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2007/10/05

テロ特措法と小沢氏の憲法論

 小沢一郎民主党代表の一文が、今月発売の『世界』に掲載されている。その内容は、挑発的だが、その論旨はこうだ。
 日本は、憲法9条で、武力の行使を禁止している以上、日本への攻撃もしくは、その危険がある場合以外、自衛権の行使、武力の行使はできない。しかし、国連安保理の決議にもとづく行動に参加する場合は、憲法違反にあたらない。アメリカの自衛権の行使としてのインド洋での給油活動は違憲だが、国連決議にもとづくISAF(国際治安支援部隊)へ参加は憲法上問題はないというものだ。朝日新聞の夕刊が、コンパクトにまとめているので、Continue reading に掲載しておく。

 もともと、小沢氏は、90年代の初頭に政治の世界の中軸に姿を出した当時から、極端な解釈改憲論者である。明文改憲をすすめることより、ぎりぎりの解釈改憲を優先する。その小沢氏らしい議論の到達点でもあると言える。
 そこには、極端な議論のすり替えがある。第一に、国連の集団安全保障の活動なら、9条に違反せずに参加できるのかという問題だ。9条の論理と、国連憲章の論理は違いがある。そのことを無視している。武力の行使および武力による威嚇を禁止した国連憲章は、2つの条件をつけて武力を容認している。しかし、憲法9条は、より武力の行使の禁止を徹底させている。
 第2に、国連安保理の決議があれば、それで、国連の集団安全保障の枠組みと言えるのかという問題。そもそも国連憲章が想定した、集団安全保障とは、国連軍であるわけだが、その国連軍が結成されていない。現在のような、多国籍軍の方式で、しかも、その識見が、個別の国軍(多くの場合米軍)にあるとき、その活動を、単純に国連の集団安全保障と言えるのかだ。
 第3に、2とも関係するが、安保理の決議をどう解釈するのかだ。軍事活動について明示的でない場合が多いが、ある程度明示されている場合も、それを誰が国連の活動と解釈するのかという問題。もともと、国連の安保理はきわめて政治的な機関が法的な解釈をおこなうだけに、その決議の解釈はむずかしい。小沢流の解釈では、ここからは、かなりの拡大解釈が可能となり、かぎりなくアメリカの戦略への協力も実は可能になりはしないか。
 第4に、国連決議があっても、最終的に参加するかどうかは、日本の政権の判断と小沢氏はいうが、ならば、ここからは、3で言った拡大解釈は、より恣意的になるとも言える。

 ISAFの活動を容認している安保理決議1386も、アメリカの軍事行動の事後処理を容認したものではあるが、この決議をもって、国連の集団安全保障というにはあまりにも無理がある。同時に、その後のアフガンに実態は、それが平和への道筋とはほど遠いものであることから見ても明らかだ。

 いずれにしろ、小沢氏のこの議論は、憲法9条の1項も、2項もその解釈に限りにあく穴をあける仕組みを内包していると言える。昨日のブログで、解釈改憲の駆け引きが当面の焦点になると書いたが、ほんとうに注視が必要だ。国際法、憲法論、そして現実の国際政治の実際を、よく見ていきたいと痛感する。

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アフガン支援「政権取れば部隊参加」 小沢氏(朝日新聞)

 インド洋で海上自衛隊が行う給油活動をめぐって、民主党の小沢代表が近く論文を発表する。激しい対米批判を展開し、給油活動への反対姿勢を改めて強調。そのうえで、国連決議に基づいてアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)について「私が政権を取れば、参加を実現したい」と明言した。民主党はこの論文を踏まえ、テロ対策特別措置法に代わる政府の新法案への対案づくりを進める。
 9日発売の月刊誌「世界」(岩波書店)11月号に掲載される。給油活動をめぐる小沢氏の発言に対して「日本の安全保障のあり方そのものへの挑戦」などと論じた川端清隆・国連本部政務官の寄稿(同誌10月号掲載)への「反論」として公開書簡の形をとった。
 小沢氏はブッシュ政権のアフガン戦争やイラク戦争について「米国は自分自身の孤立主義と過度の自負心が常に、国連はじめ国際社会の調和を乱していることに気づいていない」と批判。
 「米国はもはや一国で国際社会の警察官の役割を果たすことが不可能になっている」と指摘し、「世界の平和は国際社会みんなで力を合わせて守っていく以外に論理的にも現実的にも他に方法がない」と主張する。
 インド洋での給油活動については「国連活動でもない米軍等の活動に対する後方支援」とし、「(憲法が禁じる)集団的自衛権の行使をほぼ無制限に認めない限り、日本が支援できるはずがない」と批判した。
 一方で、小沢氏は国際社会への日本の対応について「平和維持への責任をシェアする覚悟が必要」と強調。「国連の活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであってもむしろ憲法の理念に合致する」とし、「私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」と踏み込んだ。さらにスーダン西部のダルフール地方への国連平和維持活動にも「当然参加すべきだ」と明記した。
 ただ、現実の派遣判断に関しては「合憲なら何でもやるということではない。国連決議があっても実際に日本が参加するかしないか、どの分野にどれだけ参加するかはその時の政府が政治判断する」との考えも示した。
 論文の結論部分では、貧困と食料不足に苦しむアフガンの現状に言及。「貧困を克服し、生活を安定させることがテロとの戦いの最も有効な方法。銃剣をもって人を治めることはできない。それが歴史の教訓であり、戦争の果てにたどり着いた人類の知恵だ」と民生支援を重視する姿勢も強調している。

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