証言特集 兵士たちの戦争 後半の感想
七回にわたるシリーズの後半は、中国打通作戦、ルソン島のたたかい、そして蒙満国境と戦争の終盤の絶望的jなたたかいがテーマだった。涙なしには聞けないような発言が続いた。
証言は何をしめしているのか。
兵士たちの戦争は、日本の戦争が決してアジアの解放などを目的としたものでないことを明らかにしている。現地調達は、現地からの略奪以外何者でもなかった。もともとアジアの諸国は宗主国との関係で、経済の体制をつくっていた。日本の侵略は、その経済体制の破壊を意味し、安定した生活を維持する経済が破壊されたうえに、略奪がくり返された。そうした戦争の様相は自衛のための戦争という大義にも疑問を呈する。なぜ、補給もできない地域にまで自衛のために攻めていくのか?
同時に、戦争において兵士たちの命は、まったく省みられることがないことも浮き彫りになり。今に続く棄民政治の原点は、たぶんここにある。犬死にだと思いながら、それを認めることが困難な、生き残った兵士たちの戦後の心情は痛々しい。二〇〇人の部下のうち三人をのぞいて帰ることのなかった中隊長は、戦後、どこにも出かけず、家の中に引きこもったという。
戦後生まれの「靖国」派の人たちは、こうした兵士たちの証言をいかに聞いたのだろうか。聞きたいものである。
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