兵士たちの戦争 の感想1
先日紹介した、このシリーズ。今週は4話まであった。眠い目をこすって、見た。おかげで今週の睡眠時間は、平均4時間だ。
2話は、通称「菊兵団」と呼ばれた18師団のビルマ北部作戦。証言者も精鋭部隊の人たちだけに軍隊には何かしらの誇りを持っている。その人たちの証言だけに説得力がある。3話は、その「菊兵団」撤退の縦となった補充兵の物語。30前後で徴兵された人たちは、現在はもう90前後だ。その証言は痛々しい。
一転して第4話、海軍の航空兵。マリアナ沖作戦の無謀が、その戦術の解説をふくめ、明らかにされる。この延長に特効があったのだと、つくづく納得してしまう。
戦後、日本の平和意識は、厭戦観から出発して、弱点があったとよく言われる。しかし、このシリーズを見ていて、その厭戦観の根底にある事実が、あまりにも、むごい事実だけに、この意識には根拠があるということ。それが、日本の強い9条意識をつくったのだったのなら、それは貴重な日本の遺産でもありということだ。被爆の体験や空襲の体験もそうだけど、日本人の平和意識をつくったその体験の強さは、過少評価してはいけないし、ちゃんと受け継ぐ必要があるということだ。そのことをまざまざと考えさせられるのだ。
しかし、これらの体験はいままで、ちゃんと受け継がれてきたわけではない。ましてや、この体験と加害の体験を、重ね合わせて語られることも少なかった。つまり、日本の戦後平和意識は、その強さとともに、縦にも横にも構造化するということに弱点があったのではないか。
近年の改憲策動に、日本の平和意識の強さは、明らかに反抗をつくりだしている。しかし、同時に、その構造化の弱さは、「靖国」派の策動につけこまれる余地をも残している。そんなことを意識しながら、戦争の実証を見つめていきたいと思う。
このシリーズの後半が楽しみである。
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