手塚治虫「戦争漫画」傑作選 2
手塚さんの「戦争漫画」についての2冊目の作品集。今度は、その多くの作品がベトナム戦争を背景とした物語。私が、子どものころ読んだ作品も少なくありません。その時代時代のおこった戦争・暴力について正面から向き合おうとした作者の姿勢が伝わってきます。
漫画というもののひとつの特性はデフォルメということにあると思います。きわめて単純化した物語のテーマはストレートで、しかも、絵そのものは衝撃的です。子ども心に、恐怖心や、強くインパクトを受けた記憶は今でも残っています。しかも、そのテーマは、たとえば虐殺であり、化学兵器であり、そのものが現代的でもあります。氏がいま生きていたら、対テロ戦争は、どのように描いたでしょうか。
インパクトのある作品で、問題意識は残りますが、それそのものは、社会認識を深めるものとは言えません。絵画が記憶で、写真が記録なら、漫画というものは歴史の断面としてどんな価値を発揮するのでしょうか? そんなことをつらつら考えながら、手塚さんの思いや思想を伝えていく上でも、現代の(第二次世界大戦より後の)戦争を若い人に伝えるテキストって、あまりないなあということを感じた次第。
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