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2007/06/06

「改憲」の系譜

Photo_13 共同通信が、過去に連載した企画に最近の取材を加えて、一冊にしたのが本書。大手メディアの手にかかるとこういうテーマの本は、イライラするのだが、わりあいと読みやすかった。とくに、新しいものというのがあるわけではないが、1章の日米同盟の現場、2章の自衛隊制服組の変容などは整理にもなるし、現代の日米同盟一体化のもとで起こっていることの姿を見せてくれている。
 私が、おもしろかったのは、兵器産業をめぐる動き。とくに三菱重工業がすでに数年も前からMDで、現在のPAC3やSM3につながるものを検討していたことなどは興味深く読んだ。
 こころに残ったのはやはり沖縄の話。若泉敬氏の沖縄返還をめぐる密約については、あまりにも有名な話だが、なぜ、彼が『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を書いたのかについては、あまり知らなかった。彼が、死の直前には、沖縄への痛恨の情をもっていたことなどもあまり知らなかった。この本については、しっかり読んだ記憶がない。数年前、古本市で買ってあるので、読まなければと思った。

 全体を通じ、感じるのは――誤解をうけるかもしれないれど、日米同盟一体化の現実と9条改憲の関係は、パンパンにふくらんだ風船のような状態にあるということ。つまり、いくわれてもおかしくないし、現状維持では解決しないほど、9条と日米同盟のあいだには矛盾が激しく、9条を蹂躙する事態が実際にすすんでいるということ。――それは、沖縄の問題が象徴的にしめしているのではないだろうか。集団的自衛権が問題になるのも、日本が現実には世界で有数の軍事力を――それも、アメリカと一体とならなければ、自己完結しない歪なものとして、もっていることからはじまる。そんな感想をもった1冊だった。(誤解を与えるかもしれませんね、この感想)

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コメント

こんばんは。GAKU@宿直中です。
「誤解」に関する部分について。僕は、この本を読み終えたときに、もし9条や日米軍事同盟の危険についてあまりよく考えたことのない人がこの本を読むと、どう思うだろうか、とちょっと心配になりました。

ここまで矛盾が大きいなら、ここまで9条が無視されているなら、現実にあわせるしかないのでは…。そんなふうに受け取られないだろうか、という危惧です。

もう1つは、「初めに日米同盟ありき」という人たち――若泉敬氏をふくめ――が、アメリカとのあいだで真剣に日本の「国益」を守るためにがんばっているかのように受け取られないだろうか、ということです。本当は、そこまでして日米同盟にこだわらなければならない理由はないのだし、「日米同盟ありき」の立場をやめれば、もっといろんな可能性が開けるのですが、そういう可能性があることが、はたしてこの本から伝わってくるだろうか、ということです。

いわれるところの「誤解」というのは、たぶんそれと共通しているのではないでしょうか。

 すっかりご無沙汰しています。私は弁当族ですし、夜は悪食が中心ですからなかなか会いませんね。そちらには尋ねずらいし(笑い)。
 共同の人とは、個人的には飲む機会もないわけではないし、苦労はよくわかります。イライラしますが、大手メディアとしては、こんな感じってとこでしょうか。
 そんなこことの関連で、「誤解」とあえて言うのは、9条を守るということと、9条が想定すべき問題との相違という問題です。安保や軍事を見ている人間からすれば、現状は、あまりもに9条とかけ離れているわけですから。共同の立脚点からすれば、それは鮮明になりますし、朝日の議論はよりその矛盾を鮮明にするでしょうね。
 その関連では、岩波の憲法講座についての評価はぜひお聞きしたいですね。私は2重基準ですから(笑い)。

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