それでもボクはやってない
見たい映画もここんところ、DVDでというのが多い。なぜだろうか。この映画は、話題にもなったし、ぜひとも映画館でと思っていたんだけれど。なかなか映画館に向かうふんぎりがつかないからなのか。
この映画はいろいろ議論になったし、それに付け加えるような点はない。日本の司法の問題について、突っ込んでいるし、ユーモアもあり、よくできた映画だ。たぶん、去年の公開の邦画ではNO1と言ってもいいのではないか。
のっけから逮捕、拘留のシーン。自分が同じ目にあったとき、はたしてこうした屈辱的な扱い方に耐えれるのかということを感じる。裁判に入っても、絶望的な現実。とくに後半の展開はあまり予想ができないもの(これ以上はネタバレに)。
ただ、見終わった後には、展望はない。それが日本の司法の実際なのか。なかなか展望を見いだせないのは、被告になった人間から見て裁判は進行するため、司法の構造をとらえられないからだろう。
ただ日本の「人権」のリアルな到達点でもあろう。メディアでは、被害者の立場ということが強調され(それはそれでもちろん大事なのだが)、その一方で、えん罪だとか、疑わしきしきは被告人の利益にというような理念はどこかえいってしまった感がある。そのことと、社会にうづまく不安感や、そのものでのヒステリックなきらいのある議論の流行とは無関係では決してない。それに抗するかのようなこの映画の主題は、それだけでもすごいと思う。
そういう意味ではとても重い映画でもある。
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