『〈生きにくさ〉の根はどこにあるのか
赤木問題ということもあって、若者論をちゃんと勉強しようと思って、まず中西新太郎さんの『『〈生きにくさ〉の根はどこにあるのか』を読んでみた。NPO前夜がおこなったセミナーを本にしたものだ。格差社会のなかで、広がる若者の”生きにくさ”というものを、単に経済的な側面からだけではなく、文化的な面から考察している。ぼくは、若者を論じるさいに、あまりぼくたちの世界では使われない、世代論というものに関心があって、現代の若者の育った政治過程や社会背景のもとで生まれる、大人世代との違いへの理解が大事だというように思ってきた(まあ、個人的な団塊世代への反発というものあるのだろうけれど)。
中西さんの議論は、わかりにくい面や、まだまだ納得しきれない面もないわけではないのだけれど、消費文化とうくくりだけではなく、80年代後半以降の文化のなかにあらわれた抑圧性というものが、そもそもの日本の消費文化に内在して発展してきたことについて、着目している。ある側面で、なるほどなあという思いを持ちながら読んだ。ここで紹介されている議論を、これはしっかり勉強してみたいと刺激を強くうけた一冊でもあった。
今日は、半日、若者の話を聞く機会があった。かなりの数の若者の話を聞いたのだけれど、共通して出されたのが、その経済的な実態、働かされ方などの深刻さということと同時に、本音で話ができるような人間的な連帯を若者のあいだにどう回復するのかという問題。
この前ある場所で、ある先生から、かつて子どもたちは、進路において平等な働き方を志向していたが、最近の子どもたちは、競争的な働き方を志向しているような気がするということを聞いたことがある。調査でもそういうとは
現れているのだと思う。何を言い方かと言えば、新自由主義的な考えや文化にとらわれないような生き方という問題。これは大人自身の問題でもある。ここはずっと考えている問題でもあるのだけれど。
« 遅くまで仕事です | トップページ | オアシス »
「教育」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
- 2学期がはじまっています(2024.08.29)
「読書」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
「政治」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『〈生きにくさ〉の根はどこにあるのか:
» それを乗り越えるだけの「技術」や「思想」を! [大津留公彦のブログ2]
低気温のエクスタシーbyはなゆーにトラックバック頂いた「日本のブログの限界→リアル社会に影響力を与える力が弱い」という記事の中の以下の記事が目についた。
[続きを読む]
» 「反戦と抵抗の祭(フェスタ)2007生きのびる」 [大津留公彦のブログ2]
「反戦と抵抗の祭(フェスタ)2007
生きのびる」
[続きを読む]
« 遅くまで仕事です | トップページ | オアシス »
コメント