マイ・ファーザー 死の天使
日本では、そんなに話題になったわけではない。何とかく、引っかかっていて、いつか見たいと思っていたんだけれど、たまたま借りることができたので、見た映画。今日、仕事で名古屋に向かう新幹線のなかで、ノートパソコンで見る。
マイ・ファーザーとは、ヨーゼフ・メンゲレのこと(ただし、映画のなかでは、明らかにそういう人物設定になっているが、明示はされていない)。そうナチス親衛隊の将校で、アウシュヴィッツにおいて、人体実験の選別を行った医師の1人だ。囚人に実験を繰り返し、「死の天使」と恐れた。戦後、ドイツから南米へ逃亡しブラジルで海水浴中に心臓発作を起こし死亡したという(DNA鑑定で本人だと確認されたという)。
映画は、ペーター・シュナイダー著「Vati」(父)の原作をエジディオ・エローニコが監督したイタリア・ブラジル・ハンガリーの合作映画。実在の息子がメンゲレに会いにいったさいの葛藤を描いている。その息子の葛藤がすざまじい。メンゲレ役のつい最近亡くなったチャールトン・ヘストンの狂気ただよう演技が凄い。
この息子の葛藤には、戦後のドイツの葛藤が、重ね合わせられているのかもしれない。何となくそう思う。罪への罪責と当時の行為への理解への葛藤…。それは、日本がいまだ経験していない葛藤でもあるような気がする。同じ罪はある。たとえば、中国での人体実験etc。
こんな映画を見ると、日本の映画って、本当の甘いなあって、つくずく感じる。
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