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2007/09/05

裁かれなかった毒ガス作戦

Img0902_01s 最近見たテレビでおもしろかったのが、このNHK・ETV特集。これまでも、この毒ガスについては、 吉見義明さんの研究や北坦村の調査団のものなどは読んだことはあったけど、映像で示され、とくに東京裁判の段階で、これだけの事実が明らかになっていたことには驚いたし、整理にはなった。

 近年、中国で日本軍が遺棄した毒ガス兵器による被害が相次ぎ深刻な問題になっている。日中戦争から70年。なぜ遺棄毒ガス兵器は今日まで放置されてきたのか、なぜ日本軍の毒ガス作戦は忘却されてきたのか。  その背景に、東京裁判でアメリカが毒ガス戦を免責した事実がある。当初、日本軍の毒ガス使用は、国際法違反として裁かれるはずだった。戦争中から日本軍の毒ガス使用を非難してきた中国国民政府とアメリカは、その証拠をつかんでいた。しかし、アメリカ軍内部で化学戦の研究・作戦立案を担っていた化学戦統轄部の強硬な反対を受けた。化学戦統轄部は、戦争中、日本本土への毒ガス攻撃を研究していた。1945年11月に予定されていた九州上陸作戦では、福岡や長崎など、毒ガス戦の標的が選定されていた。化学戦統轄部にとって日本軍の毒ガス作戦を裁くことは、みずからの手を縛ることに他ならなかったのである。そして東京裁判での毒ガス作戦が免責されたことは戦後世界に大きな影響をもたらした。  番組では、アメリカに残る調査報告や尋問調書、旧日本軍兵士の証言から毒ガス作戦の全貌を明らかにする。またアメリカ軍の毒ガスの実験映像など新資料を駆使して知られざる対日毒ガス作戦と免責の構造を描いてゆく。

 東京裁判の起訴状には、乗せられながら、米本国からの強い指示で、裁かれなかった毒ガス。東京裁判というものの性格や到達やいい意味でも、悪い意味でも示している材料でもある。これは引き続き勉強したいテーマでもありそうだ。

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