思いやり予算も期限切れ
石油の暫定税率や道路特定財源などに話題が集中しているが、実は、この年度末に、かなり画期的と言えることが起きている。
思いやり予算も期限切れ 藪中氏、早期承認訴え(中日新聞)在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)は31日で現行特別協定の期限が切れ、4月1日から予算執行の根拠がない「空白期間」となる。この間、米側が米軍基地の光熱水料などを立て替える。政府は4月中旬までに新協定案の国会承認にこぎ着け「日米関係への影響を最小限にとどめたい」(外務省幹部)考えだ。
…与野党は2日の衆院外務委員会で新協定案を採決することで既に合意。与党側は3日にも衆院本会議で可決し、野党が多数を占める参院に送る方針だが、民主党は依然対応を決めていない。新協定案は憲法の規定で衆院議決が優先されるものの、参院での審議が長引けば国会承認が5月にずれ込む可能性がある。
思いやり予算とは、地位協定にはない米軍のための予算支出で、いまから30年、当時の金丸信防衛庁長官が「日本の安全を守ってくれる在日米軍に思いやりの気持ちを持とう」と、基地従業員の労務費などを支出したのが始まりだ。日本がいかにアメリカの軍事費の肩代わりをしているかということの象徴でもあると思うが、こうした、外交の常識をも逸脱したような支出は、たぶん沖縄返還の際の支出あたりから拡大していったのだと思う。
ほぼ、アメリカの注文通りというか、アメリカの都合のいいように支出されていたこの予算が、今日で一端切れることになる。これも昨年の参院選挙の結果がつくりだしたものであるわけだけれど、これまで、日本の国会が、唯々諾々とアメリカの都合にあわせていたなかで、画期的な歴史的事件だとも言えるかもしれない。民主党のなかにも、いろいろな議論が存在していて、これほどもまでの対米支出には、疑問の声もあるようだ。最終的な態度はわからないけれど、単純に、通さなかったことは、やはり一つの変化の現れでもあるのだと思う。もちろん、今後の展開はわからないし、最終的には、参院で否決されても、条約は衆院が優先されるので、新しい思いやり予算のための特別協定は成立するのけれど、問題は、貴重な日本政治の経験として未来志向でうけとめたいとは思う。
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