若者殺しの時代
クリスマスが恋人たちのものになったのは1983年からだ。そしてそれは同時に、若者から金をまきあげようと、日本の社会が動きだす時期でもある。「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうすべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである。若い人たちにとって、大きな曲がり角が1983年にあった―80年代に謎あり!ずんずん調べてつきとめた。
本の紹介には以上のような文章がある。論立てとしては正直、ずいぶん荒っぽいし、いささか首を傾げるところもある。しかし、消費文化が拡大していくさまは、よくわかる。80から90年代の自分史(体験)というような眼で読めば、きわめて、納得させられる。消費文化の拡大は、若者にとってきわめて抑圧的な機能をはたしたということか。なにしろ、著者は、私と同じ年だ。よけいに、共感することが多いのだ。
個々の議論では、なるほどという点も多い。たとえば、手塚治虫の漫画には携帯電話が登場しない。実際にすすんだ消費文化は、個人化されたのだ。ミステリーはなぜ重くなったのか。東京がなぜ過剰になったのか。
もちろんこの背後には、もっと大きな社会の変容があるのだろうけれど。文化というものを、戦後史のなかで捉えなおすということも興味深いテーマである。
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