沖縄戦と民衆
昨日、国頭村議会と嘉手納町議会が、教科書検定での沖縄戦での「集団自決」への軍の関与の削除に対する意見書を採択、これで沖縄の41の自治体すべてが意見書を採択した。文字通りに県民の総意としての意思が表明されたわけである。
もう一度、この沖縄戦の研究の到達点を知り、全体をつかもうと思って、あらためて『沖縄戦と民衆』という本を読んだ。
著者(林博史さん)自身の紹介は、
本書は沖縄の研究者の成果をふまえながらも、そこでは十分にとらえられてこなかった沖縄戦における住民像を明らかにしようとしたものである。沖縄の人々が日本軍の犠牲になったことは沖縄戦の重要な特徴であるが、そうした側面だけでなく、捕虜になるなという命令に逆らって集団で米軍に投降し多くの生命を救った人々やこんな戦争では死ねないと逃げ出した多くの脱走兵、他方では日本軍による加害に加担した住民たちの存在、など沖縄戦のなかの多様な人々の姿を詳細に明らかにした。沖縄では県をはじめ市町村が沖縄戦について詳細な調査をおこない自治体史を刊行しているが、そうした成果を徹底的に駆使して全体像に迫ろうとしたものである。
「集団自決」は、日本軍がいたところで起こっている。そして、その前後におこなわれた、日本軍による住民虐殺。沖縄という、もともと軍隊がいなかったところに、軍隊がやってきて、そこで住民との間になにが起こったのか。沖縄における、調査研究をしっかり駆使して、沖縄戦の全体像を描く、いま改めて読んでほしい一冊でもある。
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