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2007/09/10

貧困と学力(その1)

02910771 岩川直樹さんたちがつくった『貧困と学力』を読んでいます(あともう少しです)。とても、面白い一冊です。キャプションには、「この本には、真摯に子どもたちに向き合い寄り添おうとするおとなこそがとらえることができる子どもたちの姿・声が描かれている。そのまなざしは、最も困難な教育の課題に希望の灯をともす。今、「貧困と学力」という問題設定こそ社会の価値判断の枠組みを変える」。くわしくは後日、書こうと思いますが、問題設定にしても、実態をとらえる視点にしても、たいへん勉強になります。実践では、学童保育の河野さんのものが秀逸。泣きました。
 ただ、正直、教師が書いたものには、ガッカリ。この貧困の問題は、学校は地域に開いて考えるしかありません。そのとき、親たちは、一生懸命生きているという共感こそが基底になければなりません。そこが、なかなか開けないのです。教師には教師の困難があるのでしょう。ならば、学校が開かれないことが、この問題をより困難にしているということを告発するべきではないか。
 なによりも、共感というのが大事だ。ここから、いま社会でいいのかという思いを広げることができる。そんな思いを、最近強く感じています。

 この本の目次は、


序 章 「貧困と学力」という問題設定
 貧困と学力(岩川直樹)
  ――状況への感受性と変革のヴィジョンを呼び覚ます
第1章 奪われる教育の機会・排除される子どもたち
 生活保護世帯の子どもの高校進学を支える(湯浅克人)
  ――子どもと親の心の声を聴く江戸川中3勉強会
 無償のはずなのに、お金のかかる義務教育(松山潤子)
  ――親子の切実な願いに応え、わかりやすい就学援助制度を
 だれもが安心して学べる小・中学校を(小宮幸夫)
  ――教育の機会均等を支える就学援助
 高校授業料を無償に(清水 裕)
  ――家計で振り分けられる子どもの進路
 友だちを退学させたくない(小久貫登/坂本雅則)
  ――私学助成削減反対・学び主張する高校生たち
第2章 子どもと貧困と教育への視座
 子どもの貧困とライフチャンスの不平等(小西祐馬)
  ――構造的メカニズムの解明のために
 貧困と学力の再検討(小貫 仁)
  ――とらえ直しから再生への一考察
第3章 今、足立の子どもと学校は…
 東京下町の子ども・学校と教育の原点(大谷猛夫)
  ――就学援助率日本一と報道されて
 広め充実させてきた就学援助(村上 武)
  ――保護者・市民とともに
 子どもの夢をあきらめさせる学校選択(児玉洋介)
  ――足立区の新自由主義教育改革を検証する
第4章 学びをつくる・関係を編み直す
 学びの土台の編み直し(稲富三夫/木部久子/中村麻由子)
  ――教師と子どもの向き合いからの出発
 対話し深め合う仲間をきずく(島田晶子)
  ――豊かさのなかの貧しさを見きわめる
 願いを聴きとどけ関係をつなぐ(河野伸枝)
  ――学童保育の場での人間信頼の取りもどし
 いのちの連鎖(湯澤直美)
  ――学び始めた母親たち
第5章 貧困問題への教育からの回答・試論
 “エリートでない者”がエンパワメントされる教育(伊田広行)
  ――貧困から脱出する学びと援助のしくみをつくる
補 論 巨大な遠隔操作システムの浸透
 顔を奪うシステム(岩川直樹)
  ――全国一斉学力テストの忌まわしき作用
あとがき(岩川直樹/伊田広行)

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コメント

河野さんは親しい仲間です。ベテラン指導員でたくさんの実践をお持ちです、ぜひお宅のメディアで紹介してください。

 私も少しは存じ上げていますよ(笑い)。ほんとうにいい文章でした。

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