財務省の効率化の論理が教育を駆逐するのか
世界標準がねじ曲げられるという点では、今朝の新聞で、もう1つこんな時期がある。
国立大85%は減額 競争型導入で財務省試算(共同通信)財務省は国立大学への補助金である運営費交付金について、従来の配分方法に競争原理を加味した試算をまとめ、21日開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に提示した。東大や京大など主に大規模な総合大学で交付額が増える一方、全体の85%に当たる74の大学法人は減額となり、これまでの一律的配分の構図が崩れる結果となった。
財務省は教職員数など規模によって大枠が決まる現行の仕組みを改め、予算配分でも研究成果など実績を重視する必要性を示している。財政審では配分方法見直しの方向では一致したものの、成果主義だけを軸とした改革には異論も出た。…
この原文はここにある。
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm
もともと、日本の教育予算が他のOECD諸国に比べ、ダントツに低いことは、もう常識になっている。その批判を、競争的な経費をふやすことで、もちこまれようとしている。
おどろくのは、この論理が義務教育にも持ち込まれようとしていることだ。
公立小中学校の統合、経費削減効果を強調へ 財政審(朝日新聞)公立小・中学校の統合を加速させよ――。財務相の諮問機関・財政制度等審議会(財政審)は6月初めにまとめる報告書(建議)で小中学校の統廃合による経費削減効果を強調する見通しだ。財務省は、527校を221校に統廃合した結果、年約170億円の削減効果があったとの資料をまとめ、「保護者にも好評」とするが、通学が不便になったとの反発もある。
財務省が財政審に提出した資料は、公立小は387校から161校に、公立中は140校から60校へ、それぞれ統廃合して05年4月に再出発した計221校を独自調査したもの。統合前後で公費支出を比べると、小学校で年129億円、中学校で45億円減ったという。 …
財務省の論理はこうだ。教育予算をGDP比で比較するのはまちがいであり、生徒一人あたりの教育費や教員の数は増えている。にもかかわらず教育をめぐる状況が深刻化しているのが問題であると。大切なのは、教育費をふやしたり、教員の数を増やすことではなく、どう効率的にそれを活用するかだと。
結果、提案されるのは、教員給与の効率化と学校規模の適性化などである。教員格差をつくり、学校を統廃合することをすすめる。これが財務当局の本音というわけである。
教員の専門性を高める支援と、学級規模の小規模化のための教員の配置は、世界の共通した流れでもある。ここでも教育の論理を、効率化のなかで排除しようという流れがある。
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