安倍政権論
治節は、好調です。多少の情勢の変化でも、ぶれません(笑い)。
この本は、これまでの歴代首相が「在任中には改憲しない」と明言したのとは対照的に安倍晋三氏は、任期中の憲法「改正」を公約に掲げる、その背景を探ります。その行動の背景に、日本の軍事大国化の完成と、「構造改革」の推進による国民統合の崩れの弥縫という支配層の課題があります。そのもっとも適した担い手として安倍政権が位置づけられたわけです。そこからは、改憲手続法を急ぎ、教育基本法「改悪」や「教育再生」にひた走る、安倍政権の姿が浮き彫りにされます。
本書では同時に、安倍政権の支え手に内包する矛盾をつきます。ただ、読んでいて、新自由主義の定義については気になるところ。治さんの監訳のバーヴェイの『新自由主義』では、財界を中心とする戦略のかなり広い部分を新自由主義とする。新保守主義や国家主義などの定義も同じ。これらの支配層の内包する矛盾については、もう少し考えたいところ。またなぜ、放言がくり返され、疑惑が続くのか。安倍氏がすすめているのが自民党の「改革」ではなく、自民党政治の維持にすぎないという点も深めたい。
いずれにしろ、改憲勢力にどう対抗していくのかは、選挙の結果如何にかかわらず、引き続き重要な課題である。そうした政治の流れを示してくれている。
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