中教審の議論と学習指導要領
中教審の教育課程部会の審議がすすんでいます。全体の動きは、ジャーナリストの知里保氏のホームページで詳しく紹介されています。
最近では、5日に教育課程部会の会議で、「これまでの審議の概要」(いわゆる中間報告に該当)の検討素案が出されています。それで今日の新聞では、各紙がダンスと武道の必修化が話題になっていたわけです。
パラパラと、その内容を眺めていて感じることがいくつかあります。
その大きな点は、改定教育基本法のもとでの新しい教育法の体系づくりがすすめられているという点です。参議院選挙では、安倍さんの「戦後レジームからの脱却」の路線は、きびしい審判を受けたわけですが、そんなことはお構いなしに、すすんでいることがあるようです。
改定教育基本法と言えば、大きな正確的な枠組みとしては、新自由主義と国家主義(新保守主義)の奇妙な妥協と結託だと言えるでしょう。そのことが、この中教審の議論にも反映した形で、学習指導要領の問題が議論されているということでしょうか。
議論の発端となったPISA型学力の問題である、キーコンピテンシーなどが、日本型の生きる力、人間力というような言葉に読み替えながら学力が議論されています。そこからは、どうも体系的な議論がなされているようには思えません。財界流の労働力の育成という視点でも、疑問が多いように思えますが、その辺は財界はどのようにみているのでしょうか。その出発点から、どうも疑問を感じます。
具体的に出される教育課程の内容も、整合性は見当たりません。これまでの場当たり的な学習指導要領の改訂に対して、きっちりした総括的検討がなされてこなかったことのつけが積み重なっているのでしょうか。
そこに、しっかり、愛国心や道徳が入り込んでいるのでしょう。そこに武道なども持つ込まれる。
正直、うんざりの内容ですが、こんなに子どもたちの成長や、学校の困難から乖離したものが教育現場にもつこまれたら、いったいどうなるのか。改定教育基本法という前回の学習指導要領の改訂の際にはなかった条件のもとで、この問題をどう考えるのか。よく見ていかなければなりません。
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