選挙が終わって
昨日、今日は、突然、嵐のような天候が襲います。これが過ぎれば、本格的な夏がやってくるのでしょうか。
さて、選挙の結果は、想像されたとおり、一方的な民主党の勝利に終わりました。この選挙結果をどう見るかは、もう少し、数字が手に入らなければ正確なことはわかりません。ただ、いくつか感じることは少なくありません。民主党の勝利は、何と言っても、いまの与党=自民・公明の政治への国民の強い怒りのあらわれであったことは、異論はないでしょう。投票率については、地方選の年の参院選としては高いということなのか、当初予想された国民的な関心よりも、上がらなかったということなのか。ただ、地鳴りのような、投票行動というよりは、いままで、自民党を支持していた層が、民主党に大きくシフトしたということが大きな特徴なのかもしれません。ならば、少なくない無党派(とくにあまり投票行動をとらないような層)の動向は、いまだ行き場を失っているということなのでしょうか。ただ、保守的な自民党の支持基盤が大きくくずれ、新たな投票動向を指向し始めたということは言えるかもしれません。
いずれにしろ、大きな政治選択にむけて、新しい政治選択の動きをみせはじめていることは事実なように思いますがいかがでしょうか。その背景には、単に投票に示された以上に広く、深い、政権への不信が存在することを感じます。ある新聞は、自民党への有権者のイメージとして「不信」「傲慢」ということをあげましたが、「戦後レジーム」からの脱却をうたった、安倍政治への、強い警戒感がしめされたことも事実なのだとも思うのです。
護憲派が、議席を減らしたことへの落胆の声も聞かれます。たしかにそれは事実で、残念なことには違いありません。ただ、今回の選挙で、憲法が、しっかりした争点にならなかったことも事実ですし、今後、この憲法をめぐる議論はさまざまな曲折が予想されます。たとえば、一方で、民主党とのあいだで、自民党は、共同を模索するということも言われます。しかし、そう単純ではありません。民主党は、選挙中、あえて憲法を争点とすることをさけ、自民党との対決色を強めたわけですから。実際、秋のテロ特措法の延長にも反対を表明しています。少なくとも、民主党との共同の議論をすすめるには、安倍首相の退陣が当面不可欠なようにも思いますが、それを自民党は、拒否しています。もちろん、民主党の内部は、改憲派が多数であることも事実ですから、単純に、改憲日程は破綻したということはできませんが、実際には、いっそう改憲をめぐる矛盾が拡大せざるをえないことは、否定できないでしょう。
むしろ、これだけ、新しい政治選択を指向し始めた世論のもとで、本格的に憲法が選挙の争点となったときに、新しい政治選択の条件をひろげているということも言えるでしょう。
しかし、だからといって、しっかりした憲法をまもり生かす政治選択の基礎が築かれたわけでもありません。憲法9条を守れの声に比して、まだまだ、十分な議論を広げることに私たちは成功しているわけでもないことは事実なのです。ようは悲観もせず、楽観もせずです。
私たちは、山積みの課題を直視し、そこから目を離さず、秋に控えた、集団的自衛権をめぐる議論もふくめ、しっかりした議論を広げる。私たちの運動も、いよいよ足腰の強い運動がもとめられます。
いずれにしろ、政治はしばらくは、激しく動くことになるでしょう。安倍首相は続投を表明しましたが、はたして、どれだけもつのでしょうか。民主党は、どんな対応をしていくのでしょうか。私たちは、それらの1つひとつに、しっかし声をあげ、私たちの要求を対置していきたいものです。
暮らしの問題、格差や貧困の問題1つをとっても、猶予のないような実態は広がっています。ぼっーと、一休みしているわけには行きません。
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