トヨタ 世界一の光と影
利益が2兆円を超え、いよいよGMを超え、世界一の自動車企業になろうというトヨタ。そのトヨタを19年も追ってきた労働記者の執念の一冊である。日本資本主義の現在がリアルにわかる内容ともなっている。
冒頭、先に画期的な名古屋地裁判決がくだった、内野さんの過労死裁判からはじまる。その内容は涙なしにはよめない。同時に、ここ数年のあいだにおくなわれた過労死裁判が並ぶ。いかにトヨタが、労働者をもののように、乾いたタオルを絞るごとく、働かせてきたのかについての告発が続く。
2部では一転して、トヨタの歴史をふり返りながら、いかにして過剰な労使協調がつくりだされたのかに迫る。戦前、そして50年の大闘争。
無数のトヨタの労働者のたたかいが、トヨタの無法に、規制をかけてきたのだと思う。内野さんような訴訟があるからこそ、一歩一歩、人間らしい働き方への積み重ねが続いている。それは、マッスルのたたかいでも同様だ。
しかし、トヨタはとてつもなく大きな企業だ。本質をついた一冊であるには違わないが、トヨタの全容がわかるわけではない。リコールの問題、下請けの問題、非正規の問題、海外展開の問題、よりトヨタの全容を知りたいという衝動にも駆られる。
愛知の先生は、生徒がトヨタ系の企業に就職するさい、身体を壊す前に辞めてもいいんだよと言うことを伝えるのに苦労するという話を聞いたことがある。世界一の企業の本質はここにあるのだと思う。この企業のありようにもっとわれわれは正面から向き合う必要があるのだと思う。
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