ネットカフェ難民調査と保育料滞納調査
ブログの更新を滞っていた時に、気になる調査結果が、いくつかあった。
その一つが、いわゆるネットカフェ難民調査なるもの。正式には、日雇い派遣労働者の実態に関する調査及び住居喪失不安定就労者の実態に関する調査と言っている。これは、若者たちが粘り強くすすめている運動をうけての国会議員の要求に厚労省が応えてはじめて実施したもので、調査がおこなわれたこと自体は、貴重な前進であるということができる。内容的には、多岐にわたっているし、数字の根拠はいま一つよくわからない推定値が多かったりで、やはりよくわからないというのが実際だけれども、それでも東京のネットカフェ難民を2000人と推定しているあたりは、実は、ずっとフィールドワークをすすめてきた人たちの実感よりより多い数字で、ショッキングな内容になっているということも、できる。
たた、ここで気になる調査だと言ったのは、「住居喪失不安定就労者」という新しい用語。厚労省自身、ホームレスという言葉は、通常に使われている。それと区別するという意図が込められている。当然、その対策も区別するという立場であることは容易に推測できる。
もともと、厚労省による、ホームレスの定義は、きわめてせまいものだ。もともと、野宿状態にある人の少なくない部分は、あるときは、ネットカフェに泊まったりもしている。ヨーロッパなのでは、ドヤぐらしなどもふくめ、定住の通常の住居をもたない人はすべてホームレスとして定義されている。社会保障の対象として狭めようという意図が見え隠れする。
なぜ、こんなことを書くのかといえば、もう1つの気になった調査である保育料の滞納問題。発表された22日に簡単な書き込みをしたけれど、その実物は、http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/h0822-3.htmlにある。
しかし、この調査を見ても、実は、実際の滞納の原因はよくわからないのである。どれほど自治体はその原因を調べたのだろうか。たとえば、多重債務は、国の政策として、自治体がその発見や解決をすすめることをもとめている。ならば、この保育料の滞納者には、多重債務の被害者はいないのだろうか。
憲法25条には、
1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
と定めらている。この条文の解釈は、政府はまだまだ、歪んだ立場に立っているとは思うけれども、そうであったとしても、行政や自治体には、努力することが求められていることがある。
つまり、「貧困」に向き合う姿勢が、政治や行政に求められている。ここが、あまりにも欠如しているのではないのか。当り前の話だけど、それが当たり前でないのが現実の政治である。この変革が求められている。
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