パレスチナはどうなるのか
私には、パレスチナに取材にいったりするジャーナリストやこの問題を専門に研究する知人が何人かいる。ずっと、心を砕きたいと思いながらも、自分なりの答えもなかなか見いだせない、大きな問題の一つである。
さて、今日、ブッシュが、イスラエルを訪問した。大統領の任期最後の年に向け、中東和平の前進へのてこ入れをするためだそうだ。アメリカはイスラエルを押さえることはできないだろうか、ヨーロッパの方向ははっきりしている。大局的な解決方向は明らかだ、などと事態を単純に論評する向きもないわけではないが、私は、そう単純には見ていたい。ただ、日本では、最近ではイランをめぐる問題のみが注目され、なかなかこのパレスチナの問題は報道されないでいる。そして人々の記憶から、消されていく。
ここからままったくの私論である。なぜ、この問題はかくも、複雑なのだろうか。国際問題は、法と正義で解決すべきだとよく言われるが、パレスチナ問題は、この法と正義の外側から人為的に持ち込まれ、欧米諸国がこの地に問題を押しつけたことに端を発しているだけに、その解決も一筋縄ではいかない。正直、この間の、ヨーロッパの立場も、ことさらハマスの孤立化を押しつけるのみで、いっそうこの問題の解決の道筋を、複雑にしただけだという気がしてならない。
もちろん、武力によるパレスチナの解放などは空想的なものに過ぎないし、実際に現実をみれば、イスラエルとパレスチナの共存にしか答えはない。ではイスラエルの譲歩は可能か? イスラエルにはイスラエルの苦悩がある。消し去ることのできない、ヨーロッパにおける反ユダヤ主義の傷跡は生々しい。結局、欧米を中心に、国際社会が過去に向き合うという姿勢をはっきりさせながら、ねばり強い対話を、パレスチナともイスラエルともすすめるしか道はないのだと思う。そのなかで、自立した平和的な対話の方向をどう育てていくのか。その芽は、両国にはあるのだし、その前進はハマスの変化をも促すかもしれないのだから。
同時に、人道的な支援と連帯は急務だ。困難をおしつけた側が、この間、どれだけ、彼らを見捨て、忘れ去ってきたのか。
複眼的で、冷静な目で、問題をみつめたいものだつくずくと思う。そして、弱者の悲劇への怒りと連帯の心(行動)とともに。
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