学ぶ はたらく つながる
サブタイトルに「格差社会に立ち向かう若者たちへ」とある。とくに近年、研究と運動の分野で深められた問題が、多角的に論じられている。第一章で、就職の困難と雇用の不安定化がとりあげられているが、戸室さんの派遣の現場での参与観察をはじめ、現在の若者の働かされた方が、いかにモノのように使い切りの働かされ方をされ、その結果暴力的な抑圧が支配するかが明らかにされる。それは正社員の現場でも同じである。
2章では、そうした若者を人間扱いしない労働の現場に対応するように、若者の自立や成長に高校教育が対応するようになっているのかを、その課題を浮き彫りにする実践の紹介とあわせて、問いかける。3章では、自立を支援する地域のとりくみを外国の事例もあわせて紹介する。
ひきこもりの青年の就労支援にとりくむ中小企業の経営者の次の言葉が印象に残った。
「中小企業も単純労働の集合で成り立っている会社はない。かなり、社員1人ひとりの自立と独自判断を求められる場面が仕事にあり、つきっきりで指導できる環境は、ほとんどない。逆に言うと、そんな日本社会だから、仕事で精神的にまいったり、傷ついてしまうのだと思う。ゆっくり時間をかけて仕上げる仕事は、なかなか見つからない。常に短時間で、品質の良いものを求められ、成績を追求される。大企業の下請けの場合は、この傾向が一掃強くなる。業務指示さえ十分ではないのに、自分で判断することを求められる。判断が遅い、反応がないと見られると、仕事から排除されるのである」
若者の人間的な成長に共感したり、支えたりしない政治や経済システムをどう変えるのか。それは、日本で暮らす人が幸せにある道でもある。
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