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2008/02/03

若者自立支援、この3年を問う

 今日は、雪のなか独立行政法人 労働政策研究・研修機構が開催した「若者自立支援、この3年を問う」というフォーラムに行ってきた。

 もうかなり前から、学校から社会への移行というものに困難さの中で、ある種の困難な課題をもった若者たちへの支援をどうするかということが問題になっていた。そのなかで「ニート」という言葉も広がったが、同時に、いろいろな批判も議論もなされてきた。たしかに、政府がおこなうようになった若者自立支援策は、たぶんに、若者の「力」=メリトクラシーだけが問われ、社会のあり様そのものを問いかけるものになっていて、それそのものが新自由主義とどこか親和的なところがあり、若者の生きづらさを増幅する結果をつくる要因になってきたということも言えなくはない。しかし、一方で、家庭に沈殿していた、若者の困難に社会的に光をあてたという功の面も否定できない。

 今日のフォーラムは、前半は、この分野の議論をになってきたJILPTの小杉礼子さん、放送大学の宮本みち子さん、そして東大の玄田有史さんの報告。後半は、この3人に、ジョブカフェの関係者、自立支援団体の方、そしてジャーナリストを交えてのパネルディスカッション。参加者のほとんどは、支援団体の関係者か。
 福祉の分野でもそうだけれど、その分野の取り組みを支えているのは、民間の取り組みだ。そこには、運動という面だけではなく、経営体という側面をもつ。そんな人を前にしてしゃべるだけに、報告者の話も、ちょっと違う側面がでる。玄田さんの議論など、ボクからすれば、なぜにここまで新自由主義に親和的な発言をするのかと、ずっと思っていたけれど、その本音はきわめて「現実」主義だというところにあった。つまり、政治がどうあろうが、現実的に困難な若者を支援する団体にどうお金を引き出すかが、彼の取り組みのすべての基準にあるということがわかって、面白かった。

 たしかに、この数年間のこの分野の取り組みには、格段の前進がある。そして、そこでわかったことは、より困難な状況にある若者への支援をどうするのかという問題だ。そのことは、明らかに現在の「貧困」という問題とかかわっている。宮本さんは、そこであえて、支援の原理・原則や社会保障そのもののあり方を問いかける。面白かったのは、メディアの関心が、こうした議論と重なっていることだ。パネリストには読売新聞の記者が来ていたが、その発言もなかなかのものだった。

 原理の確認や、社会保障のあり方が議論になれば、どうしても財源をどうするかという議論になる。玄田さんの立場では、結果として消費税増税の決意を問う議論になってしまう。そこに、彼の議論の弱点が集中的にあらわれるのだろうけれど。
 一方で、どうしても、つかみどころのないのが企業の力をどう引き出すかという問題。つかみどころのないというのは、ボクらがなかなか経験がないというか。たしかに、この点での、ノウハウ、取り組みの蓄積というものにはかなり画期的なものがありそうだ。どんな分野でもそうだけれど、こういう中間(?)的な人たちの取り組みをつなぐような広い運動は不可欠なのだと思うし、そういうところにつながるようなセンスや能力を持たなければならないとつくづく思う。

 いずれにしろ、若者の困難という問題と、「貧困」の問題が重なり合っているというのは、きわめてはっきりした問題になっている、その「困難」に光をあてていくうえでも、若者問題というのは、実は学問的な研究というのはきわめて薄い分野でもある。だから、ともしれば若者の就職状況が、景気の上で改善されれば、何かしら、そんなに重要な問題ではないという受け止め方がされる。「日雇い派遣」の問題は、きわめて重大な問題だけれど、その雇用の問題が解決すれば、若者の問題が解決するわけでは決してない。
 刺激をうけながら、同時に、問題の複雑さなどに、いろいろ考えさせられたフォーラムでもあった。

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» 「若者自立支援、この三年を問う」 [右近の日々是好日。]
 こんにちは。今日は、先日行われた労働政策研究・研修機構によるフォーラム「若者自立支援、この三年を問う」に参加して、私が考えたことを書きたいと思います。  私は、このフォーラムに参加して、若者に対して上からの社会的統合を図る「治安対策としての若者自立支援」に対抗し、若者が自発的・自律的につながり合い、社会と若者が共に働きあうことのできる「市民的つながり・連帯による若者自立支援」を実行していくことが大切だと考えました。  現在、多くの若者が企業・学校・家族といったものからのつながりが薄く、社会から孤... [続きを読む]

受信: 2008/02/09 13:42

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