沖縄戦の真実と歪曲
沖縄戦研究の第一線で活躍してきた大城将保さんの新著『沖縄戦の真実と歪曲』を読んだ。この人とは、何度か仕事をさせていただいたことがある。
今年春、高校日本史教科書のおける沖縄戦「集団自決」についての記述から”日本軍の強制”を削除する検定意見がついた。その動きは、侵略戦争の歴史を否定する勢力による、大江・岩波「集団自決」訴訟と軌を一にしている。文部科学省は、林博史さんの『沖縄戦と民衆』を、恣意的に利用したが、訴訟の中心になっている弁護士は、実は、この大城さんのん過去の著作などを悪用している。本書は、その沖縄戦研究の第一線で活躍してきた著者による渾身の緊急レポートである。
第一部は、なぜ教科書検定で「集団自決」の真実を歪めるのかを問いながら、歪曲勢力の言い分に一つひとつ反論する。そこからは、都合のいいことがらだけを恣意的に利用し、軍の強制を消し去る構造が見えてくる。第二部は、軍隊のない沖縄に軍が配備された結果をふり返る。過剰な軍民一体思想の持ち込みと防諜の名による住民監視が、住民虐殺と「集団自決」に至る経緯が示されている。
なぜ、沖縄が怒るのか、そして我々は沖縄の問題を通して、何を学ぶべきなのかがよくわかる。9・29は県民大集会である。
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