平均所得、過去17年で最低
たくさんの読むべき本の中を漂っていますが、いま読んでいる本のなかで、興味深いのが、この岩田先生の本。貧困とは何か。現代の貧困をどうとらえるか。データをもとに展開している。本人は教科書的と言っていますが、なかなか現在の日本の姿をジャーナリスティックに切り取っている、良書だ。全部、読んだ感想は後日。
ただ、この課題は、実に現在の、最前線の課題である。今日の新聞ではこんな記事がある。
平均所得、過去17年で最低 563万、過半数が生活苦(共同通信)2005年の1世帯当たりの平均所得は563万8000円で、平成になった1989年以降の17年間で最低だったことが30日、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査(概況)で分かった。「生活が苦しい」と回答した世帯数は調査を始めた86年以降で最多の56・3%。9年連続で過半数を占めた。…
明らかに、生活の基盤的なものが崩れつつある。が、同時に、貧困についての国民的な認識は、ある意味で、高度成長をへた70年代以降の日本社会にとって、はじめての課題であるかもしれない。貧困が、そばにある不安感を感じながら、底の抜けた貧困へのリアルな認識は、ある時点を越えない限りなかなか実感しずらいのも実際かもしれない。ただ、その時点の壁は、明らかに低くなっている。
不安は、ともすれば保守化をも誘導する。こうした日本の現状が、政治的にどこに向かうかは、まだある意味で、流動的だ。”棄民”とも言える、現代の貧困の様相がなぜ生まれたのか、だれがつくったのか。貧困の問題は、共感する想像力と、解決へのしっかりした議論を積み重ねることも同時に必要でもある。
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