雇用融解
洋さんのリクエストに応えて、『雇用融解』の感想です。最初は、割合知っている話という印象だったけど、読み終えてみて良くできた本だと思います。さすがに商業メディアのなかで、早い時期から、偽装請負を告発し、クリスタルの無法とたたかっただけのことはあります。
しかも偽装請負にとどまらないで、派遣の実態から「働き方の多様化」という言い方の欺瞞を告発。さらに、さまざまな非正規の実態をていねいに取材しています。外国人の研修制度やパート公務員の実態の告発などは圧巻です。
さらに、ホワイトエクゼンプションの導入を媒介に、正規労働者の働き方の問題に言及していることも、この本にふくらみをつくっています。医者や教師の働き方などについては、もっと紙数があってもいいのにと思うぐらいです。
もちろん経済論など実態の背景になるものなどの分析など注文をつければきりはありませんが、商業メディアのこれまでの限界を超え、大企業や政治のありようも視野にいれて、この問題を考える材料を十分に提起してくれます。
ただ、内容はかなり厳しいものがあります。正直、読み通すには精神的にもかなりダメージをうけます。それが正直、雇用をめぐる現実でもあると思うのです。こうした現状にたたかう”覚悟”を迫っているのかもしれません。
30歳の記者の手による本書。ぜひ、読んでみてください。
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