理不尽な社会に言葉の力を
これが今年最後に紹介する本。締めくくりのこの本もすごく印象に残る面白い本だった。前半は若い人への共感をこめながら、社会に蔓延する暴力的な言葉を分析する。新自由主義が席巻するこの時代に無自覚に発せられる言葉の本質をさぐる。言葉のもつ意味と、その背景にある文化というものの意味を考えさせる。僕らが僕らの言葉をもつためには、僕らの文化をつくるということにほかならないということか。
後半は、そのこの新自由主義の社会に抗する人たちの姿をとおして、社会のあり方を考える。首都圏青年ユニオン、もやい、定時制高校、文化学習共同…。新自由主義の虚構性を暴くとき、僕は発達や教育というものを考える。著者の視点も同様に、憲法の27条、28条とともに、26条に注目する。僕らが新自由主義を批判する時、往々にして、機会の平等性の虚構性にむかう。それはそうなのだが、批判の仕方を間違えると、結果の平等性をめぐる際限のない泥沼に議論に陥る。そこで問われているのは、発達の権利だ。「能力に応じて」という言葉をわれわれは、「ニーズに応じて」「必要に応じて」と、読みかえる。人と人との営みこそが発達をつくり、それは一人一人の状況に応じておこなわれるべきものである。その教育の過程が、人として生きる平等、人間の尊厳をつくりだす。
来年は、より連帯が広がる年にしたいものである。
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