手塚治虫「戦争漫画」傑作選 2
手塚さんの「戦争漫画」についての2冊目の作品集。今度は、その多くの作品がベトナム戦争を背景とした物語。私が、子どものころ読んだ作品も少なくありません。その時代時代のおこった戦争・暴力について正面から向き合おうとした作者の姿勢が伝わってきます。
漫画というもののひとつの特性はデフォルメということにあると思います。きわめて単純化した物語のテーマはストレートで、しかも、絵そのものは衝撃的です。子ども心に、恐怖心や、強くインパクトを受けた記憶は今でも残っています。しかも、そのテーマは、たとえば虐殺であり、化学兵器であり、そのものが現代的でもあります。氏がいま生きていたら、対テロ戦争は、どのように描いたでしょうか。
インパクトのある作品で、問題意識は残りますが、それそのものは、社会認識を深めるものとは言えません。絵画が記憶で、写真が記録なら、漫画というものは歴史の断面としてどんな価値を発揮するのでしょうか? そんなことをつらつら考えながら、手塚さんの思いや思想を伝えていく上でも、現代の(第二次世界大戦より後の)戦争を若い人に伝えるテキストって、あまりないなあということを感じた次第。
« 敬老の日 お年寄りの貧困と政治の責任 | トップページ | 大学「9月入学」来年度にも解禁 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 写真展「The Voice of Life 死と、生と」(2018.04.15)
- ペリリュー 楽園のゲルニカ 1~3(2018.02.02)
- 生誕100年 ユージン・スミス写真展(2018.01.07)
- ハンナのかばん(2017.12.30)
- <九条俳句訴訟>掲載の期待侵害、さいたま市に賠償命令 掲載拒否は「不公正な扱い」/さいたま地裁(2017.10.14)
「平和」カテゴリの記事
- 憲法と日本人 ~1949-64 知られざる攻防~(2018.05.03)
- 全国憲法研究会「憲法記念講演会」(2018.05.03)
- 天皇の身体と皇位継承-歴史から考える-(2018.04.15)
- 写真展「The Voice of Life 死と、生と」(2018.04.15)
- 志位委員長が安倍総理と会談 対北朝鮮政策で要請(2018.04.10)
「読書」カテゴリの記事
- 連鎖する貧困(2018.04.11)
- 平成の天皇制とは何か――制度と個人のはざまで(2018.03.18)
- ペリリュー 楽園のゲルニカ 1~3(2018.02.02)
- これからの日本、これからの教育(2018.01.19)
- 日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実(2018.01.18)
「歴史」カテゴリの記事
- 憲法と日本人 ~1949-64 知られざる攻防~(2018.05.03)
- 天皇の身体と皇位継承-歴史から考える-(2018.04.15)
- ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(2018.04.08)
- 平成の天皇制とは何か――制度と個人のはざまで(2018.03.18)
- ペリリュー 楽園のゲルニカ 1~3(2018.02.02)
コメント