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2008/05/26

財務省の「反論書」なるもの

 いま、政治の世界はこれまでとちょっと様相を異にする騒がしさがある。今日なども、骨太2006が決めている、社会保障費の毎年の2200億円の削減枠をめぐって、自民党の一方の部分からその撤廃が強く主張され、一方の側がそれに反論するという事態。この間、派遣労働の問題をめぐっても、厚生労働省と財政経済諮問会議・規制改革会議がはげしくやりあったり。とにかく、政権党の内部で、かなり激しい議論がおこなわれている。そのもっともの典型が、財務省と文部科学省の間の、教育予算をめぐる文書合戦だ。もともと、文部科学省が教育予算のい増額を、こんど閣議決定する教育振興基本計画で盛り込もうとしたが、財務省の反撃にあって、中教審答申の段階では、数値目標を出さなかった。ところが、一部の自民党の政治家さんたちの強烈な後押しがあって、数値目標化をすすめようとしている。その動きに対して、財務省主計局文部科学係なるところがつくったのが、いま話題になっている「教育予算をめぐる議論について~事実に基づいた教育政策のために~」というものすごい文章。

・国民の関心は、予算額や教員数・給与といった「投入量」ではなく、教育による「成果」ではないのか。
・教育振興基本計画は、教育によりどのような子供を育てるのか(学力標準水準や規範意識をどの程度向上させるのか)といった「成果」指標で目標設定すべき。投入量は目標足り得ない)
 「投入量」が目的化すると教育の改善が望めず、「成果」指標が不明確だと評価・検証も不能。
・課題は、最小の投資で最大の成果を挙げる予算の使い方。
 ―そもそもわが国の教育投資は主要先進国と遜色のない水準。
 ―教育予算は「教員」予算。「教員」予算の充実が「成果」を保証するものではない。
 ―教員数は主要先進国と遜色なく、教員給与も他の職種や主要先進国平均よりも高い。
 ―新学習指導要領で増加する授業時間数の増(小学校5.2%、中学校3.6%)は、現場では既に織り込み済み。教員増の必要性の根拠にならない。
・むしろ、教育の質を問うていくことが必要ではないか。

 という具合に31Pもつづく。細かい内容の批判は、専門家に任せるとして。
 大事なことは2つあると思う。一つは、これは昨年の財政審の議論と共通しているけれど、数字だけをこねくり回しているが、まったく教育の現実をふまえない暴論のオンパレードという点。たとえば教員の労働時間は1966年とかわらないとかいうデータを出しているけれど、変わらなければ、改善しないていいのか?という問題設定はいっさいにない。
 もう1つは、だからといって、文部科学省のほうが国民の味方なのかといえば、必ずしもそうではない。文部科学省が出す基本計画の案なるものの実際の中身は、かなりひどい教育「改革」が綴られている。
 結局、反動的な教育「改革」をすすめる、財界の求めるエリートづくりのための教育をすすめるにはお金が必要で、そのお金の使い方をめぐる争いに過ぎないという面が強い。ただ、財政赤字があるのは事実なのだから、いまの政治の枠組みを問わないままでは、こういう争いした出てこない。つまり、ゆきづまりのあらわれにほかならない。

 ただ、財務省が悪役になっているようにも見えるのだけれど、案外、財務省はメリットを感じて、こんなことをやっているのかもしれない。つまり論争がおこればおこるほど、増税への誘導、増税やむなしの政治的雰囲気をつくれうというのがねらいなのだろうか。
 2重3重にだまされないで、国民の目線に立って、この議論の行く末を見ていく必要があると思うのだけれど。

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