国会での審議も含め、結局、インド洋に行っている自衛隊が何をしてきたのかという実相が、少しずつではあるけれど、明らかになってきている。そして、アメリカが、自衛権の行使という名目で、はじめたアフガニスタンへの攻撃(文字通り報復戦争)が、アフガニスタンの人たちに何をもたらしたのかということも、かなり明らかになってきている。
アフガニスタンの実相は、さまざまな機関によるレポートが出されている。いちばんオーソライズされるのが9月に発表された、国連事務総長の報告でろう。かなり実情を追認するような内容でもあろうが、それでも、「統治力の弱さ、汚職の増加、揺らいでいる民衆の信頼、麻薬経済の成長などを」を指摘している。「2001年にイスラム原理主義勢力タリバンを追放して以降、治安、行政機関整備、開発の進展が停滞もしくは後退する可能性がある」とも警告する。
ここで、あらためて、この戦争の経緯をふり返って、当時、「報復」という言葉も使われた内容での武力によってはじめられた戦争の意味を考える必要があるとあらためて感じる。アフガニスタンに住む、一般の人々にとっても、この戦争は、ほんとうに納得ができる大義ある戦争だったのかと。
では、実際に、自衛隊は何をしているのか。興味深い記事を2つ紹介する。
1つは、先日の「しんぶん赤旗」の記事。
海自給油の米艦イオウジマ イラク戦争参加 米軍資料で判明(しんぶん赤旗)
海上自衛隊の補給艦「ましゅう」から昨年九月に給油されアフガニスタン攻撃に参加した米海軍強襲揚陸艦イオウジマが、その直後に改めて「ましゅう」から給油を受けてイラク戦争にも参加していたことが、米軍資料で判明しました。アフガン戦争支援に限定するテロ特措法に違反して、海自の給油が米国のイラク戦争支援に転用されていたことを示すものです。…
もう1つは、ピース・デポがふたたび行った調査で明らかになったこと。
海自艦が給油した米艦はイラク作戦に使用した Ⅱ
03年2月25日に海上自衛隊の補給艦「ときわ」から給油を受けた米海軍給油艦ペコスの2月15日~3月15日までの給油活動を調査した。
ペコスは、「ときわ」給油以後、「ときわ」からのものを含め4回の給油を受け、16隻の船に対して、延べ24回の給油を行った。推定680万ガロンを受油し、推定790万ガロンを給油した。
米空母キティホークと巡洋艦カウペンスに給油した後、ペコスが次に給油した最初の船は弾薬輸送船シャスタであり、次には海兵隊の戦闘グループであるタラワ水陸両用即戦団(ARG)に給油した。いずれもペルシャ湾内における給油である。以後、調査の期間中ペコスはペルシャ湾の外に出ることはなく内に留まって受油と給油を繰り返した。
9月20日の記者会見で明らかにしたように、経過からして「ときわ」は空母キティホークへの給油を目的として給油艦ペコスに80万ガロンを給油したと考えられる。しかし仮にそれを否定したとしても、今回の調査は「ときわ」の給油した油は大部分イラク作戦に使用されたと考えざるを得ないことを示している。
テロ特措法に反する給油が行われた疑惑は、ますます濃厚になった。
イランに対する武力攻撃が危惧されている現状を考えると、過去の給油についての徹底的な解明が求められる。
米軍の行動は、イラクの作戦にも、アフガニスタンの作戦にも、自在に参加していることだ。実際、イオウジマは、指摘されている期間、アフガニスタン南部の空爆作戦にも参加している。結局、自衛隊の給油は、アフガニスタンへの空爆、イラクへの作戦の後方支援そのものにもなっているのではないかということだ。
にもかかわたず政府は、イラクへの作戦については、米軍との信頼関係をたてに否定し、アフガニスタンへの空爆も、国際的な対テロ活動の一環であり、しかも、当初以外には関与していないと強弁する。
もちろん、考えるべき論点もないではない(それはまた後日)。しかし、アフガニスタンの現状が、その誤りを告発していることは否定できない事実でもある。
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