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2007年5月

2007/05/31

写真の力と…

Daysjapan_0706b 『DAYS JAPAN』最新号(6月号)は、特集:「慰安婦」100人の証言だ。
 買ってきて、見たけど、圧倒される。100人の写真が並ぶ。そこには、『ガンサンシー姉妹たち』の写真もならんでいる。近藤一さんの「日本軍は中国で女性に何をしたか ある日本兵の証言」、そして、林博史さんの「『慰安婦』強制の公文書」という一文も掲載されている。その写真は、いまだ、歴史に向き合うことに成功しきれない、日本の政治と社会に強いまなざしを向けている。

 はたして、自分は何を理解していて、何ができるのか。そのことを突きつけられているといつも思う。

 それは、『現代の貧困』を読んでいても、同じだ。自分は、何を理解し、何をしてきたのか。
 「写真には確かに力がある」。そして、われわれにもとめられるのは、「認識することによってもたらされる力」であり、「想像する力」だと、思い知らされる。

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頑張る母たちに負けないように

 今日は、私用があって、遅れて職場に。いくつかメールのやりとりをしたり、そのための文献を読んだり。教育関係の別の仕事にとりくんだり、いろいろ仕事をこなしていく。
 夕方、早めに職場を出て、それから地域で抱えている月末の仕事を少し。それから買い物をして、家に帰って夕食づくり。二男と2人で食事をしながら、中間テストの結果や夏期講習のこと、そして、化学のレポートのことなどのおしゃべり。

 ☆のまほうさんが、韓国のお土産をもってやってきた。彼女は、彼女のブログに紹介されているように、先日韓国ではじめて開催された反核集会に参加してきたのである。勉強中のハングルを使った奮戦記や若い人たちとの交流など、なかなかいきいきと語ってくれた。仕事の忙しさなど悩みは尽きないが、それでも、新しいことにチャレンジしている姿はうらやましい。

 わが、つれ合いのほうも、今日は、大学院の特別支援教育コースの、研究内容についてのポスター発表と交流の会に行っていた。指導の先生の援助のもと、しっかり計画を立てて、勉強をすすめているようだ。勉強している姿も、ずいぶん増えたし、最近は、すこし、自信をもって勉強している感じがする。

 私のほうは、どれだけ、新しいことにチャレンジできているのだろうか。条件は違うけど、気構えは負けないようにしたいもの。ひたすら、前を向くことぐらいしから取り柄がないわけだから。

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国会が壊されかかっている…

 国会が壊れかかっているというか、壊されかかっているというか、いま国会を見ていると重大な事態になっていると思います。たとえば、いわゆる「消えた年金」「宙にういた年金」といわれる問題をめぐって、年金特例法案が、提案された翌日に、わずか1日の審議で強行採決されるということが行われました。この問題をめぐっては、現在の年金制度の根本的な弱点――相互扶助と社会的な支援をミックスした制度が十分機能していないものになっていることにも関係するいうような論点もあり、安倍首相の見解には、ていねいな反論が必要な感じをもっているのですが、いずれにしろ、今回の問題の責任をあたかも、政府には責任はなく、国民の側にある責任を救済するというような政府の姿勢に対しては、国民誰もが納得できるものではないでしょう。にもかかわらず、まともな審議もなされずに、強行するのです。しかも、この問題の解決に責任を負うべき社保庁を、何ら検討もなく解体する法案とあわせて一気に成立をはかろうというのですから、もう無茶苦茶です。

 3分の2議席の奢りというものは、恐ろしいものです。同時に、そこから、どうしようもないほども、政権与党の焦りというものも感じます。なりふり構わず、いま力で押し切らないと、大変なことになるという焦りです。

 考えてみれば、今度の国会では、おどろくようなペースで悪法が審議され、可決されています。いずれ、抗した政治に対抗する流れが国民の中から強まることを予感するようにです。受けてたって、そうした流れを広げていかなくてはなりません!

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2007/05/30

戦争と罪責

Photo_11 日本ではなぜ戦争の加害が語られないのか? 考えてみれば、中国における戦争に、莫大な日本人が参加している。激戦区だった山西省をはじめ、相当数の日本の兵士が日中戦争を経験しているのだ。この地で、残虐な行為がくり広げられたことは、日本側の兵士の記録や証言、中国の側の記録でも、ほぼ論争の余地ないほど明らかであるはずだ。
 しかし、なぜ、この戦争の”記憶”というものが、日本で継承されないのか? ある意味では、不思議なテーマでもある。そのことを理解したいと思い。この間、日中戦争にかかわる文献を読みあさっている。10年ほどまえ『世界』で連載されていて、少し読んでいた、野田さんのこの本も、もう一度、読んでおく必要があると思って、読んでみた。
 彼が、精神医学の立場から、罪の意識のされた方について、紐解いていく。もちろん、この課題は、戦後の国際政治の側面など多角的な視点が必要なことはいうまでもない。しかし、兵士たち、そして戦後の日本人の精神史の課題としての氏の指摘は十分な説得性をもって問題の本質をえぐる。氏の日本の民主主義のあり方=私流に言い換えれば日本の戦後社会の「人間の尊厳」や「人権」というものに対する捉え方の欠陥というものをあぶり出していることは否定のしようがない。
 
 加害と向き合った、兵士たちの生き様は、示唆に富む。私たちのあるべき方向をも指し示す。それは、戦争責任を継承すべき、われわれ戦後世代に求められる課題でもある。加害の責任に向き合うためには何が必要であるのか。そのことをしっかり受けとめて、この問題に向き合う必要性を根底から問いかける。そんな貴重な一冊でもある。
 まだまだ、たくさん知らなければ、感じなければならないことは多い。

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雇用は改善されたのか

 今日の新聞では、次のような時期が並んでいる。

4月失業率3・8%に改善 9年1カ月ぶり4%割れ(共同通信)

 総務省が29日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0・2ポイント改善の3・8%と、1998年3月以来9年1カ月ぶりに4%を割り込む良好な水準となった。
 景気拡大が続いていることに加え、「団塊の世代」の大量退職が本格化し、企業の新卒採用が好調なことが、失業率の低下につながった。総務省は「雇用情勢の改善は続いている」と分析している。…

 本当に、雇用は改善したのか?
 そのことに疑念をもたざるを得ない指標がいくつかある。たとえば、「若者の失業率が15歳~24歳で7.5%、25歳~34歳でも5.0%と、相変わらず高いこと」。そのほか、非正規雇用は33・7%と過去最高を記録している。それだけではない、たとえば正規雇用を見ても、トヨタのように、その中心は期間採用であったり、ユニクロのように、地域限定採用というように労働条件に、格差がつけられていたりする。そして、いっぱしの正規雇用をされた人の働かされ方はいったいどうなっているのか。

 企業のありようが変わったわけではない。人間らしい労働になっているのか――働かされ方を見つめる必要が求められている。

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平均所得、過去17年で最低

Photo_10 たくさんの読むべき本の中を漂っていますが、いま読んでいる本のなかで、興味深いのが、この岩田先生の本。貧困とは何か。現代の貧困をどうとらえるか。データをもとに展開している。本人は教科書的と言っていますが、なかなか現在の日本の姿をジャーナリスティックに切り取っている、良書だ。全部、読んだ感想は後日。

 ただ、この課題は、実に現在の、最前線の課題である。今日の新聞ではこんな記事がある。

平均所得、過去17年で最低 563万、過半数が生活苦(共同通信)

 2005年の1世帯当たりの平均所得は563万8000円で、平成になった1989年以降の17年間で最低だったことが30日、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査(概況)で分かった。「生活が苦しい」と回答した世帯数は調査を始めた86年以降で最多の56・3%。9年連続で過半数を占めた。…

 明らかに、生活の基盤的なものが崩れつつある。が、同時に、貧困についての国民的な認識は、ある意味で、高度成長をへた70年代以降の日本社会にとって、はじめての課題であるかもしれない。貧困が、そばにある不安感を感じながら、底の抜けた貧困へのリアルな認識は、ある時点を越えない限りなかなか実感しずらいのも実際かもしれない。ただ、その時点の壁は、明らかに低くなっている。

 不安は、ともすれば保守化をも誘導する。こうした日本の現状が、政治的にどこに向かうかは、まだある意味で、流動的だ。”棄民”とも言える、現代の貧困の様相がなぜ生まれたのか、だれがつくったのか。貧困の問題は、共感する想像力と、解決へのしっかりした議論を積み重ねることも同時に必要でもある。

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2007/05/29

正規・非正規の給料格差「さらに広がる」

 働く条件に対して、圧倒的に不安が広がっている。たとえば、今日の読売では、

正規・非正規の給料格差「さらに広がる」74%(読売調査)

 読売新聞社が19、20の両日に実施した「勤労観」に関する全国世論調査(面接方式)で、企業の正社員など正規社員と、パートや派遣社員など非正規社員との給料の格差が今後、さらに広がると考えている人は、「どちらかといえば」を合わせて74%に上った。「そうは思わない」は計20%だった。非正規社員に限ると、「そう思う」は計82%に達した。
 …正社員と同じ仕事をしている非正規社員には同額の給料を支払う「同一労働・同一賃金」を実施すべきかについては、「そう思う」が計74%に上った。「そうは思わない」は計23%だった。パートや派遣社員、契約社員など正規社員以外に雇用形態が多様化していることについて、「望ましくない」は計50%で、「望ましい」計44%を上回った。
 正社員と非正規社員の給料格差の改善やフリーターの人たちが安定した職業につけるようにするため、安倍内閣が取り組んでいる「再チャレンジ支援策」について、「期待できない」が計55%で、「期待できる」計39%を上回った。とくに対象となる20歳代、30歳代で「期待できない」は計59%に達した。

 かなり明確な形で、将来への不安が広がっている。これが、政治的にどのような意識につながっていくかは、まだ定かではないが、参議院選挙に向け、世論の動向は大きな変化をする可能性はきわめて大きい。政治が、政党が、この不安にどう向き合っていくかが問われている。

 ちなみに、労働をめぐっては、今日、こんな記事もあった。

「マッスルミュージカル」労組が抗議(スポニチ)

 元体操選手らが舞台でパフォーマンスを披露する人気のショー「マッスルミュージカル」の出演者らでつくる労組が、制作会社側の一方的な賃下げに抗議して交渉を求めたメンバーを職場に入らせず、舞台の降板も強いたのは不当労働行為だとして28日、東京都労働委員会に救済を申し立てた。
 申立書などによると、今月下旬から予定されていた米国公演への参加を希望しなかった出演者に対して、会社側は3月分から20~50%の賃金を引き下げた。出演者らが抗議して交渉を求めたが会社側が応じないため、4月下旬に労組を結成。しかし、会社側はほかの出演者を通じて組合を脱退するよう組合員に求め、当初15人いたメンバーが5人に減少。その上、会社側は残った組合員を職場に入れない措置を取った。

 たたかいに立ち上がる時代でもある。

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驚くべき靖国DVDの中身

 午前中から忙しい日。なかなか疲れがとれなくて困っている。会議もあり、少し手をあいだ時間に、最近話題の靖国DVD=日本青年会議所がつくったアニメDVDを見た。
 先日も紹介したが、この台本はhttp://www07.jaycee.or.jp/2007/strength/modern/modules/smartsection/item.php?itemid=14にある。DVDを見てみて、驚いた。アニメと言えでも、結局は講義である。ほとんど、アニメとしての物語は存在しない。ただ、過去から来た(特攻隊員であった)青年が歴史を語るという講義だ。これでは、若ものたちを導くことに自信がないのか、討論と学習のプログラムまでつくられている。これを、学校にもちこうもうというのだ。

 このプログラムの目的は、

 わが国日本は、戦後から奇跡的な経済成長を遂げる一方で、『勇敢で高潔なる大和魂』、『他を慮る思いやり溢れる道徳心』、『指導者の規範としての武士道精神』といったこの国伝統の精神性は忘却の彼方へと追いやられてしまいました。また、戦後60年以上も経過した今でも『東京裁判史観』に苛まれ、外交問題、とりわけ近隣諸国との関係においては、日本人としてのリーダーシップを発揮できず、時には真実に目を覆いながら現在まで歩んでまいりました。

 そのような行動は正しい歴史観の確立を妨げるばかりか、礼儀作法に始まる道義国家、美しき日本の精神文化までを葬り去ってしまいます。いまこそ、私たちは日本人としての視点から次代を担う子どもたちに確かな歴史を伝え、この国を創ってこられた先人を敬い、家族愛、郷土愛から繋がる国を愛する心を育んでいかなければなりません。国を愛する心を育むためには、まず日本の素晴らしさを知ることが大切です。
 私たちが次世代に託すべき日本の素晴らしき歴史、精神性をこのプログラムを通じて伝えることで自然と心情から沸き起こる気持ち、本当の意味で国を愛する心が芽生え「日本に生まれて本当によかった」と子どもたちに感じてもらいたいと思います。

 とされている。

 もはや説明のない偏狭な内容である。中身も、「靖国史観」そのものである。それを、こともあろうに、文部科学省は今年度の「新教育システム開発プログラム」の委託事業として採用しているのだ。やり方が、詐欺的でもある。なぜならば、この「新教育システム開発プログラム」は、研究内容を公募し、採択された団体に委託費を提供しするのであるが、採択にあたって研究内容の審査をする文科省の有識者会議のメンバーには、青年会議所の池田佳隆前会頭自身が加わっているのだから。自分で自分を選ぶなど、公的な機関のするべきことではない。

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2007/05/28

大事な資料をどう読み込むか

 すみません。まだ十分読み込めていないので、コメントは後日にしますが、とても大事な資料なので紹介しておきます。
 1つは、集団的自衛権の見直しの議論です。安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の第一回目の会合の議事要旨などが、ホームページにアップされています。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou/index.html
 集団的自衛権の政府解釈を擁護する発言は「なかった」(柳井座長)という異様さです。

 もう1つの資料は、中央教育審議会教育振興基本計画特別部会の資料です。文部科学省のHPにはなかなかのらないものですが、ここにありました。
http://www.kyoi-ren.gr.jp/
 教育再生会議の議論は、軽視できませんが、教育改革を具体的な政策としてどのように具体化していくかという点では、新しい教育基本法で定められたこの教育振興基本計画が、大きな意味をもつことになります。どのように経済に役立つ、教育像をスケッチしていくのかということが、読みとれる感じがすます。
 詳しくは、ちょっと読み込んで見たいと思いますが。

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日本の教員統制の異様さ

 今日の朝日新聞には、次のような記事がのっていた。

ILOなど日本に調査団 「指導力不足」教員の認定めぐり(朝日新聞)

 日本の教員の地位は国際的に見て保護されていると言えるのかどうかを確かめるため、国際労働機関(ILO)とユネスコの合同専門家委員会(CEART)が年内にも日本に調査団を送ることがわかった。CEARTは03年、指導力不足教員の認定と教員評価制度について、「教員の反論の機会が十分でない」として、教職員団体と文部科学省が対話するよう勧告したが、政府は「国内の事情を理解していない」と受け入れを留保してきた。 …

 日本の「教育改革」の根底は、異様とも言える教員組合に対する敵視がある。それは、自民党のHPなどを見ると、おどろくほどすぐにわかる。現在の国会でも、指導力不足教員の扱いを盛り込んだ教育公務員特例法の「改正」案が審議されており、いっそう教員統制が強まれようとしている。

 もともと、全教が、提訴・調査団の派遣を要請し、文部科学省が、受け入れを保留していたものだが、今回、文部科学省も合意したことで、調査団の派遣となった。日本の教員統制が世界からは、どう見えるのか。注目される。

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永田町に衝撃が走った

 永田町に衝撃が走った。いうまでもなく、松岡大臣の「自殺」である。これにより、安倍内閣は、末期的な状況に突入するのだろうか。
 遺書が6通残されていたというが、いまの時点でその内容は定かではない。

 いずれにしろ、この事件の背景には、永田町に走ったもう一つの衝撃あることが推測される。毎日新聞の以下の記事だ。

毎日世論調査:内閣支持率32%に急落 不支持率は44%(毎日新聞)

 参院選で自民、民主どちらに勝ってほしいか 毎日新聞は26、27両日、電話による全国世論調査を実施した。安倍晋三内閣の支持率は32%で、4月の前回調査比11ポイント下落、昨年9月の政権発足以来最低となった。不支持率は44%で最高となり、2、3月の調査と同様に支持を上回った。夏の参院選で自民、民主のどちらに勝ってほしいかを尋ねた質問では民主が初めてリード。選挙が今あった場合の投票先を問うた質問も比例代表、選挙区ともに民主が自民を抑えた。年金保険料納付記録5095万件が不明になっている問題に有権者が厳しい目を向けていることをうかがわせた。

 おそらくこの世論調査の結果は、事前に、自民党には届けられていたことだろう。緑資源関連の献金問題もある。さまざまな動きのが注目される時期でもあったはずだ。

 松岡氏に象徴されるような「政治とカネ」の問題は、結局、「闇」に氏とともに葬られることになるのだろうか。「政治家」という仕事は過酷なものだと思うが、政治家は自殺してはいけない。政治家なら、真相を語るべきではなかったのだろうか。政治資金規制法の「改正」なるものの底の浅さも、見えてくる。

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2007/05/27

パッチギ! LOVE&PEACE

Entry10 今日は、久しぶりに10時過ぎまで寝ていました。午後からは、団地の管理組合の総会。途中で抜け出して、パッチギ!を見てきました。どうしても見たかった作品です。

 74年。京都で大暴れしていたアンソン(井坂俊哉)は、病にかかった息子チャンス(今井悠貴)の治療のために、一家を引き連れ東京に引っ越してきた。アンソンはある日、駅のホームで宿敵近藤(桐谷健太)と遭遇し、彼が率いる大学応援団と朝鮮高校生との大乱闘に巻き込まれるが、気のいい国鉄職員の佐藤(藤井隆)に助けられる。佐藤はその争いが原因で国鉄をクビになってしまうが、アンソンの家族とも親しくなり妹キョンジャ(中村ゆり)にほのかな思いを抱く。

 キョンジャはふとしたきっかけで芸能プロダクションからスカウトを受け、狭い世界を飛び出したいという思いとチャンスの治療費を稼ぐためにも、芸能界で頑張ろうと決意する。タレントとしての一歩を踏み出すものの、なかなか芸能界のしがらみに馴染めないキョンジャに声を掛けてくれたのは、自然体で業界に染まらずにいる先輩俳優の野村(西島秀俊)だった。やがてキョンジャは迷いながらも野村に惹かれ始めていく。一方チャンスの病状は次第に悪化し、日本では助かる術がないと宣告されてしまう。アンソンはアメリカでの治療にかかる莫大な費用のために無謀な計画を立て、佐藤を巻き込みたった2人で危険な仕事へと突っ走っていくが…。
 愛する者の命を救うために、全てを投げ出し全力疾走するアンソンたち。果たしてキョンジャと野村の恋の行方は? アンソンと佐藤のとんでもない作戦とは? そして彼らはその手にLOVE&PEACEをつかむ事ができるのか!?

 以上は、公式ホームページのストーリー紹介。しかし、この作品のクライマックスは、何と言っても、キョンジャが出演する映画の舞台挨拶のシーン。そして、そこに、父親の世代の体験が重なってくる。それがすごいのだ。製作者たちがいいたかったことは、アンチ石原映画ということ以外何者でもない。そして、死ぬことは「美しい」ことではなく、どんなことがあっても生きのびよと。
 前作以上にメッセージは強く明快だ。それが強すぎて、作品全体のバランスを崩しているという批判も出されるだろう。しかし、日本でもこういうメッセージの強く、ストレートな作品があってもいいし、あるべきだ。たぶん、みればみんな驚く。そんな映画だ。まあ、乱闘シーンは、閉口するけど、やっぱ、「パッチギ!」は、圧倒的に面白かった。

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2007/05/26

靉光展

Photo_9 朝から会議、昼に学習会、そして午後は、靉光展に行ってきた。
 ウィキペディアの解説では「昭和前期(戦前・戦中期)の洋画家。本名:石村日郎(にちろう)。シュールレアリズム風や宋元画風など、特異な画風で知られる。また戦争の犠牲となった芸術家の象徴的存在ともいわれる」。
戦争の時代に生きた代表的作家である。が、ほとんど、紹介される機会はない。池袋モンパルナスに関する展覧会で、何度か見たことがある。まとまって見たのははじめて。
 戦時下に一筋の光のように、輝いた彼らと言うだけでなく、芸術的にも、日本で新しい時代を切り開こうとした、そんな流れがよく分かる。そんな絵だった。夫人を描いた絵や、眼のある風景なども印象的。最後の、3つの自画像はいつまでも離れがたい。

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メタボラ

Photo_8 まいったなあ。これが感想。桐野夏生の本は、ずけずけと、人の心のなかに踏み入ってくる。孤独、妬み、嫉妬、劣等感、渇望、そして絶望。
 メタボラという言葉は、新陳代謝っていう意味だ。まるで現代社会が生きるために新陳代謝をすすめるために、排除していく世界の、そんな物語だった。
 DV、家庭崩壊、派遣・請負、ニート…。ラスト・シーンは、まだ見ぬ絶望があるということなのだろうか。絶望を冷たく見つめる。そこに、何かを見ようと言うのだろうか。10日間ぐらい、落ち込むなあ。いつものことだけど。

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2007/05/25

教育再生会議 第二次報告の発表へ…

 今日の朝刊には、教育再生会議の第二次報告の骨子が掲載されている。もちろん、再生会議のHPには何も出されていない。再生会議が非公開である以上、その運営委員会なるものも非公開ですすめられている。世論を気にして、新聞社にリークされるということだろうか。

学校に理不尽な要求する親、教委が対応 再生会議(朝日新聞)

 政府の教育再生会議(野依良治座長)が来月初めにまとめる第2次報告案の概要が明らかになった。問題があるとされる保護者の対応に教育委員会が乗り出すなど「親」への対策を打ち出しているのが特徴だ。ただ、緊急提言を見送った「子育て指南」については、子育て支援策の拡充にとどめた。6月にとりまとめる政府の「骨太の方針」に盛り込む。
 報告案の概要によると、課題を抱える子どもだけでなく、保護者への対応で困っている学校を支援するため教育委員会に「学校問題解決支援チーム」(仮称)を新たに設置。チームには警察官OBや弁護士、臨床心理士などが参加し、学校に理不尽な要求をするいわゆる「モンスターペアレント」と呼ばれる親の対応にあたる。教委を「指導」から「共に考え、支援する」立場に転換すると提言している。 …

 夕方には、もう少し個別の論点が、報道される。

道徳に検定教科書…再生会議(読売新聞)

 政府の教育再生会議は25日、現在、小中学校で正式な教科でない「道徳の時間」を、「徳育」として「特別な教科」に位置づけ、国の検定教科書の使用を求める提言を打ち出すことで大筋一致した。
 現状では、学校現場で道徳教育の徹底が十分でないとして、検定教科書の使用による充実が必要だと判断した。6月1日に安倍首相に提出する予定の第2次報告に盛り込む方向だ。…

 第一次報告も、そのまま、教育三法につきすすんでいった。第二次報告の意味も小さくはない。しかし、その内容は、ほんとうに、議論を多角的にすすめる必要はないのか。

 このブロクで何度も書いていることだが、一方的な「道徳」の押しつけは、子どもを危機的な状態に追いやりかねない。もちろん、道徳と言うことが一般論として大切であることは否定できない。ならば、いま、必要なのは、国民の間での議論ではないか。それをどう促進するかということが、為政者に求められることではないのか。
 非公開で、うさんくさいやりかたで情報が出される、こうしたすすめ方は、議論のあり方そのものが問われているのではないか。

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2007/05/24

これで教育再生を語る資格があるのか

 先日の新聞にこんあ記事があった。

35人学級実現、教員給与3千億円増 中央教審特別部会(朝日新聞)

 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の「教育振興基本計画特別部会」が10日、都内で開かれ、委員の小川正人・東京大教授が全国の公立小中学校すべてで35人学級を実現するには、教職員を約4万5000人増やす必要があり、給与支払額は年間約3000億円増えるとの試算を発表した。小川教授は「教職員の多忙な状況を改善するためには、こういう支出を検討する必要がある」と述べ、多くの委員も賛同した。 …

 OECDの加盟国は、どこも学級の編成基準は35人以下である(日本は40人)。日本は世界基準に遅れており、その基準に追いつくための試算である。
 問題は、中教審は公開が原則なのに、今後こうした問題を審議する小委員会は非公開にするというのだ。なぜか。

 どうも、官邸がこれに消極的であるようなのだ。

教育予算『聖域化せず』 首相、財政再建路線を堅持(東京新聞)

 安倍首相は二十二日午後の参院文教科学委員会で、来年度の教育予算に関連して「国が大きな借金を抱える中、国民に責任を果たしていくには財政再建を進め、行政改革を聖域なく進めていかないといけない」と述べた。
 教育予算をめぐっては、安倍内閣が教育再生を最重要課題に掲げていることから、与党内にも大幅な財政支出を求める声があった。首相の発言は、こうした要望を否定し、財政再建路線を維持する姿勢を明確にしたものだ。
…首相は「すべての行政分野で改革を行っている中、たとえ教育分野であっても直ちに(方針を)変更するというわけにはいかない」と述べ、予算配分で教育分野を特別扱いしない考えを表明。その上で「行革を進めていく中で、効率化を図りながらメリハリをつけ、真に必要な財源は確保していきたい」と述べた。

 教育にさまざまな議論があるが、少人数学級の効果は、これまでの調査でも、共通してはっきりしている点である。これに背を向ける安倍内閣に、果たして教育再生を語る資格があるのだろうか。

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なぜ企業献金の問題を指摘しないのか

 昨日の衆院予算委員会で「政治とカネ」の集中審議がおこなわれた。折しも今日は、農水省がらみの緑資源の談合事件も逮捕者が出て、捜査が入った。
 今日の、新聞には、昨日の国会審議のことが社説でとりあげられている。

【朝日】政治とカネ―踏みにじられた倫理綱領 【毎日】政治とカネ 泥仕合ではすまされない 【東京】松岡農相 かばう首相の見苦しさ 【北海道】政治とカネ*疑惑の糊塗は許されぬ

 たしかに、カネの支出は透明でなければならない。政治である限り、それは民主主義のあたりまえの前提であるべきだ。しかし、不思議の思うのは、「政治とカネ」の問題の、もっとも大きな問題と言うべき企業献金については、どの新聞もまともにとりあげようとしないことだ。

 考えてみれば93年の政治改革の際、日本経団連は次のようにのべていた。

「企業献金に対する考え方」

「今後は、政治資金を公的助成と個人献金で賄い、企業献金に過度に依存しない仕組みを確立していく必要があり、政府は、そのための環境整備を早急に行うべきである」「企業献金については、公的助成や個人献金の定着を促進しつつ、一定期間の後、廃止を含めて見直すべきである」と。

 いまは、経団連が政党の政策を評価し、それで、政治献金額を決めている。これって買収と呼ばずになんと呼べばいいのだろうか。
 だいたい、先進国でも、日本のように企業の献金に何の規制もない国はない。企業献金の禁止が世界の常識でもある。圧倒的な資金力をもつ、企業の献金は主権者である国民の権利を侵害するからだ。

 いよいよ国政選挙が迫っている。国民の政治選択にとって、「政治とカネ」の問題は、大きな基準であるべきだ。しかし、自民党も民主党も多額の企業献金をうけている政党である。だから、いまの国会で、この企業献金を問題にすることはできないし、法律で禁止していない以上、司法で問題にするにも限界がある。ならば国民が判断するしかない。だからこそ、メディアがこの問題をとりあげる責任があるのではないか。経営基盤が、不安定化し、広告収入に頼る大手メディアには、そのことは不可能なのだろうか。

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2007/05/23

米軍再編と沖縄戦と――現地の声を

 在日米軍再編特別措置法が参院本会議で、与党などの賛成多数で成立した。

 そのポイントは次の通り。(中日新聞より)

 一、防衛相が再編で負担の増える自治体を「再編関連特定周辺市町村」に指定。再編の進ちょく状況に応じて再編交付金を支給。

 一、大幅な負担増となる自治体には道路、港湾整備などの公共事業で国の補助率をかさ上げ。
 一、在沖縄米海兵隊のグアム移転に伴う融資などのため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例措置を創設。
 一、2017年3月31日までの時限立法。再編実施が遅れる場合は交付金の支給期間を最大5年間まで延長可能。
 一、基地労働者の雇用継続に役立てるため、技能教育訓練を実施。

 アメリカの基地強化につながる米軍再編を、カネの力で地方に押しつけようと言うのだ。カネの力だけではすまないならと、沖縄の辺野古には、自衛隊の艦船まで投入した。安倍さんは「活用だ」と言ったが、自衛隊は何にもで活用できる組織に、いつからなったというのであろうか。(法的な根拠もあるんだろうか)

 一方で、沖縄の集団自決(自死)の教科書の記述の削除にかかわって、現地の新聞が次のように報道している。

「集団自決」の軍関与削除 座間味、渡嘉敷撤回意見書へ(琉球新報)

 【座間味・渡嘉敷】座間味村議会(金城英雄議長)、渡嘉敷村議会(島村武議長)は22日、全員協議会を開き、教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に関する記述で日本軍による命令などの表現が削除されたことに対し、検定意見を撤回するよう国に求める意見書を提案することを決めた。座間味村は29日に臨時議会を開き、意見書を全会一致で可決する見通し。渡嘉敷村は6月14日開会の6月定例会に提案。初日の14日に全会一致で可決する見通し。…

 犠牲者の声が踏みにじられるというのが、軍隊の本質だろうが、それが、いま政治の全体を覆いつつあるのだろうか。沖縄の声に、ちゃんと耳を傾けていたい。

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なぜ「靖国派」と財界がむすびつくのか

 靖国派の話題を続けます。
 「構造改革」をすすめた小泉政権にかわって登場した、安倍政権は、その構成員が、日本会議という靖国派でしめられていることは、発足当初から注目されていました。しかし、なぜ、新自由主義という「自由」で「グローバル」な「改革」を求める、財界までもがこの、安倍政権を支援するのでしょうか。

 「教育再生」というものも、その内容を見れば、きわめて復古的であることがわかります。しかし、教育再生を、民間の側からひっぱる靖国派の組織であるといえる教育再生機構にも、経団連のメンバーが名をつらねたりもしているのです。

 きょう、GAKUさんのブログで、次のような提言があるのを知りました
「10年後のビジョン-目指すべき国の姿-『再び、誇りの持てる国へ』」
「教育再生に関する意見・要望 ~教育再生会議第一次報告を踏まえて~」
 いずれも、関西経済同友会の手によるものです。ここでも、靖国派と財界との奇妙とも言えるむすびつきが見られます。

 ここでは、「かつてのような美しい日本を取り戻すためには、日本人が、その根底に受け継いできた美意識を呼び覚まし、自らの美しさを再生していけるような教育の改革が必要である」とまで言い、教育勅語を礼賛して、現代版の教育勅語の制定を提案しているのです。

 私は、かつて、このブログで、「強い国家づくり」というのが、この2つの勢力をむすびつけるキーワードだと言うことを言ってきました。それま、まちがいなくそうなのですが、実は、より根が深いというのが感想です。高い学力と規範意識を財界は求めています。しかし、そこで求める処方箋は、競争の強化と、戦前につながる「道徳教育」というのでは、何ともはやです。

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2007/05/22

最初から本音ですか――集団的自衛権で柳井氏

 もう最初から、結論があることをそんなにはっきり言うとは…。いやあ、驚きというか、国民の声なんてどうでもいいんでしょうね。そして、専門家の議論などもお構いなしにすすめるというのでしょうか。

憲法解釈変更が必要 有識者会議の柳井座長(共同通信)

 集団的自衛権行使に関する政府の有識者会議で座長を務める柳井俊二前駐米大使は21日夕、都内で講演し「日本が置かれた安全保障環境が大きく変わる中、60年前の状況で考えられた憲法解釈で今後も生きていけるのか」と述べ、行使を禁じた解釈見直しの必要性を強調した。
 同時に「日本国民の生命、財産を守ることを基本に考えて検討すべきだ。同盟国を助けることは自分たちを助けることにもなる」と述べ、集団的自衛権行使による日米同盟強化が日本の安全につながるとの認識を重ねて示した。…

 こんなことを許していては絶対にダメです!

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財務省の効率化の論理が教育を駆逐するのか

 世界標準がねじ曲げられるという点では、今朝の新聞で、もう1つこんな時期がある。

国立大85%は減額 競争型導入で財務省試算(共同通信)

 財務省は国立大学への補助金である運営費交付金について、従来の配分方法に競争原理を加味した試算をまとめ、21日開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に提示した。東大や京大など主に大規模な総合大学で交付額が増える一方、全体の85%に当たる74の大学法人は減額となり、これまでの一律的配分の構図が崩れる結果となった。
 財務省は教職員数など規模によって大枠が決まる現行の仕組みを改め、予算配分でも研究成果など実績を重視する必要性を示している。財政審では配分方法見直しの方向では一致したものの、成果主義だけを軸とした改革には異論も出た。…

 この原文はここにある。
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm

 もともと、日本の教育予算が他のOECD諸国に比べ、ダントツに低いことは、もう常識になっている。その批判を、競争的な経費をふやすことで、もちこまれようとしている。
 おどろくのは、この論理が義務教育にも持ち込まれようとしていることだ。

公立小中学校の統合、経費削減効果を強調へ 財政審(朝日新聞)

 公立小・中学校の統合を加速させよ――。財務相の諮問機関・財政制度等審議会(財政審)は6月初めにまとめる報告書(建議)で小中学校の統廃合による経費削減効果を強調する見通しだ。財務省は、527校を221校に統廃合した結果、年約170億円の削減効果があったとの資料をまとめ、「保護者にも好評」とするが、通学が不便になったとの反発もある。
 財務省が財政審に提出した資料は、公立小は387校から161校に、公立中は140校から60校へ、それぞれ統廃合して05年4月に再出発した計221校を独自調査したもの。統合前後で公費支出を比べると、小学校で年129億円、中学校で45億円減ったという。 …

 財務省の論理はこうだ。教育予算をGDP比で比較するのはまちがいであり、生徒一人あたりの教育費や教員の数は増えている。にもかかわらず教育をめぐる状況が深刻化しているのが問題であると。大切なのは、教育費をふやしたり、教員の数を増やすことではなく、どう効率的にそれを活用するかだと。
 結果、提案されるのは、教員給与の効率化と学校規模の適性化などである。教員格差をつくり、学校を統廃合することをすすめる。これが財務当局の本音というわけである。

 教員の専門性を高める支援と、学級規模の小規模化のための教員の配置は、世界の共通した流れでもある。ここでも教育の論理を、効率化のなかで排除しようという流れがある。

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誰がどのように世界標準をねじまげるのか

 朝、新聞をめくると、まずこんな記事が目に入った。

「最低賃金上げは失業増もたらす」 規制改革会議が意見書(東京新聞)

 政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は21日、格差問題の解決に向けた労働法制の見直しを求める意見書をまとめた。意見書は、安倍政権が検討している最低賃金の引き上げについて「不用意に引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらす」と慎重な姿勢を示した。
 同日、記者会見した規制改革会議の福井秀夫委員(政策研究大学院大学教授)は最低賃金引き上げについて「雇用が継続された労働者の生活が向上するメリットがある一方、上げ幅に見合った生産性を達成できない労働者に失業をもたらす副作用があることに配慮すべきだ」と述べた。…

 意見書の本文は、ここにある。http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0521/item070521_01.pdf

 そもそも、日本の最低賃金は先進国のなかでも異常に低い。最低生活を保障する賃金であり、同一労働同一賃金が世界標準であるとしれば、なぜ日本では、こうも簡単にこの基準がねじ曲げられているのか。非正規雇用が拡大し、この最低賃金そのものも心許ない状態にある。
 規制改革会議の議論は、その構成からいっても財界が中心である。経済諮問会議も民間委員という名で、財界の意見が反映する。そこには専門的な論議や世界でどのように論議されているのかは、蚊帳の外に置かれている。

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2007/05/21

何やらどこかの政権党の政治家に似てはいないか

 歌舞伎俳優の中村勘三郎が、襲名披露などの祝儀について申告漏れがあったというニュースが流れた。

中村勘三郎さん申告漏れ 18代襲名祝儀など7千万円(共同通信)

 歌舞伎俳優の中村勘三郎さん(51)=本名・波野哲明=が東京国税局の税務調査で、襲名披露の際に受け取った祝儀を申告していなかったなどとして、2005年までの3年間に約7000万円の申告漏れを指摘されたことが21日、分かった。
 …関係者によると、勘三郎さんは05年に18代目中村勘三郎を襲名し、東京都内で同年1月に開いたパーティーなどで多額の祝儀を受領。これを自分の事業所得として申告していなかったり、架空経費の計上などで所得を圧縮していたという。

 先日も、落語家の林家正蔵で同じようなケースがあったばかりだ。私は、落語や歌舞伎の世界のなかはよくわからないが、もともと、祝儀というようなものは、課税ベースの収入として処理されないような気風というものが、この世界には存在しているのではないかと感じてしょうがない。そんな土壌が、べつに申告しなくてもいいというような、お金に対して、一般では理解できないような感覚をつくりだしているのではないだろうか。

 政治の世界でも、同じようなお金はたくさんある。別に裏金と言われるものではなくても、たとえば自民党という政党が、政治家個人に渡す寄付は、政治資金規正法上は合法の行為である。ところが、個人に渡されるわけで、それがどのように使われたかは、政治団体のように収支として公表されることはない。つまり、闇に消えていく。それが、何億という単位で存在している。こうした土壌が、ある種の政治家のお金に対する感覚の麻痺を生んでいる。
 ようは、近代的な社会システムにまで、成熟していないということの証でもあるような気がする。

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うつ状態:中学生の4人に1人

 少年Aの事件の番組を見たあと、少し、気になる記事のことを思い出した。10日ほど前に、新聞で報道されたもの。

うつ状態:中学生の4人に1人 厚労省調査(毎日新聞)

 中学生の4人に1人が「うつ状態」を示す調査結果を厚生労働省の研究班(主任研究者、保坂隆・東海大医学部教授)がまとめた。調査対象者が約600人と少なく、治療が必要な患者がどの程度いるかは不明だが、子どもの自殺防止策の参考データになりそうだ。
 調査は06年8月、静岡県内の公立中学校1校の1~3年生計566人を対象に、国際的に使われている手法で実施。「生きていても仕方ないと思う」「独りぼっちの気がする」など18項目を質問し、「いつもそうだ」「ときどきそうだ」「そんなことはない」の三択から選ばせた。結果は、うつ状態、うつ状態でないのどちらかに分類される。
 すべての項目に回答した557人(男子285人、女子272人)について分析した結果、男子が20.7%の59人、女子が28.7%の78人、全体では、24.6%の137人がうつ状態を示した。
 …国内の自殺者は警察庁の調べで、98年以降8年連続で3万人を超えている。小、中、高校でみると、05年は小学生7人、中学生66人、高校生215人に上っている。

 調査そのものについては、厚生労働省のHPでは発見できなかった。
 子どもたちが、外的な抑圧に心的な傷を負っていることが伺える。これに対しいますすんでいることは、いっそうの「競争」であり、「格差」の拡大であり、そして、「徳育」という名での教化であろう。そのことが、いったい、子どもたちに何をもたらすのか。考えるほどに重い気分になってしまう。

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神戸A事件 被害者と加害者の10年

20070520 二男は、今朝も6時過ぎに家を出ていく。弁当づくりのため、今日早起きをして、深夜に放映されたNNNドキュメント07「神戸A事件被害者と加害者の10年」を見る。この事件から、ちょうど10年の月日が流れた。
 被害者は、長男とほぼ同じ年齢。なおかつ私も男の子の父親であるから、この事件は、そんなに他人事とも思えない。 犯人確保の報道は、たしか土曜日の夜8時頃。キャンプについてか何かの学童保育の会議のときだったと思う。
 番組のそのものは、被害者の10年を照らし出す。その月日はとてつもなく重い。被害者と加害者の10年というのなら、もう少し、加害者についてていねいに報じてほしかったという感想もある。それはむずかしい面もあるだろうが、当時は、異例に公表された審判決定書の内容に即してなら可能であったはずだ。とくに審判の決定にかかわっては、番組の取り上げられたかは、やや不正確な感じがした。それでも、加害者の矯正教育にかかわった医師のインタビューを入れながら、加害者の月日も、可能な限り映し出そうとした点は評価できる。それだけに、裁判官が、審判の決定に込めたなぜ少年の性的な暴力性への絶望にまわりが気づけなかったのかという社会的なまなざしや少年への願いを少しでも伝えられなかっただろうか。

 被害者家族の語りは、命というものの重さと十分に伝え、胸をうつ。この人たちの語りの真実は、とてつもなく重い。加害者が、いまだ20代前半という年齢で、命の重さへの贖罪という課題を乗り越えていく困難さは、想像にあまりある。そして、そのことは願ってやまない。
 犯罪から取り残される被害者の権利については、切々とふれながら、あえて、厳罰化という点については、抑制的に報じた番組だった。それだけに、少年の「暴力」というものに、われわれはどう向き合うのか、真摯にそのことを問いかけているようにも感じた。ほんとうに重い番組だった。

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2007/05/20

起伏の激しい日々が続く…

 金曜日は、学童保育の会議に呼ばれて、9時半ごろから参加。その後、少しおしゃべり。人とおしゃべりするのは、ずいぶん疲れる。土曜日はてきめん、神経性の腹痛に。仕事でも、人と接する機会がふえると同じような症状になる。まあ、出勤するまでの数時間がきついんだけど。
 ここ数日は、調べものをする時間が多い。つまんなくはないが、なかなか目指す方向が見つからない、調べものなので、気持ちは落ち着かない。ふわふわした気分で過ごす時間が長い。なにやら気分の起伏の激しい日々だ。夜、帰宅、つれ合いはどうやら「飲み会」。しかたがないので、一人で飲む。少し、深酒になった。
 日曜日は、朝から出かけたいところがあったけど、起きられず、直接、集会の取材に。少し、職場で仕事をして、帰宅すると、結果、つれ合いの職場の人と飲むことになった。若い人と話ができたのは楽しかったけれど。

 明日朝までには、気分を変えて。また、新しい一週間がはじまる。今月の仕事の山場である。

5・20全国青年雇用大集会

20070520132836 昼から、「まともに生活できる仕事を 人間らしく生きたい」をかかげた若者の集会に行ってきた。今回の4回目で、これまでずっと参加してきたが、今年の集会は、格段に規模も大きく、メディアもたくさん集まっていた。偽装請負告発とたたかい、フリーターのたたかい、ネットカフェの告発、若者の実態は、文字通り現代の日本の縮図である。
 最初は、分野別の分科会。いくつかの分科会の声を聞いて歩く。それからは全体の集会。この1年間、いろいろなたたかいが広がった。自分も若いころがあって、こんなことをしたという思いと、自分とはちがう若者たちの姿をみて、自分はこんなことができただろうかという思いと。いまだ、ふっきれない若者の世界への思いを複雑に感じながら、あこがれながら若者を見つめる自分がいる。

 たとえば、福祉や保育の若者たちの議論を聞いて、冷たく言えばそんなに展望が開かれているわけではない。たたかいが、すべての青年をおおいつくすという訳でもない。でも、若者の姿そのものを、ひっちり受け止めなければならないという思いは強くある。
 それと、やっぱり、あきらめてはいけない。どんなことがあってもあきらめてはいけない。そんな思いに若者たちはさせてくれる。そんな一日だった。
 ただ、体力的には、中年を突き抜けようとしている自分には、疲れた一日でもあったけど(苦笑)。

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2007/05/19

子どもの権利条約を敵視する靖国派

 最近、タカ派(靖国派)の政治家の動きが話題になっているわけだけど、その関連で、ちょっと注目して、調べているのが彼らが異様なほどに子どもの権利条約を敵視していること。男女共同参画ということについて敵視しているのと同様である。
 日本会議の地方議員懇談会というところのHPでは、盛んに子どもの権利条約の攻撃をおこなっているし、山谷えり子氏が塾長をしている(していた?)女性塾という団体は、はっきりと敵視した政策的課題をかかげている。子どもの権利条約は、日本の伝統的な家族を尊重しないというのだ。でも、日本の伝統的な家族とは何なんだろうか?

 最近、タカ派が持ち出す議論に、「親学」というのがあるけれど。この「親学」の乳幼児期版の本を読んでいて、思うことは、子どもの成長を、すべて親子関係に矮小化していることだ。冷静に考えてみれば、子どもの発達をささえるものは、(親子関係が大事だと言うことは否定はしないけれど、それは親子と言うより信頼できる人間関係というべきものだ)親子関係だけではない。たとえば、ハイハイが十分保障される環境など、すぐ思いつく。それは、社会的な関係へと開かれたものだ。それをすべて、親子の関係への矮小化していく。
 つまり、子どもの発達を社会的な権利として承認しない思考がここに垣間見える。

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なぜ議論を隠すのか

 今年のサミットでも地球温暖化は重要なテーマになると言う。日本政府は、積極的なイニシアチブを発揮すると、安倍首相は意気込んでいるという。提案の内容が、この1週間ほどのあいだに、さまざまに新聞でも報道されている。何でも、来年の「北海道洞爺湖サミット」で、その宣言をおこないたいというのだ。

08年サミット 名称は「北海道洞爺湖」 首相発表、日程7月7-9日(北海道新聞)

 …また首相は「来年の(サミットの)テーマは環境・地球温暖化問題になる」と述べ、温暖化防止策が主要議題になるとの認識を重ねて示した。
 そのうえで「ポスト京都議定書に向けて(米国、中国など温暖化ガスの)主要排出国を枠組みの中に入れていく努力が大切だ。日本の省エネ、環境に関する技術を生かしていく。日本がイニシアチブ(主導権)をとっていくテーマだ」と述べ、今年六月のドイツのハイリゲンダム・サミットでの取り組みも含め議論をリードしていく考えを表明した。

 ところが、15日の経済財政諮問会議では、この地球温暖化が議論のテーマになったのだが、何とこの部分は非公開というのだ。大田大臣の記者会見では

 今日の諮問会議の議題は3つです。地球環境問題、社会保障制度改革、それから税制改革、これは4月25日の続きです。
 1つ目の地球環境問題につきましては、非公開ということにさせていただきました。サミットまで1カ月を切っておりますので、議論の内容が外交交渉上大きな影響を与えるということで、非公開にさせていただきます。したがいまして、資料、私からの議事概要の説明、それから通常3日後に出されております議事要旨については非公開ということになります。御了解いただきたいと思います。…

 議事要旨は、以下のとおり
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0515/shimon-s.pdf

 国家の安全保障に関わる重要な機密とでもいうのだろうか。それとも地球温暖化を外交上の重要なとりひき材料というのか。
 考えられるのは、アメリカと調整が完了しておらず、アメリカへの配慮ということだろうか。いずれにしても、異様な政治の姿がここにも示されているというほかない。

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2007/05/18

集団的自衛権の見直しは何をめざすか

 もしかしたら、安倍政権にとって、もっとも急がれる、そして、命運のかかった課題なのかもしれない。それほど、この分野での実態の進行はすさまじく、なおかつ、要求ははげしいのだろう。

4類型の検討を要請 首相、ミサイル迎撃など(共同通信)

 政府が集団的自衛権の行使を禁じてきた従来の憲法解釈を見直す方向で検討する有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の初会合が18日午前、首相官邸で開かれた。安倍晋三首相は、米国へ向かう弾道ミサイルを日本のミサイルで撃ち落とせるかなど4類型を提示し、具体的に検討するよう要請した。……

 意気込みが高いことはホームページを見ればわかる。午前中の会議について、午後いちばんの段階で、首相の挨拶の要旨などがすでに、あっぷされていた。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou/dai1/siryou3.pdf

 やりたいことは、次の4点だという。この内容もすでに結論が想定されているわけだろうけど。いま、日米で軍事的な一体化をすすめていくうえで、緊急に必要な課題ばかりではないのか。

・ 第一に、共同訓練などで公海上において、我が国自衛隊の艦船が米軍の艦船と近くで行動している場合に、米軍の艦船が攻撃されても我が国自衛隊の艦船は何もできないという状況が生じてよいのか。

・ 第二に、同盟国である米国が弾道ミサイルによって甚大な被害を被るようなことがあれば、我が国自身の防衛に深刻な影響を及ぼすことも間違いない。それにもかかわらず、技術的な能力の問題は別として、仮に米国に向かうかもしれない弾道ミサイルをレーダーで捕捉した場合でも、我が国は迎撃できないという状況が生じてよいのか。


・第一に、国際的な平和活動における武器使用の問題である。例えば、同じPKO等の活動に従事している他国の部隊又は隊員が攻撃を受けている場合に、その部隊又は隊員を救援するため、その場所まで駆けつけて要すれば武器を使用して仲間を助けることは当然可能とされている。我が国の要員だけそれはできないという状況が生じてよいのか。

・第二に、同じPKO等の活動に参加している他国の活動を支援するためのいわゆる「後方支援」の問題がある。補給、輸送、医療等、それ自体は武力行使に当たらない活動については、「武力行使と一体化」しないという条件が課されてきた。このような「後方支援」のあり方についてもこれまでどおりでよいのか。

 ただ、これまでの政治の集団的集団的自衛権解釈そのものが、憲法とのかい離があり、そこを突いているともいえなくはない。安易に、議論にのらず、日本の外交は本体どうあるべきなのかという視点での議論こそが必要だとも思える。

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2007/05/17

辺野古に海自が出動する…

 問題なのは、何度もこのブログで主張していることであるけれど、さまざまなことが、日米同盟の強化・一体化のもとで、起きているということだ。そんななか、沖縄では次のようなことがおこっている。

在日米軍再編:普天間移設先の現況調査、海自が異例の支援(毎日新聞)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設に先立つ現況調査を、海上自衛隊が支援することが16日分かった。日本の防衛や国際協力、災害出動などを主な任務にする自衛隊が、米軍基地建設に絡む調査活動に協力するのは初めて。異例の対応に加え海自の活動は不明な点が多い。基地問題に悩む地元の反発は必至だ。…

 この問題を、かの「きっこのブログ」が、連日とりあげている。

 すでに書いたかもしれないが、沖縄に取材に行っている私の知人からも、沖縄では「第二の琉球処分」と受けとめられている、いよいよ軍隊も来たといううけとめだと言っていた。本土の平和運動は、この事態に、強い連帯が必要だと思う。

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タカ派が政府の中枢をしめるもとで起こっていること

 教育基本法「改正」の具体化とも言える、教育三法の審議が山場を迎えている。今日、首相出席で、教育再生特別委員会のしめくくり質問。そこで、日本共産党の石井郁子議員が、次のよう問題をとりあげた。

 日本青年会議所という団体がある。全国組織としては、名うての改憲推進団体である。そこの全国的な運動として、

近現代史教育推進運動の展開
  次代を担う子供たちに確かな歴史を伝え、家族愛、郷土愛からなる国を愛する心を育むために、各地の青年会議所と協働して、DVDアニメ『誇り』を基にして、確かな歴史認識を確立し、日本人としての自信や誇りを呼び覚まし、世界平和への心と思考力を育成する事業を展開いたします。

 というものをとりくんでいる。この「『誇り』を用いた近現代史教育プログラムが、文部科学省の新教育システム開発プログラムに認定されました」という問題だ。
 この認定というのは、地域の協力をえた授業の研究・検証と言うことで、文部科学省から、委託料として135万円ほどのお金が出るという。
 問題は、その内容だ。
 日本青年会議所のHPをたどっていくと、そのプログラムの全容がアップされている。
http://www07.jaycee.or.jp/2007/strength/modern/uploads/smartsection/14_program.pdf
 「誇り」というアニメーションを使った事業であるわけだけど、その内容は、日本の戦争は自衛のための戦争、アジアの独立のための戦争だったという、靖国史観そのものである。それが文部科学省が認定したプログラムとして、すでに一部の学校に持ち込まれている。安倍首相は、青年会議所の機関誌で、このプログラムもテーマにした対談を、会頭とおこなってまでいる。

 政府の中枢にタカ派・靖国派が陣取り、教育再生が叫ばれるなかで、教育現場では、すでにさまざまなことがすすんでいる。十分な警戒が必要である。

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「ラストフロンティア 東ティモールの光と影」

 もう昨日ですね。このブログでも紹介したことのある渋谷敦志さんの「ラストフロンティア 東ティモールの光と影」という写真展に行って来ました。「国境なき子どもたち(KnK)」というNGOが主催した写真展です。
 リンクを貼ったHPのほか、彼のブログに何枚かの写真も出ています。http://ashibuya.tea-nifty.com/
 彼の写真は、もう何度か見ていますが、今回、写真を見ていて、すべてデジタルということもあるのかもしれませんが、感じたのは、彼は被写体とある程度しっかりした距離を置いて、そのことで、被写体の真実や背景を浮き彫りにさせようとしているという印象をもったことです。自分の立ち位置を考えて写真をとっているのかなと。優しかったり、厳しかったりしたりする写真の多い中で、必死でその立ち位置を求めている感じがしました。それが、彼のテクニック(文字どおり光と影です)を生かしています。なかなか良い写真です。

 会場にいったときSPみたいな人がいっぱいいで少しびっくりしました。どうやら、皇室関係の人が来ていたようです。そんな人と、半径5メートルの距離に接近したのは、はじめての経験です。それも、ある意味で、新鮮な体験でした。NGOの人たちも、いろいろな人たちの協力をえなければいけないんでたいへんなんだなあ。

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2007/05/16

想像力が弱まっていないか

 昨日は、凄惨な事件について書いた。そこで、ぼくが言いたかったことは、あまりにも想像力が弱くなっているのではないかということ。今日の新聞でも、この事件について、さまざまなことが書いてあった。今日、多かったのは、進学校で母親の期待が強すぎたのではないかというような主旨のこと。
 真実は、わからない。ただ、どんな原因であれ、その原因には背景がある。その背景の社会的位置などもふくめ、さまざまなことが想像はできる。メディアは、そんなことを欠落させて、ただ表面的な原因を追いかけようとしている気がしてならない。個別の「責任」で事件を納得させようとはしていないのか。

 子どもの事件が起こったとき、最近、最大の議論の対象とされるのが、規範意識や道徳の問題であり、親の責任という問題。教育再生会議でも、「親学」をめぐって、さまざまな議論がかわされている。家庭や親の役割を否定するわけではない。しかし、この議論でも社会的な想像力が欠如していることを痛感させられる。親子の関係一つ取っても、抽象的な、親と子だけで存在しているわけではないのはあたりまえのことなのに。親学の本を読んでみても、ここで出てくる家庭や、親子は、社会から切り離された、観念の世界以外何ものでもない(今度くわしく感想を書きます)。

 一方で、次のような記事がある。

大阪市の中学給食を08年以降段階的廃止へ(日刊スポーツ)

 大阪市教育委員会は15日までに、市立中学12校で実施していた給食を2008年度以降に段階的に廃止する方針を決めた。同和行政見直しの一環で、今秋をめどに調理施設を民間経営による生徒用食堂に切り替えるなど具体的な代替案をまとめる。
い」と提言していた。…

 大阪市の給食が、同和行政絡みで、部分的に実施されてきたという複雑さにはあらためて驚かされるが、――その同和行政の見直しが必要なのはいうまでもないが、見直しする方向がまちがってはいないのか。これだけ、格差や家庭の困難が言われているとき、子どもの豊かな成長を考えれば、給食は、拡充することが本筋であるべきなのに。そんな視点は、何も見えてこない。その結果、強調される「親学」は、国や行政は何もしなから、とにかく親が責任をもてということなのだろうか。

 一方で、国や行政は、規範意識の形成のために、そして子どもの成長のために何をしようというのか、

「君が代」の歌いぶり、3段階でチェック 和歌山県教委(朝日新聞)

 和歌山県内の小中学校の入学式や卒業式で、児童・生徒や教職員の君が代の全体的な歌いぶりについて、同県教委が「よく歌えている」「比較的歌えている」「ほとんど歌えていない」の3段階で調べ、各校別に評価していることがわかった。県教委小中学校課は「歌えていない場合に原因を調べて指導や助言をするため。現場の状況を細かく調べるのは県教委の責任で、必要な調査だ」としている。
 県教委はこのほか、式次第に「国歌」と入っているか▽伴奏に使うのはピアノ、テープのどちらか▽国旗掲揚の場所――なども調べてきた。国旗・国歌法が99年に成立する前の98年度卒業式から評価を始めたという。 ……

 こんな国、こんな社会って恐ろしくないか。

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財界の要求はとどまるところをしらない

 なぜ、いま声をあげるべきときなのか。つくづく考えさせられるのは、参議院選挙の後に何が待っているのかということだ。日本経団連は、昨日、「規制改革の意義と今後の重点分野・課題」という提言を発表している。たとえば、労働分野では、次のようなことが書かれている。

 ……柔軟な雇用・労働法制の確立を通じて、働き方の選択肢を多様化し、生産性の向上を図らなければならない。あわせて、意欲と能力のある人に就労の機会が提供されることで全員参加型社会を実現し、経済社会の活力を維持・向上させる必要がある。  具体的には、自律的な働き方にふさわしい制度の整備や、裁量労働制の対象業務拡大など、労働時間法制の見直しに重点的に取り組むべきである。また、労働市場の活性化を図るために、有期労働契約の規制や解雇規制、労働者派遣法等の見直しが求められる。一方、企業年金制度では、雇用の流動化に即した規制改革を進め、特に企業型確定拠出年金に従業員拠出制を導入し、制度普及を促進すべきである。

 何のことはない。ホワイトカラー・エクゼンプションの導入やさらなる雇用の流動化、そして解雇規制の撤廃まで視野に入れて要求しているということではないか。だいたい、この日本経団連の要求に、献金をもらうために、自民党も民主党も競い合って応えようとしているのだから、この2つの政党には期待できない。
 もっと、働き、暮らす人々の視点にたった政治にどう転換していくのか。財界の、とどまることを知らない要求は、そんなことを考える。

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増える過労自殺、集中する30歳代

 先日、「30歳代の願い」ということについて書いた。すると、今日の新聞で、こんな記事があった。

過労自殺、過去最多の66人 06年度、厚労省まとめ(中国新聞)

 過労が原因でうつ病などの精神障害になって自殺した(未遂を含む)として二○○六年度に労災認定された人が、前年度比約六割増の六十六人と過去最多だったことが十六日、厚生労働省のまとめで分かった。過労自殺を含む精神障害の認定者数も大幅に増加。年代別では働き盛りの三十代が40%を占め突出して多かった。
 過労によって脳出血、心筋梗塞(こうそく)などの脳・心臓疾患になり、労災認定された人も三百五十五人で過去最多。うち死亡に至った過労死は百四十七人だった。
 リストラなどで個々の仕事や精神面での負担が重くなっていることが背景にあるとみられる。厚労省は「労働環境が厳しい。ノルマ達成を求められるなど過大な仕事量があり、職場のサポートも十分でなく過労自殺につながるケースが多い」としている。
 ……認定された人の直前数カ月の平均残業時間は八十―百時間が最多で百十六人。百六十時間以上も二十六人いた。過労死は百四十七人で前年度より十人減った。

 非正規の拡大のウラでは、こんな実態がすすんでいる。ボロボロになって放り出されたものは、どこにたどりつくというのだろうか。日本の経済と労働は、後戻りのできない重大な地点にいそうだ。今は、声をあげるべきときではないか。強くそう思うのだけど。

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2007/05/15

イラク特措法延長 衆院通過

改正案、午後 衆院通過へ イラク特措法(東京新聞)

 衆院は十五日午後の本会議で、航空自衛隊のイラク派遣を二年間延長するイラク復興支援特別措置法改正案を自民、公明両党の賛成多数で可決、参院に送付する。改正案は今国会で成立する見通しだ。
 イラク特措法は二〇〇三年七月、四年間の時限立法として成立。空自はクウェートとバグダッドなどとの間で国連などの要員、物資の空輸を継続。ただ、政府は空輸の約八割が米軍を中心とした多国籍軍の人員、物資であることを認めている。…

 これはもう強弁である。大義をどう説明できるというのだろうか。国民も納得はしない。
 ただ、武力による平和というものへの疑問を、このイラクの事態は国民のあいだに広げている。そのことは、あらためて9条の意味を照れしだしている。この愚行を逆手に、国民のなかでの議論をひろげたい。

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企業の決算と株主配当増

 企業決算が発表された。

決算発表ピーク、5期連続で増収増益…既発表776社(読売新聞)

 企業の2007年3月期決算発表が15日、ピークを迎え、東京証券取引所に上場する3月決算企業の約17%にあたる303社が発表した。
 新光総合研究所が東証1部上場の3月期決算企業のうち過去3期のデータのある1245社を調べたところ、14日までに発表を終えた776社(発表率62・3%、金融・証券を除く)の連結決算は、合計で売上高が前期比8・9%増、経常利益が同7・4%増で、5期連続で増収増益となった。
 …東証1部上場企業のうち金融を含む1382社の44・4%が増配や復配を予定している。業績回復や安定株主対策のためで、配当金総額は前期比約15%増の約5兆9000億円と過去最高の見込みだ。

 企業の経営が、従業員だとか、地域に向かうのではなく、株主に向かっているということは、今日の夜のニュースでは共通して指摘されている。株価重視の経営が、ライブドアや村上ファンドの事件を生み出した。安定株主対策ということを目的とした、株主対策を、企業の雇用や生産、通常の経営よりも優先する企業の有り様は、やはり、ゆがみが垣間見えないだろうか。結局では外国の市場だよりの企業経営である。雇用や地域を二の次にして、健全な経済の発展はありえるのか。日本の資本主義がかなり曲がり角にあることを感じさせる。

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凄惨な事件…

 高校三年生が、母親の頭部をもって自首するという凄惨な事件があった。まだ、この事件そのものの背景は、わからない。直後から、この少年が、精神科への通院歴があったことがまず報じられる。なぜ、この情報が、最初なのだろうか。続いて、”あまり活発ではない、暗いタイプの少年だった””学校は休みがちだった”ということが、通っていた高校が進学校だったこととあわせて報じられる。きわめて、偏った情報だけがまず出されてくることには、正直、違和感を感じる。

 この少年の心のうちは、いまは想像することすらなかなか難しい。はたして、どのような孤独や絶望や苛立ちが支配していたのだろうか。そのこともわからない。同じ、世代の子どもをもつ親として、とてもつらい思いだけは膨らむ。ヒステリックな報道が繰り広げられないことをただ祈るばかりである。

 さて、熊本の赤ちゃんポストに3歳の子どもがおかれたことがニュースとなっている。政治家の発言も含め、どうも冷たい反応も気になる。たしかに、病院としても、想定外の事態だろう。真の原因もわからない。しかし、統計的にいっても、こうした事態のうらには、何かしらの困難があったことは推測ができないわけではない。児童相談所の人々は努力しているとは思うが、それがふさわしく機能しているとも思えない。はたして、ほかに救いの手はあったのか。
 冷たい風だけが吹く、そんな社会ではあってほしくないものなのだが。

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2007/05/14

30歳代の願いは?

 読売新聞が、ネットで「30歳代ライフスタイル」調査というものを実施し、その結果を発表した。すこでは、興味深い結果が出ている。

30代「仕事に不安」8割/「結婚、必要ない」5割超(読売新聞)

 年功序列制度の崩壊と成果主義の導入など労働環境の大きな変化にさらされ、「受難の世代」と言われる30歳代を対象に実施した、読売新聞社のインターネット調査で、「仕事の将来に不安を感じている」人は「大いに」「多少は」を合わせて82%に上った。
 また、「仕事でストレスを感じている」人も計82%を占めた。ストレスの原因(複数回答)は、〈1〉「収入が増えない」(64%)〈2〉「会社や業界の将来性、安定性に不安」(34%)〈3〉「人間関係がうまくいかない」(30%)――の順だった。
 30歳代は主に前半が就職氷河期組、後半がバブル期入社組とされ、所得などの格差が顕著だと言われるが、「正社員」と「派遣・契約社員など非正規社員」との間の所得格差を「現在、感じている」という人は計76%に上った。…

 調査の結果は、http://www.yomiuri.co.jp/feature/netresearch/fe_nr_07051403.htmにある。
 結婚についても、「『一般的に言って、人は結婚した方がよいか』との質問に、52%が『必ずしも必要ない』と回答、『結婚した方がよい』の43%を上回った」という。
 いわば、非正規雇用の導入と、成績主義の導入がもろにかぶった世代でもあろう。働かされ方の悪化を反映した世代として、こうした実態や要求についても、独自に注目していく必要があるかもしれない。

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改憲をになうタカ派の動き

 さて、改憲手続き法が、成立した。参院ではわずか一カ月にみたない審議である。いよいよ、自民党は、改憲に向け、本格的に動き出そうというわけだが、それをリードしていこうとしているのが、この間、紹介しているタカ派(靖国派)の動きである。たとえば、こんな動きがある。

保守派、新議連結成へ(中日新聞)

 安倍晋三首相と考え方が近い古屋圭司元経済産業副大臣ら自民党の中堅・若手保守派が存在感を増している。今月中旬には「価値観外交を推進する議員連盟」を設立し、党内の政策論議をリードする構えだ。
 自民党内では歴史認識や北朝鮮問題をめぐり、拉致議連などの議員グループがタカ派的な党内世論を形成してきた。しかし、昨年九月の安倍内閣発足後は、議連の中核を担ってきた首相や中川昭一政調会長が政権運営、党運営に専念せざるを得なくなり、活動は停滞していた。
 そこに登場したのが、首相や中川政調会長と気脈を通じる古屋氏。「郵政造反組」の古屋氏は離党を余儀なくされていたが、昨年十二月に復党。若手保守派と連携し、党政務調査会の会合で持論を展開するようになる。
 特に、古屋氏らが注目を浴びたのは、国民投票法案(憲法改正手続き法案)の与党修正案と、離婚後三百日以内に生まれた子は一律「前夫の子」とみなす民法規定の見直し問題だ。
 国民投票法案をめぐっては、当初の与党修正案で、国家公務員法、地方公務員法上の政治的行為の制限規定を「国民投票運動では適用しない」としたことに「労働組合が組織的な反対運動をする」などと反対。最終案で「適用除外」の条文を削除させた。三百日規定見直しでも、部会で「拙速だ」などと反対論を展開し、特例新法の今国会提出見送りに追い込んだ。…

 この記事は、古屋氏のホームページにリンクを貼っておいた。氏のHPには、例の新憲法草案などもアップされていて、靖国派の動きを知るうえでは参考になる。何度もいうが、彼らの動きは、「戦後レジュームからの脱却」の推進力ではあるが、同時に、歴史の流れに逆行するという点で、最大の弱点でもある。そうなっていくだろうし、そのことを明らかにしなければならない。

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日米軍事一体化はいったいどこまですすんでいるのか

 こんな記事にも注目しました。

空自の探知情報を米軍に常時提供、防衛省が先月下旬から (読売新聞)

 防衛省が、航空自衛隊の運用するバッジシステム(自動警戒管制組織)の情報について、4月下旬から米軍に24時間体制での提供を始めていたことが分かった。
 日米の情報交換を緊密にすることで、防空能力を強化する狙いがある。
 バッジシステムは、全国28か所のレーダーサイトと空中警戒管制機(AWACS)などを連接し、領空への侵入機を探知するシステム。敵味方の識別後、戦闘機や対空ミサイル部隊が迎撃する。これまで、自衛隊は、必要に応じてバッジ情報を米軍に提供してきた。久間防衛相は今月初めに情報を常時提供する方針を明らかにしていた。…

 こんな問題からも推測されることはある。だいたい、空自の司令部は、横田の米軍基地のなかにうつる。横須賀はすでに一体化している。陸自では座間に日米合同の司令部ができる。そこに、情報が、24時間一体化するということになる。だいたい、情報が、一体化するだけなのか。もしかしたら、システムそのものの、すでに抜き差しならないような、(分離できないような)一体化がすすんでいるのではないのか。そう考えると、なぜ軍事機密協定なのかもわかってくる。
 いったい軍事一体化はどこまですすんでいるのか。そんなことも、明らかにならないままに、実態だけがすすんでいっているのだろうか? それが改憲のもつ意味なのだろうか。そして、今日、改憲手続き法が成立した。

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酷使される若年労働者

月曜日の新聞には注目する記事が多い?

疲労調査:イライラ、憂うつ…疲労蓄積20代 連合の研究所「若年サラリーマン酷使」(毎日新聞)

 会社員の中で20代が一番疲れている――。連合総合生活開発研究所(薦田隆成所長)は疲労の自覚症状などを調査した。一番若い層に疲労が蓄積しているという結果に、酷使される若年労働者の現状が浮かび上がる。
 調査は首都・関西圏在住の20~50代の労働者900人に景気の現状や働き方などを聞き、738人から回答を得た。
 疲労の自覚症状の調査では「イライラする」「憂うつだ」など、厚生労働省も使用する疲労蓄積のチェックリスト13項目を聞いた。その結果、正社員で低疲労と分類されたのは50・5%、高疲労は48・4%だった。高疲労は20代が最も高く56・7%。次いで40代が52・8%と半数を超え、30代(44・9%)、50代(40・5%)と差がついた。
 また、状況による疲労蓄積度の違いでは、週の労働時間が60時間以上の人の68・9%が高疲労となり、平均より約20ポイント高かった。成果主義で賃金格差が拡大している職場でも平均より約8ポイント高い56・1%となり、長時間労働が疲労を蓄積させることが明らかになった。逆に仕事量に自分の意向を反映できる職場では65・4%が低疲労となった。…

 非正規労働に注目が集まるが、そのメダルの裏側にあるのがこうした問題。社会が若者をどのように扱っているのか。若者の働かされ方の一端が垣間見える。

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麦の穂をゆらす風

Mugi 昨日、家に帰ってきた後、DVDで「麦の穂をゆらす風」という映画を見た。舞台は、20世紀初頭のアイルランド。独立をめぐるたたかい。英愛条約。そして内戦とつづく時代である。主人公である若い医師は、人間としてあまり前の暮らしさえできないアイルランドの現実に直面し、義勇軍参加する。
 何とも、悲しい映画である。その悲しい現実は、わずか一世紀たらずの過去に存在した。以前、「マイケル・コリンズ」という、IRAの司令官を主人公とした映画を見た。この映画は、「マイケル・コリンズ」のように、劇的なストーリーではなく、普通にあっただろう、主人公が直面する数々の葛藤が、リアルで生々しく、悲しい。敵はすぐわかる。大事なことは、何のためにたたかうかだ。その問いかけが胸に染み渡った。
 イギリスの映画もさすがにすごいなあ、と、当たり前にそう思う。日本は、なぜ歴史を語れないのか?

 今日も、朝から黙々と仕事。広告をつくったり、実務的なものをこつこつと処理をする。課題の「親学」の本なども読んでみる。なるほど、出発点が、きわめて一面的なものであることに、まず引っかかりをもつ。などなど、企画をいつくか考える。
 仕事で、人と話したりすると、たいへん疲れ、傷つく。あんがい、いちばん傷つくのは、家族との会話だったりして(爆笑)。できれば、お酒で気持ちを癒したいところだが、お金もないことだし、平日は基本的に禁酒にする。さて、どう気持ちを切り替えるかだ。
 ぐったりしながら、帰りの電車は、「メタボラ」を読む。なかなか、小説など読む時間はないが、うまく時間を見つめて読みすすめたいものだ。

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2007/05/13

夜明け前の子どもたちと清水寛先生の講演

20070513134243 今年の全障研大会は、8月に埼玉で、開かれる。そのプレ企画に、午後から参加した。清水寛先生の講演と、映画「夜明け前の子どもたち」の上映だった。映画は、田中昌人先生たちがとりくんだ、びわこ学園のできたころの実践を追ったもの。学生の時に見たのが、はじめてなのか? 映画そのものが、発達保障という考え方をつくりだしていく、実践の試行錯誤、葛藤とその確立の記録である。
 発達保障という考え方が、なにも観念として最初にあったわけではない。目の前にいる子どもたちの発達を保障するということがどういうことなのか、ということ常に問いかける中で理論化されていった。最初はひもで結ばれていた、多動の知的障害をもう子どもが、子どもも実践者たちも、ひもから解放されるまでの実践。その過程での、労働という問題意識での、手の働きの重要さ、そこでつくられる人間関係。
 実践の葛藤のあいまに、語られる田中先生のコメントが、なるほどとうなずかされる。

 実は、清水先生とお会いしたのは、今日がはじめてだった。清水先生と、近江学園、びわこ学園との出会いの話も、少し、先日、電話でお聞きした程度で、詳しい話は今日がはじめてだった。
 発達保障というものは、このようにつくられ、このような努力で培われていったのかと思った。

 映画は、まさに現代の古典である。だからこそ、いまに問いかける。人権や、権利ということが、ことばそのものも含め岐路にあるいま、いま、僕達が、こうした取り組みから学ぶべきものは尽きないんだとつくずく思った。

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今年のこどもまつり

 今日も、朝はなかなか起きられない。正直、疲れがまたっている。ほんとうは朝早くから行かなければいけなかったけど、なんとか、開催時間にすべりこむ。地元も、今年のこどもまつりは、昨年までの公園を会場にしたものから、小学校の跡地の施設を借りて、屋内開催にかわった。場所も、数キロ移動した。参加は、今年は1500人ぐらいだろうか? 変更は、便利な面もあれば、残念な面もある。ただ、こうした行事は、担い手が替わるのが正常だし、そのたびに新しい歴史がきっとつくられていくんだろう。ある意味で、僕らの時代ではない。少しでも手伝えればと、午前中だけ、とにかく参加をした。
 遊びに夢中になる、子どもは可愛いし、かかわっている大人は頼もしい。その姿はいつくなっても変わらない。とりあえず、午前中だけ、手伝って、後ろ髪を引かれる思いで、仕事に出発する。

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2007/05/12

派遣労働者に労災が急増

 さて、毎日新聞にはこんな記事が載っていた。

派遣労働者:労災、5割急増 「日雇い」仕事不慣れ――06年・東京労働局調べ(毎日新聞)

 派遣で働く労働者の労働災害事故が急増していることが、東京都内の派遣業者を対象とした東京労働局の06年の調査で明らかになった。前年に比べ5割近い増加となっている。急増の背景には、日々派遣先が変わる「日雇い派遣」が増え、仕事に不慣れなことがあると見られる。派遣労働者の労災実態が明らかになるのは初めて。 東京労働局は、労働者派遣法の改正で製造業などへ派遣の範囲が拡大されたことを受けて、05年から派遣労働者の労災状況(死亡、けが)の調査を始めた。全国に労働者を派遣している都内に本社を置く派遣事業者の報告件数などをまとめた。
 それによると、06年の同局管轄の死亡災害は99人(前年比15人増)で、けがは1万78人(同169人増)。このうち派遣労働者の死亡災害は2人(前年ゼロ)、けがは401人(同268人)となり、49・6%増となった。
 …同局では「正社員に比べ安全教育がおろそかになりがちで、注意を呼びかけたい」と話している。…

 もちろん、安全教育が軽視されているということもあろうが、人ととしての権利そのものが軽視されるような過酷な働かされ方をしているということも言えるだろう。実際に、派遣労働者の過労死の事件もだんだんと増えている。現代の日本の労働をめぐる異常さを示す数字として、よく考える必要がある。

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自民党内からも教育再生会議に批判が

 今日も、朝、すっきりと起きられない。二男が6時半には家を出るので、かなり早い時間に否応なしに目覚めることにはなるのだけど。だるい体をひきずり、職場に向かう。週末、土曜日の出勤はつらい。正直いって年である。
 午前中は、会議。古典の文献のチューター、これは十分な準備ができなかったため、はったりで何とかこなす。年をとると話術でごまかしも利く?

 さて、今日は、2本目の原稿の仕上げにかかる。なかなかすすまない中で、なんだかんだと8時過ぎまで、かかりっきりで、何とか仕上げる。途中、メールで依頼の返事がくる。とにかく2つの仕事をすませたということになる。9時過ぎには、職場を出て、帰りの電車では、『現代の貧困』にとりかかる。結構、面白そうだ。

 さて、合間に、何本かの雑誌の論文などに目をとおす。ちょっと、気になったものは、桐野夏生が『現代』によせた、「文学は圧倒的不幸を救えるか」という文章。かなり、悲観的なものだが、「ワーキングプア、ドメスティック・バイオレンス、幼児虐待、女性犯罪者の増加……日本の社会が壊れ始めている」と切り込みつつ、世界のグローバル化の中で、言葉の意味を問う。ただものではない。講演を起こしたものなのだろうが、文体も意外なもの。

 おもしろかったのが、『世界』の「特集 教育に希望をつなぐために」のなかの「教育改革の改革を」という提言。真性新自由主義派と言えるような、自民党内部のマネジメントの観点からの教育再生研究会が発する教育再生会議に対する批判である。タカ派の議論は自民党内部からも、教育再生会議に批判が強まっている。名の通りマネジメントからの批判であり、教育論が十分に展開されているわけではないし、最終的な結論はまったく同意できるものではない。しかし、専門家が含まれていないという「委員の人選と事務局の動き方」や「前提となる問題意識のあいまいさ」「原因追求の軽視」などなどの批判の視点はまったくもっともで、正論である。読む価値は十分ある。こうした保守の内部からの批判が、今後、どのような力学をはたしていくのかも注目されるところである。

 そんなこんなの一日であったが、やっと、1週間が終わった。よく働いたととりあえず言っておこうか。

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改憲手続き法委員会で可決

 もう昨日のこと。朝は、七時までおきれなかった。二時前までいろいろしていたので、疲れがたまっているのか。若くはない。夕食の準備までこなして、八時過ぎに家をでる。午前中、会議だというのに強風で電車が動かない。トホホである。
 午後からは、インタビュー原稿、その2。これがなかなかすすまない。資料の読みこなしもすすまない。第一、法律にかかわる内容なので、なかなかこなせないのだ。少し、イライラしていたり、だ。夕方、当番もあり、少し、古典文献を読む。これもすすまない。九時半まで、仕事をすすめる。なにか、すっきりしない一日。

 そして、その最たるものが、このニュース。もちろん、つまらない私事と同列にはできない深刻なニュースである。
 憲法を変えるための手続き。それも、現在改憲しようとしている人たちにとって有利な内容ですすめられる手続きに関する法案について、どれだけの国民のあいだで議論がなされ、合意がなされたというのだろうか。参考人招致では、推進派の推薦の人でさえ、論点が多く議論は不十分だと言っていたのに。国会(与党)は、ますます、人の意見を聞かなくなっている。そんなやり方ですすめられている。

国民投票法案を可決 参院憲法特別委 14日に成立(北海道新聞)

 参院憲法調査特別委員会は十一日、憲法改正手続きを定める国民投票法案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。十四日の参院本会議で可決、成立する運び。これで一九四七年の現行憲法施行から初めて、具体的な憲法改正手続きが整うことになる。安倍晋三首相は同法成立を弾みに、憲法改正を争点に掲げて夏の参院選に臨む考えで、改憲、護憲双方の立場から憲法論議が活発化しそうだ。
 同法に基づき、参院選後に予定される臨時国会で、憲法改正原案の審査や憲法全般に関する調査・質疑を行う「憲法審査会」が、衆参両院に設置される。ただ、二○一○年の同法施行までは改憲原案の国会提出が凍結されるため、初の国民投票は早くとも一一年になる見込みだ。…

 人の意見を聞かないような、十分、コンセンサスのないやり方は、九条という国民的な関心事が浮上するなかでは、必ず矛盾にぶち当たるし、そうしなければならない。強く、怒りを感じながらそう思う。

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2007/05/11

ガイサンシーとその姉妹たち(本)

027125490000 以前に、映画の紹介をした「ガイサンシーとその姉妹たち」の原作本を、少しの中断を挟んで、読了した。すごい本である。
 日本軍の性の奴隷として、深刻な被害を被った女性たち。その真実をさぐる10年に及ぶ旅の記録である。本そのものは事実を、たんねんに追う。ガイサンシーというのは、どういう人である、どういう状況下で、何が起こったか。その背景の、日中戦争の様相も丹念に追う。満州事件から、満州国の建設は、日本軍の華北制圧を求める。華北の安定のためには、と戦争は、中国全土に広がるが、上海から南京へ、やがて、中国軍からの徹底した反撃に直面する。華北では、八路軍による抗日戦争が広がる。そんななかでの事件である。
 点による、泥沼化した支配は、現在のどこかの戦争を想起させる。日本の多くの兵士に精神障害が生じたのもこのころなのだろう。孤立化した軍隊の行ったことは…。中国の被害も、私たちの想像を超えるようなものだったことが、坦々とした、この本の記述からでも痛いほどわかる。
 とくに山西省のたたかいが、激烈であったことは、この本のみならず、その後の「蟻の兵隊」などの事実からもよくわかる。性奴隷の被害は、戦後の被害、そして、二次被害までもを引き起こす。なぜ、そのことに、戦後の日本は向き合えなかったのか。この本が問いかける視点は、思い。同時に、加害に加わった兵士の取材もすすめる。ここにこそ、加害と被害の二分法ををのりこえようという著者の思いも伝わってくる。

 こんな本を読むと、いまさらながら、ちゃんと事実に向き合わなければと、つくづく思わされる。へこたれてはいけない。私はたたかわなければならないのだと。映画もよかったが、この本は、圧倒的に人にすすめたい一冊である。

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教育再生会議 思惑ははずれた?

 本日、教育再生会議の合同分科会があった模様だが、予定されていた「『親学(おやがく)』に関する緊急提言」は、決まらなかったようだ。

教育再生会議、第2次報告骨子案を議論 (産経新聞)  政府の教育再生会議(野依良治座長)は11日、首相官邸で安倍晋三首相出席のもと合同分科会を開き、今月中にまとめる予定の第2次報告の骨子案について協議した。骨子案は、(1)学校教育の再生(2)大学・大学院教育の再生(3)社会総がかりでの教育再生(4)教育財政の充実-が柱。2次報告では、学校・教育委員会の評価、特別支援教育の充実、大学・大学院の国際化や企業、社会との連携-などに向けた提言を行う方針だ。  …また、第2分科会が提起した親が子育てを学ぶ「親学」に関する緊急提言について、引き続き内容や提言方法を調整する方針を確認。「徳育」は特設教科と位置づけ、評価の是非や方法を検討することで一致した。

 この提言なるものの骨子については、http://ono-blog.cocolog-nifty.com/sikou/2007/05/post_3349.htmlで紹介した。なにしろ、(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児、
(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない、…など、こと細かい、お説教のような内容。配慮が足りないと言うことで、2次報告に盛り込ませるのかなどについて、今後検討するという報道だ。
 問題は、こうした主張の根底には、特定の、家族観なり、道徳観が見え隠れすること。少なくとも、政治がやることは、支援ではないかという議論には道理がある。
 推進派の本音としては、特定の家族観、道徳観の押しつけをすすめたいところなのだろうと思う。それは、教育基本法にもちこんだ教育の目標なるものと符合する動きでもあろう。とくに女性は家庭に入って、子育ての役割をしっかりはたすべきというような考えが何となく見え隠れして、「わが国古来の美風としての家族の価値は、これを国家による保護」を主張する、タカ派の憲法改正案ともだぶって読める。

 ただ、こういった主張は、実際に男女共同参画基本法の廃止などの運動に連なり、とうてい世界の流れからも、日本の世論からも受け入れられるものでないだけに、矛盾に直面する。教育再生会議の議論がもめるのもその反映にほかならない。
 「親学」なるものもふくめ、資料と集め、丹念に分析した方がよいようだ。

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2007/05/10

日米同盟の一体化は地球規模に

 今朝の、「しんぶん赤旗」を見ていて、なるほどそういうことかと目を引いた記事がこれ

衆院委で笠井議員 同盟の地球規模化批判(「しんぶん赤旗」)

 外務省の西宮伸一北米局長は九日の衆院外務委員会で、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書(一日)で明記した「NATO(北大西洋条約機構)との協力」について、これまでの日米合意文書の中で初めてのものであることを明らかにしました。日本共産党の笠井亮議員は「日米同盟を地球規模に拡大し、NATOとの共同連携を進めるものだ」と批判しました。
 西宮局長は「過去の日米共同文書を調べたが、言及したものはない」と答弁しました。
 また共同文書は、NATOと日米同盟の関係について「補完的である」と特徴づけています。
 麻生太郎外相は、インド洋での給油活動などを挙げ、「具体的な例は、こういうことだ」と述べました。
 笠井氏は、2プラス2の直後に久間章生防衛相がNATO事務総長との会談で、アフガニスタンでの自衛隊の活動を検討する考えを示したことを指摘。「(共同文書は)海外派兵を軍事同盟間で協力し、集団的自衛権行使にもつながる重大な問題だ」と批判しました。…

 先日、3日の集会での、アーミテージ報告2に関連して、森英樹先生の「いまここにある改憲」という言葉を紹介した。この日米同盟の一体化が地球規模ですすもうとしているのが、上記の例だ。日豪安保とならんで、軍事同盟なき、同盟化が、日米同盟の一体化のもとで広がっている。だいいち、久間防衛大臣は、なぜ2プラス2の直後に、わざわざブリュッセルのNATOの本部にまで行ったのか?
 憲法を鼻にもかけないような重大な事態が実際にはすすんでいる可能性がある。これは見過ごせない事態でもある。

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何やら、追われている…

 GWにまとまって休みをとると(まあ3日間だったけど)、仕事が目一杯たまってしまう。今日も、朝から、バタバタと仕事をこなす。5時半にはおき、まずは家事からはじまる。これがだいたい2時間強かかる(昨日、9時過ぎに帰宅したが、家事もたまると、夜中までかかる)。8時に、家を出て職場に。
 まずは、メールを3本ぐらい書く。新しいことを考えもって、書くので、それはそれで時間がかかる。それから、インタビュー原稿にとっかかる。途中、新聞の整理などもしつつ、夕方までに一本目を完了し、メールで送る。別の執筆者のところに、打ち合わせに出かけ、さらに別の人にも会いに行って、少し、問題意識を交流。さて、続いて2本目にとっかかったところで、ものすごい睡魔、7時のニュースの途中で完全に意識がなくなる…。しばらくして復活。9時前まで、2本目の原稿の資料などに目をとおして、9時からは、雑誌関係の整理に。
 帰りの電車のなかは、「慰安婦」問題関連の本を熟読。

 ここのところ、集めた資料が、どこにあるのか分からないという緊急事態を迎えている。これは読まなくっちゃと思いながら、読まずに放り投げたものが、十分整理されていなくて、積み上がっていくという事態だ。同じように頭が、混乱している。
 ここ数日、何人かの、年輩の研究者の方や、編集の先輩の方の話を聞いたが、自分とのレベルの違いに、やや唖然として、強くショックをうける。何よりも、こうした知識が、自分たちの世代が十分受け継いでいないことが、今後の運動の障害になりはしないのかとつくづく感じる。感じるだけではどうしようもなく、努力しなければならないのだが、ただただ積み上がり、混乱の最中にいるという始末だ。ほんとうに情けないのだが。

2007/05/09

憲法をめぐる特集の感想

Nsp070429a テレビでは、 4月29日のNHKスペシャル「日本国憲法 誕生」を見ました。GHQ内部、GHQと日本政府、そして国会での修正などが、それなり丁寧に描かれていて面白いものがありました。やはり、24条をめぐるやりとりのところを、シロタ・ベアテ・ゴードンさんの証言をふくめいちばんおもしろいところでしょうか。日本国憲法が、世界のさまざまな叡知を集めてつくられたことが理解できます。5月2日は、「憲法施行60年 特集憲法九条 平和への闘争 ~1950年代 改憲・護憲論~」です。短い時間のなかで50年代を描くわけですから、かなり大作りなものです。でも、この時代のたたかいが平和憲法をささえたのかはよくわかります。
Photo24041 5月7日は、クローズアップ現代「9条を語れ 憲法は今」です。まえの2つが歴史であるのにたいし、この番組はいまを追います。井上ひさしさんが子どもたちに伝える憲法、経済界の人たちが憲法をどう考えているかを改憲派の高坂氏と護憲派の品川さんの主張で考えます。そして、「希望は戦争」という若者との対話を雨宮処凛さんが。改憲派の中心にいた、小林節さんが、愛国心を憲法に書き込むべきではないと主張したことから、改憲派の集会によばれなくなり、排他的な取り組みはダメと、護憲派の伊藤真さんと、学生たちのまえで討論をくりひろがていることが紹介されてた。やはり、おもしろかったのは、雨宮さんの取り組みだろうか。

 新聞はと言えば、地方紙が、東京、北海道、中国、信濃毎日などが連載で社説を掲げるなど、力がこもっていたのが強く印象にのこる。朝日が、5/3に21本の社説を掲げたのも特筆もの。そのなかで、9条を変えないということを朝日が久しぶりに宣言をしたことを注目される変化でもある。
 読売と産経の改憲の主張は、突出しているが、毎日はもちろん(正直、護憲を主張しているとは読むことはできなかった)、朝日の社説もどうも弱々しい。東京でさえ、あぶないなあという印象をもってしまう。つまり、どういうことか。大手の新聞は、社説の主張に、日米同盟の重視が前提とされているからだ。この日米同盟が重視されるかぎり、現実の、日米がいったいとなった軍拡と作戦がすすむなかで、9条とは矛盾する。そこが解き明かされない。

 9条の会などの国民のたたかいの広がりが、朝日や毎日の主張をかろうじて支えているという感じがする。同時、国民の意識も複雑な面はある。つまり、先日紹介した世論調査を見ても、9条1項は文句なく支持するというものになっている。9条2項を変えないと言うのも多数ではあるが、1項ほどの圧倒的多数ではない。同時に、自衛隊の存在は認めている。その自衛隊は、日本を守るものであり、直接、戦争にかかわらない形での国際的な支援をする自衛隊というものと理解していいのだと思う。ここでは、先と同じような9条との矛盾は、正直、存在することも事実。
 9条1項の理念は圧倒的に共通したコンセンサスとも言える。だからこそ、この9条の1項を生かす、現実的かつ先進的な方向が2項にあるという議論や確信を広げることが大事なのだということが、世論調査からは見えてくるのだと思う。つまり、軍事力に頼らない外交こそが、平和を守る道であることへの確信である。

 とりあえず朝日が9条を変えないと宣言した地点にたって、こうした議論をどう広げていくことが大切なのか。しっかり考えたいと思った、憲法をめぐる議論への感想である。

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2007/05/08

東京大空襲・戦災資料センター

Building 連休の前半に、ことし3月にリニューアルした東京大空襲・戦災資料センターに行ってきました。民間の戦争資料館としては、きわめて高い水準にある、とてもいい資料館です。
http://www9.ocn.ne.jp/~sensai/index.html

 1Fには資料・研究室があり、「東京大空襲を記録する会」が1970年から収集してきた空襲・戦災に関する文献をはじめ、約5000冊の各種資料が収蔵されています。持ち出しはできませんが、来館中なら閲覧することもできます。2Fは会議室で、大空襲当時の体験者の話を聞いたり、映像作品や記録を鑑賞したりなどのとりくみがおこなわれていますが、大空襲の規模や被害を示した、資料なども展示されています。また、被害を描いた絵画なども展示され、焼夷弾でえぐられた古いピアノが、無言で悲惨さを物語ります。3Fは、資料・展示保管室です。写真や地図をはじめ、防空頭巾や防毒マスク、溶けたガラス盃、焼夷弾など、センターが収集してきた資料が各テーマに沿って並べられています。子どもと戦災をテーマにした、新しい資料展示も加わりました。

 先日、朝日の本の紹介のさい、加害と被害の単純な2元論ではダメということについてコメントしましたが、そのことを考える上でも、この大空襲の被害と、その被害を受忍論で切り捨ててきた、政治の問題があります。先も書きましたが、こうした大空襲の被害が生じたのは、世界的にはアメリカの側の国際法違反という問題がありますが、同時に、日本の政府や軍部が、住民の命をきわめて軽視してきたこと。戦後の補償のうえでも、その発想を引き継いだことがあると思います。
 昨日紹介した靖国派の改憲案を見たときに、「人権」ということについて、彼らがどのように認識しているかということと、この大空襲の被害は重なって見えてこざるをえないと思うのです。大空襲を学ぶと言うことは、そういう意味でも、現在につながる課題でもあると思いました。

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拡大する靖国をめぐる矛盾

 改憲をめぐってタカ派(靖国派)の動きは活発だが、そんななか、靖国参拝について明言しないとする態度をとっている、安倍首相が、こんなことを。

首相が靖国神社に供物 春季例大祭、私費で5万円(中国新聞)

 安倍晋三首相が四月二十一―二十三日に行われた靖国神社の春季例大祭に「内閣総理大臣」名で供物を奉納していたことが八日までに、同神社や首相周辺の話で分かった。五万円の「真榊」と呼ばれるサカキの鉢植えで、ポケットマネーで支払ったという。靖国神社によると、首相による奉納は一九八五年八月十五日の中曽根康弘元首相以来、約二十二年ぶり。…

 憲法上も、これは明らかに、政教分離原則に違反するというのが一般的な見方だとは思うが、こうした行動は、特異な歴史観をもつ靖国と首相が一体であることをしめしたことになり、政治的にも、追いつめられとなかでの愚行ともいえる。早速、韓国外交通商省は八日「極めて遺憾」と批判の論評を発表している。

 そんあなか、一方でこんなこともった。

日本遺族会、分祀問題含め話し合う勉強会 都内で初会合(朝日新聞)

 日本遺族会は8日、靖国神社のA級戦犯の分祀(ぶんし)問題などを含めて話し合っていく勉強会の初会合を都内で開いた。A級戦犯合祀(ごうし)については、昭和天皇が不快感を表していたことを示す富田朝彦元宮内庁長官のメモなどが昨夏以降、明らかになっている。遺族会は「合祀は靖国神社自身の問題」としてきたが、会長の古賀誠・自民党元幹事長は同日、記者団に「いろいろ世論がある中で、遺族会が逃げてばかりはおれない」と語った。…

 世界でも、日本の常識的な歴史認識にも相容れないと言える、靖国史観固執する限り、矛盾が拡大するだけであることを示しているとも言える。

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際限のない財界と政治の癒着はくり返される…

 今日は、朝刊と夕刊を見ていて、暗澹たる気持ちにさせられる。日本の政治は、かくも財界との強い癒着を断ち切れないものなのか。
 「政治改革」と称したことがすすめられた帰結は、3年前からの経団連による企業献金の斡旋の再開、それも、政党を政策で評価しての献金である。いいかえれば政策を金で買う買収にほかならない。企業による政治献金は、以降、野放しの状態に舞い戻ろうとしている。
 昨年来、その政治資金の「出」の問題の不透明さが、事務所費やあげくのはては水道光熱費という経常経費名目の不明朗さとして浮上した。その中身は、いっこうに明らかにしないで、政治資金規正法の「改正」なるもので決着をはかろうとされている。

 自民、「領収書」受け入れ 政治資金規正法案を提出へ(朝日新聞)  自民党は7日、政治資金管理団体の5万円以上の経常経費について、領収書の写しの添付を義務づける政治資金規正法改正案を今国会に提出する方針を決めた。同党内では領収書添付に異論が根強かったが、法改正に前向きな安倍首相の意向を受けた石原伸晃党改革実行本部長が同日、首相に添付を受け入れる方針を報告し、了承された。…

 しかし、だいたいここで規制する対象とされているのは、政治資金管理団体のみである。政治家の政治資金は、政党支部もあれば、後援会などその他の政治団体もある。ここに付け替えればすむだけの話であり、何の規制にもならないのではないのか。だいたい、領収書添付がうんぬんと言われるが、政治家は政治資金規正法を一度でも読んだことがあるのだろうか?現行の法律では、政治団体の会計責任者は、帳簿をつけ、明細および領収書を徴取することが義務づけられている。資金管理団体が、選管に報告するさいに、免除されているにすぎない。現行法でも、領収書はなければならないのだ!
 この点で、疑惑をもたれているというのに、上記のような「改正」案では、問題のすり替え以外の何ものでもない。

 そんなことに怒りを持っていると、今度は夕刊で、次のようなニュースだ。

自民、業界団体の選挙貢献度を査定へ 要望の扱いに差(朝日新聞)  自民党は、参院選に向けた業界団体の引き締め策として、同党への支援を数値化し、貢献度に応じて団体側の要望を政策に反映させる仕組みを導入することを決めた。執行部はすでに、党所属衆院議員らの貢献度を査定して人事に反映させる新たな党運営方針を決めているが、参院選対策での「成果主義」をより鮮明にすることで、票の上積みを図る。  執行部が検討している指標は(1)候補者への推薦の有無(2)団体役員による関連団体回りの実施(3)名簿や人員の提供(4)集会の実施数(5)党員獲得数――など。計約20項目を数値化し、貢献度をはかる。  対象となるのは運輸や食品といった約500の業界団体。医師会や漁連など比例区に組織内候補を出している団体についても「選挙区の候補者に対し、きちんと支援態勢をとっているか」などを材料に評価する。 …

 もちろん自民党の側からすれば、「構造改革」の推進による支持基盤の崩れという深刻な問題があろう。しかし、財界が政党を評価するというのなら、評価をする政党に、企業の側はもっと貢献しろと言っているともいえる。なんとも際限のない癒着の関係である。ここには、国民生活の改善などの視点は入ってこない。財界と自民党が一体となって、戦争する国に突き進み、格差を広げ、貧困を拡大する…。国民は、みずからが主権者であることを、選挙で、彼らに知らしめなければならない。

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2007/05/07

さらに一体化する日米同盟

 連休中には、さらにさまざまなことが起こっています。それが、連休だと言うことはメディアでも十分議論されていないというのは、重大事態でだと痛感します。
 たとえば、日米安全保障協議委員会「2+2」の開催です。
 防衛省のホームページにすでに、共同発表の文書などが掲載されています。http://www.mod.go.jp/j/news/youjin/2007/05/01.html
 ベースになる方向は、この間の、アーミテージ報告2をはじめとしたアメリカ側の文書とほぼ重なる内容でもあることも注目されます。

 「地域及び世界の安全保障に対する中国の貢献の重要性を認識しつつ、中国に対して、責任ある国際的なステークホルダーとして行動すること、軍事分野における透明性を高めること、及び、表明した政策と行動との間の一貫性を維持することを更に促す」「東南アジアにおいて民主的価値、良き統治、法の支配、人権、基本的自由及び統合された市場経済を促進するとの東南アジア諸国連合(ASEAN)の努力を支援し、また、二国間及びASEAN地域フォーラムを通じ、非伝統的及び国境を越える重大な安全保障上の問題についての地域の能力及び協力を構築する」「インドの継続的な成長が地域の繁栄、自由及び安全に密接に繋がっていることを認識しつつ、共通の利益の分野を進展させ協力を強化するため、インドとのパートナーシップを引き続き強化する」などなどです。

 軍事的な方向として、BMD=ミサイル防衛が突出して強調されています。SM3を搭載したイージス艦の配備や、PAC3の配備などがすすんでいますが、ここからも集団的自衛権の見直しの要求が垣間見えます。
 もう1つ注目されるのが、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)としても知られる、秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する両政府間の実質的合意」という項目です。すでにアメリカが結んでいるGSOMIAの内容を見ると、かなり人権の政権に向かうと考えざるをえません。それが、国会でも論議をされずにすすむことは重大だと言えます。
 すでに日本の軍需産業の分野では、自衛隊からの発注のさいには、この点での特約条項を設けることになっているそうです。関係する技術者は、誓約書を書かされるという話を聞いたことがあります。さらに、ここに、法律による罰則も加わってくるということでしょうか。軍事法制の体制が大きくすすむことも意味します。こうした点も、よく見ておくべき問題ではないでしょうか。

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タカ派の改憲案の姿

 ここのところ、話題になっているのが超党派のタカ派、日本会議の国会議員懇談会の改憲案です。
 自民党の古屋圭司衆院議員のブログに貼ってありました。
 「shinkenpotaiko.pdf」をダウンロード

 古屋議員と言えば、自民党のなかで、安倍晋三総理や中川昭一政調会長などとともに、タカ派の青年将校として、教科書問題や慰安婦問題で論陣をはってきた人物です。郵政民営化で党を離れましたが、安倍氏の強い希望で、復党が許されたという経過の持ち主です。

 さて、その内容とは、前文では、「伝統的な価値観」「国柄」を強調、「天皇の元首化」、「9条2項の削除と防衛軍の保持」「国防の責務の規定」などが盛り込まれています。基本的人権の項目では、「人権制限原理の明確化」「家族の保護規定の新設」、あげくのはてには「社会的費用を負担する責務」まで盛り込まれています。その一方で、男女平等の規定などは消えています。内容は、読んでいただくとして、基本線は、ほおむられた自民党の憲法改正大綱(案)などに似てなくもありませんが、より、タカ派の本音がにじみ出ていると言えます。
 民主党との共同提案を意識してか、自民党の新憲法草案が、かなりオブラートにくるんだ、新自由主義的なものであったのに対し、違いが鮮明です(もちろん、9条でも、基本的人権でも、大きは柱になる点ではある意味で同じと言えば同じなのですが)。教育基本法「改悪」などで、突出した姿を見せるようになった、タカ派は、政権内部でも、露骨にその姿を見せ始めています。歴史認識の問題などで、アメリカとの激しい矛盾をかかえているもの事実ですが、同時に、強い国家を望む、財界や支配層の要求にそった形で活動を強めているということもできます。

 こうした内容は、どう考えても国民の要求とは一致はしません。彼らの策動を許さないように、政権の中枢に巣くうタカ派の姿を暴露していく必要がありそうです。

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2007/05/06

安曇野ちひろ美術館

20070505132700 5日、長男と合流した後、松川村まで足をのばして、安曇野ちひろ美術館に行ってきました。長男との待ち合わせ場所に行くと、彼女も同伴です。電話では話したことはありますが、会うのは1年半ぶりですね。いっしょにお昼を食べて、少しおしゃべり。
 安曇野ちひろ美術館は、つれ合いは、開館直後に行ったことがあるのですが、私ははじめてです。ものすごく、込んでいるのに驚きました。子どもたちが小さかったころに、読み聞かせした絵本との再会が結構あって、そんな懐かしさもたくさんありました。ちひろさんの絵の源流や、彼女がどうした姿勢で社会と向き合ってきたのかなどもかいま見られる構成で、楽しい一時でした。

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これが最後かな

20070506084929 GWは、キャンプです。4日は、10時半ごろ出発。大きな渋滞にはまることはなく、2時半にはキャンプ場に到着。設営をし、少しのんびりして、温泉に行って、買い出しをして、そしてキムチ鍋をつつきます。それからは、読書タイム。少し風もあり、天気もよかったので、星空がとてもきれいで感動ものでした。
 5日は、朝7時までたっぷり眠って、それから朝ご飯。合流する連絡をしてきた長男を待つ間、ノートパソコンを持ち出して、1時間ほど仕事(苦笑)。長男が合流しての後は別項で。夜は、久々の焼き肉バーベキューとパエリア。また、温泉にいって、それから、長男をまじえて、おしゃべりです。二男もたまにお兄ちゃんと話せて、ご機嫌です。いやいやキャンプについてきたのは、このためでしょうか。
 6日は、だいぶ遅くまで眠って、雨のなか撤収です。朝、アパートに戻った長男も合流して、お昼にインドカレーを食べ、帰路に。帰りの車のなかでは、私は助手席で、ずっとパソコンに向かって…。さあ、明日から仕事です。
 もう、何度目の家族キャンプでしょうか。最初は、長男がたぶん小学校三年のころから行き始めたんでしょうから、13年目になるんでしょうかね。何十回と行ったことになります。写真のテントは、2代目、スクリーンテントも2代目です。もうすっかりボロくなりました。子どももさすがにあまり歓迎ではないので、これが最後の家族キャンプかもしれませんね。少し、寂しい感じもしますけど、まあ、学費がなくなりお金に余裕ができれば、ちゃんと宿にとまった旅行ですよね。それも楽しみですが。

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2007/05/04

今から山のほうへ

 連休は3日まで仕事に追いかけられ、このまま東京にいると、仕事から離れられそうにもありません。そんなわけで今から、長男の暮らす田舎の町ににとりあえず逃げます(笑い)。お金もないので、温泉の近くにテントをはっての生活です。それでもパソコンをもってですが。テントのなかで、パソコンに向かうことになるのでしょうか?では、では。

2007/05/03

ネットカフェ実態調査と若者のたたかい


 ちょっと暗い気分を明るくしてくれるのは、若者たちのたたかいです。先日から紹介しているネット・カフェ難民調査については、大手の新聞の多くが報道しました。 
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200704270379.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070427-00000135-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070425-00000506-yom-soci
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2007042701170
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070425i506.htm

 記者会見の資料は、ここにあります。http://briefcase.yahoo.co.jp/seinen_koyou_syukai
 調査から見えてものとして

1.青年の貧困が予想以上に広がっている
 一つ目の特徴は、お金がなくてアパートなどを借りられない。その状況から抜け出せない状況があるということです。従業員への調査では、全国のネットカフェで10人、20人という規模の「常連さん」(長期滞在する利用者)がいるという回答を得ました。
 利用される方への聞き取りでは、「会社をクビになり、ネットカフェ暮らしをはじめた友人がいる」(千葉)、「仕事をやめて2年近くネットカフェに住んでいる」(蒲田)などの実態が出されました。【ケース1】
 求人の多くが非正規雇用となり、安定した収入が得にくい状況のもとで、失業などをきっかけに人間らしい生活を奪われる可能性が、多くの青年にとって現実の問題となっています。
 また、「自己責任論」が広がるなかで、行政や政治によるサポートがうけられないことが、青年がこうした生活から抜け出すことを困難にしています。
2.非人間的な働きかたが見えてきた
 一方で、スーツ姿の労働者が多数宿泊しているという調査もありました。「夜はいつも満席。スーツをした人が半分。仕事している人や、毎日来ている人もいる」(大阪)、「今日の昼に緊急に出張を言い渡され、宿泊にネットカフェを使っている」(愛知)など、仕事が忙しくて家に帰れない、急な出張などで泊まらざるをえないといった青年が多数ネットカフェを利用していることも分かりました。【ケース2】
 野放しの「サービス残業」などの違法、人員削減、成果主義による締め付けなど、青年をモノのようにあつかう企業や職場の現実が、ネットカフェを通して見えてきました。 これは、私たち自身、予想していないことでした。
3.社会の中に青年の居場所がない
 加えて、フリーターなど不安定で低賃金の働き方をしている青年や、仕事がない青年にとって、社会や家庭の中に居場所もちにくいという状況があるもわかりました。
 「月収8万円。家に帰ると親に『なにしとったんや』といわれるので、ネットカフェによく泊まる」(奈良)「月収3万円。父親がいらいらしていることが多く、家に居づらい。将来、今の家に住みつづけられるか不安」(埼玉)などの声が多くきかれました。【ケース3】

 としています。

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4月29日という日

20070428134109 さて、少し前になりますが、4月29日は、今年から「昭和の日」になりました。ほとんど、まともな議論もなく、決められたこの日。戦前、明治節という祝日が決められたのは、明治天皇が死んでから17年目だったというのはご存じでしょうか。昭和の日が決められたのは平成17年で、ほぼ同じぐらいの時期にあたります。
 昭和の日ということに、違和感をもつ人は、多数ではなくても一定数はいるんじゃないでしょうか。戦争と侵略の時代と、その後の平和憲法のもとでの時代をひとくくりにして、記念し、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」というのですから、理性的に考えれば、違和感をもつのはおかしくはないはずです。
 しかも、この日をつくるために先頭に立った団体は、現在、「昭和の日」普及委員会というものをつくっています。
http://www.429jp.info/
というホームページがあるのですが、この団体の事務局がおかれているのが財団法人国民精神研修財団であることがわかります。やはり、その担い手は、皇室中心の日本という理念の持ち主であるのです。

 新聞は社説を掲げましたが、どれも、批判的なトーンはありません。実は、28日に、紀元節問題といわれた当時から2・11集会を主催している団体が、「昭和の日」を考える集いというのをおこなっていて、行ってきたのですが、おどろいたのは、メディアの取材がまったくなかったことです。テレビカメラも一台もない…。どうして、こうした問題をとりあげないのだろうか。少なくとも、議論がなされずに、ただ事実だけが積み上がっていくことは、空恐ろしさを感じてしまいます。そんな、重い気分になった一日でもありました。

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憲法の日です

20070503134843 憲法記念日は、ここ数年、記念の行事や集会に参加します。今年の全国憲法研究会という、憲法研究者の団体が主催する集会にいってきました。ネットぐらいでした告知がない集会ですが青山学院大学の大教室いっぱんの参加者でした。
 ゲストスピーカーとして、フリージャーナリストの斎藤貴男さんが講演。とくに新しい論点のようなものはありませんでしたが、まとめで話された、戦後の戦争責任を受けとめて、いまこそ9条の理念の実現をという訴えは、心に響きました。また、困難な時代に困難に直面したときの問われているのは生き方の問題という点も。
 憲法研究者のほうからは、専修大学の石村修さんの講演。国家による憲法であった明治憲法から、憲法による国家への変化、そのもとでの司法判断の変化、など国家と憲法との関係を立憲主義の立場で話されましたが、まとめでそのことと、現在の愛国心やナショナリズムの問題にひきよせて話されたことが、刺激を受けました。ここには、公と私の関係という立憲主義理解のうえでも重要なテーマが被さってきます。どうもよく整理ができないでいるのですが、何やら、関心を引き寄せられたテーマです。
 最初のあいさつで、森英樹さんが、アーミテージレポートなどにもふれながら、今ここにある改憲という問題提起を。そう、安倍首相は、昨日の記者会見でも、改憲に意欲を見せ、集団的自衛権の見直しの作業もはじまるといいます。

 日比谷のほうでは、5・3集会実行委員会の集会とパレードがありました。たぶん大勢の人が集まっていると思います。今日は、新聞も特集を組んでいます。朝日の特集などの読むと、少し、考えることがあります。テレビでも、ここ数日、いくつかの特集番組がありました。感想は連休明けにまとめて、紹介したいと思います。

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教育再生会議と「親学」

 最近のニュースでちょっと気になっているのがこれ。

<教育再生会議>親向けに「親学」提言 母乳、芸術鑑賞など(毎日新聞)

 政府の教育再生会議は25日、親に向けた子育て指針である「『親学(おやがく)』に関する緊急提言」の概要をまとめた。子どもを母乳で育てることを呼びかけたり、父親にPTA参加を呼び掛けるなどの内容。政府の有識者会議が家庭生活のマニュアルを示し提言をすることには会議内にも慎重論があるだけに、世論の評価は分かれそうだ。
 東京都内で同日開かれた主要メンバーによる運営委員会で示された。5月の第2次報告の前に正式発表する見通し。…
◇「親学」提言のポイント
(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児
(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない
(3)早寝早起き朝ごはんの励行
(4)PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す
(5)インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施
(6)企業は授乳休憩で母親を守る
(7)親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞
(8)乳幼児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施
(9)遊び場確保に道路を一時開放
(10)幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春期前までに社会性を持つ徳目を習得させる
(11)思春期からは自尊心が低下しないよう努める

 新聞の論調としては、大きなお世話って言うのが多い。まあそれはそうなのだが、一般的な受けとめはどうしても別れるような問題。家庭の教育力が必要というのは、一般論としては、否定されないような議論でもあるけれど、「親学」というのは、明らかに保守論壇から生まれた言葉でもある。つまり、古典的な性差による役割分担論や保守的な立場からの家庭・家族イデオロギーに少子化時代の子育て支援というものが重なりつつ、そこに道徳教育論と、受けからの規範意識注入という国家主義が微妙に重なり合って、議論されているという印象。ほっておけばきわめて反動的な議論を見過ごすことになるし、単純に議論すると、国民的な議論に分断を持ちこむことにもなりかねない。もともと、教育や子育てという分野で、人権だとか個人の尊厳だということが議論として不得手という経緯もあるだけに。
 んなわけで、90年代以降の、こうした問題の議論を少し勉強したいという欲求には駆られている。そんな暇があるのという気もしないではないが。

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2007/05/02

書きたいことが溜まっています

 ここ数日、ブログの書き込みが、滞ってしまったので、書きたいことが正直溜まっています。取材先で、結構、問題意識をもったこと。テレビやDVDの感想。本の感想。そして、日々起こっていること。4~6日まで、山になかにこもるので、そこでも書き込めないので、連休を前後して、ぼちぼち書き込むことになるのだろうが。まあ、生活し、仕事をしていて、飽きのこない、刺激的な経験はたくさんあるものだ。だから、おもしろく生きていれるんだろうけど。滞った最初は、土曜日、「昭和の日」の取材は、後日書くとして、夜中に、学童保育のOBの連中との年に数度の飲み会に参加した、そこで正直、つくずく思ったのは、私の周りにいた、この連中は、つくずくくそ真面目な連中であったということ。ハメをはずして、何度も朝まで飲んだけど、この7年ほど、強固なほど安定した学童運営にとりくんできた。
 父母会による民営の学童保育の運営としては、そんなにあることでもないし、先日、市と委託料の件で交渉した、父母の報告を聞いても、いまの現役の父母の見事なほどがんばっている。なかなか、自己肯定感の薄い、不安定な私のような人間も、こういう仲間のなかで、支えられ、生きていたんだなあとあらためて感謝気持ちも沸いてきた。

 などと思いながら、4時近くまで飲んで、最後のほうは記憶がないわけではないけど、かなり酔っぱらってました(笑い)。

「過去の克服」と愛国心

027760840000 大朝日の手による本だから、取材は幅広い。ドイツ・ポーランドの間のとりくみと現在の葛藤・緊張などの下りは、インタビューもふくめ十分読ませるし、日韓の間の強制連行・労働にかかわる遺骨収集の宗教者のとりくみなどは、興味深かったりもした。それだけに、本全体のできが、なぜこうも、薄っぺらいのかと正直がっかりしたというのが本音の感想だ。
 そのあたりは、最後のまとめに、あらわれている。その教訓を3つに提言しているのだが、あまりにも傍観者というか…。これが直接、戦争責任の当事者とも言える大手メディアが、こうした大型連載をした結果の結論なんだろうかと疑わせる。1つは、歴史と向き合うと名を打ちながら最後まで歴史の事実を検証するという作業を回避したことだ、だから、責任の所在も、原因も、その後の自体の問題の所在もあまりにも不明確のまま。2つめは、たとえば教訓で、善悪二元論に陥らないと言っているが、戦争の加害と被害の問題にしても、単純に二元論の問題性を客観的に指摘するだけでは問題の本質が見えてこないと思う。問題は、この加害と被害がメダルの裏表の関係にあること。つまり、被害としての戦争のもとにあるのも加害にあるのも、あまりにも人間の命、尊厳、権利というものが軽視され、虫けらのように扱われたこと。それが戦後に正面から、どちらも問いかけられなかったことにこそある。3つめは、現在の、偏狭なナショナリズムの背後にあるものにはまったくといっていいほど迫らなかったこと。ここ数年強まる偏狭なナショナリズムは、歴史認識という点でも、きわめて特異な性格をもつ。それはたとえば、かつての林房雄などの大東亜戦争肯定論などと比較しても明らかだと思う。とくに自民党の若手に跋扈するこうした議論になぜ切り込まなかったのか? 読後感は、あまりよくない一冊でもあった。

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