小沢さんの国連観のつづき
国連観というより憲法観ですが、先日の続きです。先日は小沢調査会の「提言」を紹介しました。この時期につくられたものに、「国家改造計画」がありますが、いずれにしろその核心は、現行憲法の解釈という点で、国連の指揮のもとでの海外派兵は、国権の発動による武力行使にあたらないから違憲ではないというところにありました。つまり、国連軍というのがそのあり方の中心にあったわけです。もちろん、この時期も、具体的な提言としてはPKOへの参加ということがありましたから、ややjこしいと言えばややこしいのですが。この時期から、PKFに参加すべきだと主張し、国連の指揮がないにもかかわたず、準国連軍という解釈でしたから。
ただ、それが変容するのは、たぶん99年の文藝春秋に掲載された「日本国憲法改正試案」だと思います。ここでは、解釈改憲より明文改憲に傾斜します。内容的に注目すべきなのが、「国連」重視だったのが、「国際社会」という言い換えをするようになっています。「提言」の段階では、個別的自衛権+国連の指揮権という構造だったのが、ここで集団的自衛権の容認へという含みを持たしたような議論を実はするようになっているということができるのだと思います。
現在の小沢さんの議論をこうした経過からみると、いろいろな議論が成り立つような気がします。ある意味まず解釈改憲という点で、小沢さんの姿勢は一貫している気がします。もう1つ、やや失礼な言い方をすれば、政治のリアルな力関係のなかで、アメリカの要請を考慮しながら、自衛隊の海外派兵をどうすすめるかということにも苦慮しているのが小沢さんの姿なような気がします。少なくとも最初の90年代はじめごろの議論からすれば、海外派兵の用件ははるかに低くなっています。
ただ、単純に、それを許さない世論があり、小沢さんの発言も、幅が生じるのでしょうか。私は、ストレートに、国連主義の立場になって、テロ特措法に対して、きっぱりした態度を、小沢さんに望みます。同時に、武力よりは民政という発言どおり、単純に、恒久法にすすむことのない議論を望みます。さて、どういう展開になっていくのでしょうか。(つづく)
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