新安保体制下の日米関係
佐々木隆爾先生には、若い頃に少しお世話になったことがある。そんな先生が昨年出したこの本を、本屋で見つけて読んでみた。
「六〇年安保闘争」という言葉も、今ではすっかり昔語りとなりました。あの激しかった運動の指導者や体験者も多くは世を去り、若造の一人としてこわごわデモに加わった著者も、気づいてみれば七〇歳を超えています。あれから間もなく半世紀。この間に多くの事件が起こり、世の中はおそろしく変化しましたが、あの年に結ばれた日米安保条約(「新安保条約」)は一字一句も変えられないまま、今も生き続けています。歴史の研究を志したばかりのころに安保条約改定という大事件に遭遇した一人の若者が、条文は変わらないのにつぎつぎと姿を変えていく新安保体制という不思議な生き物を、歴史家として、また同時代人として把握しなおし、その変化の様相を描き、後世に語り伝えたいと書き上げたのが本書です。
これが先生の言葉です。昨日、前田哲男さんの『自衛隊』を紹介したけれど、この日米の一体化の道は、何も90年代以降に突然すすんだわけではない。安保条約の締結、自衛隊の創設から新安保の締結、沖縄返還協定から、ポストベトナム戦争の時代へという流れの中で、形成・発展してきた日米同盟の帰結としてある。とくに、沖縄返還というものが、日米関係のなかでどんな意味をもっていたのかというのに非常に興味をもたされた。アメリカ軍の経費を過大に負担する異様な関係の原型はここにあるということか(もちろんその前史もありますが)。隷属的な日米関係――やはり、歴史は学ばなければなりません。
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