ニュルンベルク裁判
NHKのBSで昨日まで、BBCが制作したニュルンベルク裁判のドラマをやっていた。原作そのものが、歴史修正主義の側からも一定評価?を受けたと言うほど、ナチの主張もふくめ再現したリアルなドラマになっているようだ。1回目は見逃したが、2回目のゲーリングと3回目のヘスの回は、しっかり見ることができた。
このシリーズでは3人の人物がどのような尋問プロセスを経て判決に受けるに至ったか、史実に基づき忠実に再現した。ドラマと裁判の記録映像を織り交ぜて構成。今も生存している当時の検察官、弁護人、通訳などの証言を交え、それぞれ異なる判決を受けるに至った3人の被告の苦悩の様子を描く人間ドラマとなっている。
実は、歴史の流れのなかで、この裁判のことを知識としてはもっていたとしての、そもそもこの裁判自身については、ほとんど知らないことにはじめて気がついた。だれが、どのように裁かれたのか。
戦争犯罪を裁くにあたっては、当然、その戦争の実相について事実をとおして向き合うことがその前提となる。残虐な戦争であればあるほど、その事実と向き合うことは容易でない。そんなことを含め、このドラマは、被告であるナチの幹部と、被告を担当した心理分析官などとの心理劇としてつくりあげられていて、この独裁政権、残虐な戦争の遂行者の心理の深層にも迫ろうとしていて、そこが面白かった。
それだけに、戦争を裁くということに決定的な差が東京裁判とのあいだであることが浮き彫りになる。つまり、ニュルンベルクの裁判では、ヒトラーの犯罪は当然のごとく裁かれ、その罪との関係で、被告たちの罪が問われるという構造になっているのに対し、東京裁判は、天皇が免責されている。これは単に天皇免責という問題にとどまらない、日本においての戦争の実際との向き合い方に、その心理面も含め、大きな問題を残したということができるのではないのか、そんなことも遅まきながら気づかせてくれたドラマだった。
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