『権利としてのキャリア教育』への創造へ」で、保障されるべきキャリア教育の内実を考える。
批判や提案は、基本的にうなづけるものばかり。個人的は、もっと、強い調子の議論や、大胆な提起もあっていいのではとは思うけれど。若者論とし、読んでも面白かったし、同時に、教育課程を考えるうえでも大事だと思った。学習指導要領の問題を、学校という視点から考えたとき、もっと、学校が、どのような力を子どもたちにつけていくのか、どのような育ちを保障するのかということをもっと議論されるべきだと思う。しかし、実際には、子どもたちが社会に出てどんな力がというキャリア教育の視点や、具体的に特別な教育的ニーズにどう応えていくのかというような視点での議論はあまりなされていないとつくづく感じた次第。
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