学徒兵 許されざる帰還~陸軍特攻隊の悲劇~
なかなか国連やテロ特措法の話にいかないのですが、南京事件も、この特攻の話も、その前提になっている話である。この歴史から何をつかむのかにこそ、国連憲章や日本国憲法の核心があるわけで、私たちの世代が何を学んでいるのかが問われているということだとも思う。
今日のNHKスペシャルは、その陸軍特攻隊の悲劇をとりあげたもの。
今から64年前の昭和18年10月21日、2万5千人の学徒が雨の神宮外苑を行進した。「出陣学徒壮行会」。学業の断念を余儀なくされ、多くの若者たちが、太平洋戦争の激戦地へと送られていった。その中で、飛行兵を志願した者の多くが、爆弾を積んだ飛行機もろとも敵に突撃する“特攻兵”となった。
…最後の戦闘となった沖縄戦。陸軍特攻隊は、慣れぬ海上で成算なき攻撃を繰り返し、300人を超える学徒兵が海に散った。陸軍の特攻作戦はどのように遂行されたのか。陸軍特攻の司令官が残した日記と元特攻兵の証言を軸にその真実を浮き彫りにする。
舞台となる振武寮は、神山征二郎が「月光の夏」でとりあげて知られている。最近は、林えいだいさんが、『振武寮』という本を書いて注目された。テレビの写真は、陸軍特攻を直接指揮した菅原道大中将。海軍の特攻の父は、大西瀧治郎だが、彼は、終戦の翌日に割腹自殺している。大西も菅原も、特攻にはきわめて懐疑的であったのが共通しているといったが、菅原のほうは、戦後多くを語らず、83年まで生きたという。その菅原の片腕と言える参謀が林さんに証言したものが、この番組の1つの柱になっている。
番組では、振武寮で過ごした何人かの将兵たちの証言でつくられていた。彼らは、まともな飛行機を与えられず、機関銃も、通信機もはずされた飛行機で、米軍の攻撃にあい、沖縄までの途中で不時着し生き残った。そもそも飛行機が知覧にとどかず、生き残った人もいる。しかし、その仲間は、沖縄の海の藻屑として消えていった。先日の「証言シリーズ 兵士たちの戦争」とも共通する、戦後多くを語らず生きてきた人たちの貴重な証言でだった。
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