歴史の見直しということ
歴史の見直しというのは、歴史認識の問題で、これまでの政権の手で隠蔽されたり歪曲されたりしていたものをただす行為をさすということができるだろう。日本で言えば、主には、かつての植民地支配や侵略戦争の事実と向き合い、そしてその謝罪と補償をおこなうことが何よりも求められる課題である。同時に、日本の国民の被害、兵士の問題や、遺骨の問題、それだけにとどまらない、沖縄の被害や、空襲の被害、原爆の被害に関しての、日本軍と政府の責任、アメリカの責任などについても直視し、そして、補償することも歴史提起な課題になっている。そして、その多くの問題が歴史家などの手で、作業がすすめられ、主張されている。メディアでも、もちろん歴史修正主義動きがあると言えでも、とりあげられたりもしている。
ところが、社会的になかなか光があたらな問題の日本の場合、数多く残されているのが実際だと思う。マイノリティの問題や障害者の問題のその代表的な例だろうが、そのほかにも、たとえば戦前の治安維持法の犠牲者の問題があげられる。戦後の日本国憲法のもとでも、おこなわれたレットパージという問題も見過ごすことができない。おそらく、このレッドパージの問題は、日本のなかでもほとんど知られていない被害ではないのだろうか。
もちろんそれには理由がある。後述するようにアメリカの要請ではじまったレッドパージだけれど、その弾圧のなかで、労働組合から排除され、それに対する対応が、排除された中心部分にあった共産党が外国からの干渉のもとで、正規でない部分による指導が影響力をもつような混乱があったために、さまざなま誤りや混乱が生じたことなどが歴史の側面としてあげられるのだろう。
ただ、事実をよく見てみると、いろいろな姿が見えてくる。
公文書館のHPにマッカーサー書簡が掲載されている。
冷戦の激化に伴い、次第に反共色を強めるGHQは、昭和25(1950)年6月6日の吉田茂首相宛マッカーサー書簡で、共産党幹部の公職追放を指令した。占領の目的である日本の民主化を妨げる勢力として、共産党中央委員24名の名前を挙げ、SCAPIN548(ある種類の政党、協会、結社その他の団体の廃止)並びに550(好ましくない人物の公職よりの除去)に基づく公職追放を指令している。 書簡は同日、『官報』(第58号)で、訳文と共に発表され、以降レッドパージの波は民間、官公庁へと広がっていく。この書簡は、占領下で法律のような効力をもったようである。レッドパージには、占領下と占領後の、最高裁判決があり、マッカーサー書簡のもとで、思想による排除は合法であったというものまでだされているようだ。アメリカの圧力による改憲の根が、50年代からはじまっていたとするのならば、こうした思想差別、思想弾圧をめぐる憲法の歪みもこの時期からはじまり、その誤りは正されているわけではない。
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