沖縄・米軍基地の素顔
沖縄にいる海兵隊とはどういう軍隊なのか? なぜ沖縄の海兵隊員による事件がこうもくり返されるのか。という問題意識で、この本を読んでみた。もちろん、この本は、9・11事件の前に書かれているものだ。でも、その時期は、在沖米軍では、95年の少女暴行事件を受け、よき隣人政策というものがとられていて、その一環としてここまで、基地が公開されたのだと思う。その現代版を知りたいところだけれど、実際には、沖縄の基地は9・11事件以降かなり秘密主義が採られるようになっていた、それは望めないことなのだと思う。ただ、RMAと呼ばれる軍事革命は、海兵隊ではいち早くとりくまれていて、現代の軍の基本的な特徴は、この本が取材した段階と大きくは変わっていないのではないかと推測できる。
さて、あらためて読んでみて(実際の読了はあと少し)、驚かされるのは、即応戦力といわれる在沖の海兵隊だけれど、その内容のすごさと、規模の大きさである。どのように、内容がすごいのかということをよく現しているのが、沖縄で日常的におこなわれている実践的な訓練である。ジャングル訓練、都市型の対テロ訓練、脱出訓練、奪還訓練、NBC訓練…、沖縄には何でもある。情報潜入部隊リーコンの存在。そして、何よりの象徴が、MEUの存在だ。海兵隊の特殊部隊とも言える31MEUは、決まった編成部隊ではない。その作戦ごとに編成される、文字通りのユニットであり、柔軟に即応する部隊とも言える。
規模もまた凄い。在沖米軍の装備はおどろくものがある。あたまで、こんな部隊がいるということは知ってはいたが、その一つひとつの能力は、ものすごい。それだけに、莫大なお金がつぎ込まれている。よく思いやり予算など日本による米軍の肩代わりが問題になるが、沖縄にこれだけに即応展開部隊をつぎ込んでいるアメリカにとっては、ある意味ではそんなものはちっぽけな議論にしか過ぎないのだなあと、実感させられた。
つまり、沖縄には巨大な、実践に即応する体制にある軍隊が存在している。それは、たぶん湾岸戦争以降、ほぼ、ずっと、”有事”の状態が日常になっている。少しでも、その矛盾をはき出すために、基地外に、兵隊の生活を解き放ち、犯罪は日常化する。そんな構図が、この本からは見えてくる。
沖縄が”有事”状態にある。そのことが問われなければ、この米兵の犯罪の本質的な解決はないのではないか。それが1つのポイントでもあるように思えてきた。
この本は、本屋では、もう在庫はわずかかもしれないが、古本市場では結構、出回っている。ぜひ一読することをおすすめしたいと思う。
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