国際平和と「日本の道」
研究分野だけではなく、平和運動の分野でも第一線の活動をしている六人の執筆者が、憲法を語ったのが本書だ。「国連の論理と「日本の道」―平和への指針」(田中則夫)、「グローバル世界の形成と「日本の道」―「多国籍企業段階」の経済論理」(杉本昭七)、「二一世紀の世界を拓く「日本の道」―改憲に反対する六つの理由」(藤岡惇)、「ドイツから「日本の道」を考える―「ヨーロッパのなかのドイツ」(望田幸男)、「中国から見る「日本の道」―隣の大国とどうつきあうか」(大西広)、「朝鮮半島情勢と「日本の道」―「北朝鮮脅威論」を克服して、日朝国交正常化を」(浅井基文)の六本の論文から成り立つ。
勉強になったのは、1つは田中さんの論文で、憲法と国連憲章の論理の共通点と違いをみつめつつ、平和秩序回復の道筋を展望を考えます。シャープな議論は藤岡論文で、日本国憲法の価値とを、六つの側面から論証。杉本さんという大御所の骨太のグローバル論は、あんがい新鮮だった。同じく大御所の望田さんの「ヨーロッパの上に立つドイツ」から「ヨーロッパのなかのドイツ」の道の歩みと試行錯誤は、とくに80年代後のドイツの模索を跡づけていて、参考になった。浅井論文は、より刺激的。もう一度、自衛権というものについて議論をふり返っているのは、勉強になったし、「アメリカの『北朝鮮脅威論』と日本国内で喧伝されているそれとの間にはあまりにも大きな懸隔がある」との指摘は、現在の情勢をみつめるうえでも、なるほどと思った。
これらの論文の共通した問題意識は、東アジアの平和が憲法九条の実現の基盤をひろげ、憲法九条が東アジアの安定をつくるというもの。一本一本が専門的な立場からの発言で、ユニークで刺激的な提案もなされており(ちょっと言い過ぎというのもあるけれど)、市民のあいだでの議論を広げる契機になってほしい内容になっている。世界的な視野、東アジアの動向から「これからの『日本の道』を考えようとした」意欲作である。
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