ネットカフェ難民と貧困ニッポン(続き)
正月に読む本としては、あまりにも重いけど、一気に読み終えた。そのぐらいよくできた、面白い本であることは事実。いろいろな角度から、この問題にせまっているし、当事者たちへの筆者の共感的な姿勢は好感を持てる。だから、お薦めの本であることは絶対にそうだ。
1日のエントリーで、ぼくは、「卑怯だ」とあえて書いた。それは、この問題を扱うジャーナリストに、何が問われるべきなのかという問題であり、この本がよくできた本であることとは少し次元が違いのかもしれない。たとえば、この「貧困」という問題が、決して自然現象ではなく、かならず変えることができるということを、われわれは証明しなければならない。派遣や請負という働かせ方が問題ならば、だれがそうさせているのかということについて、どこまではっきりと描けるのかということが問われる。たとえばこの本では、派遣元の責任については、かなり追及している。が、派遣先の企業についての取材は、実際にはかなり困難であることはそうだろうけれど、必ずしも十分ではない。派遣先の企業といっても、日雇いの中小とともに、大元には、そのうえにそびえ立つ大企業の問題があるはずだ。
国の責任のうえでも、とりわけ政治の責任は重要だろう。だれが、こうした「改革」をすすめたのか、それはたんに「小泉改革」と指摘するだけで十分なのか。そこから、何を変えればいいのかということが明らかにされるのか。
そして、たたかいの現状や広がりは?
組織ジャーナリズムには、組織ジャーナリズムの限界や困難がある。その困難に十分すぎるほど、挑戦した本だとは思うけど、もう一歩、二歩したたかさをもとめるのは酷なのだろうか。ジャーナリズム精神というものが問われる年に、たぶん今年はなると思う。
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