名ばかり管理職
先日、NHKスペシャルでやっていた「名ばかり管理職」を少し、遅れて見た。
十分な権限や裁量もないのに管理職として扱われ、残業手当も支給されないまま過酷な長時間労働を強いられる“名ばかり管理職”。
入社9か月で管理職にされ24時間営業のコンビニ店を任された20代の男性は、人手不足のなか4日で80時間の長時間労働を迫られた。背景には、出店や価格をめぐる激しい競争の中、正社員の数は最小限にとどめその人件費も抑えたいという企業の思惑があるとされる。
法律が定める管理職の条件は「経営者と一体的な立場」「労働時間を管理されない」「ふさわしい待遇」の3つ。マクドナルドの店長は管理職かどうかが争われた裁判で、東京地裁は「店長は3条件を満たす管理職にはあたらない」と判断。同じように店長を管理職としてきたチェーンストア業界に衝撃が走った。労基署による摘発も相次いでいる。…
血を滴らせながら、人間を食らう資本の姿をまざまざと告発はしている。
同時に、番組では後半で、「3条件や判決に違和感を持つ企業は少なくない。現実の社会では管理職の概念はより広く解釈され、社員の『誇り』や『やりがい』にもつながってきたからだ」と指摘する。日本の労務管理を歴史的に振り返ったとき、強いられた「自発性」というべき「やりがいの強制」というものがある。職能給制度などともむすびついているとも言えるかもしれないし、日本型の企業社会のなかで展開してきたQCサークルだとか、その後の成果主義などとも固くむすびついているともたぶん言える。企業社会が「収縮」したもとでも、この「やりがい」による「搾取」が、新しい展開を見せているとも言えるだろう。この前、NHKでやっていたEBOなどのもとでも、企業の活動なども少し、そのことを感じる。
日本では、働くものの人権というものが、十分に自覚されてこなかったし、そのことを自覚したたたかいが十分なされてこなかった。それだけに、これはこれで、しっかりした分析が必要なテーマでもあるような気がする。
非正規の問題、派遣労働の問題とメダルの裏と表の関係とも言える「名ばかり管理職」の問題は、より深い分析と議論が必要だと痛感した。(番組は、このつっこみが弱かった)。
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