「自衛官は、人殺しの練習をしている」
今日、埼玉ではこんな一幕があった。
「自衛官は、人殺しの練習をしている」 上田・埼玉知事(朝日新聞) 2日行われた埼玉県の新規採用職員の就任式で上田清司知事が「自衛官は人殺しの練習をしている」と発言し、後に「適切ではなかった」と釈明する一幕があった。 発言は県庁職員としてのやりがいなど、使命感について触れた場面であった。「自衛官の人は、平和を守るために人殺しの練習をしている。警察官も、県民の生命や財産を守るために、人を痛めつける練習をする。だから我々は『偉い』と言って褒めたたえなければならない」と話した。 ……
上田知事は式の後で、「適切ではなかった」と言っているそうですが。
さて、この発言の問題は何かです。 「自衛官は、人殺しの練習をしている」というのは、一面として(実態として)は、当たっているということができるでしょう。しかし、自衛隊という組織が、「人殺しの練習」をするということは、法律のうえからがありえない話でもあるのです。なぜなら、日本は憲法上、交戦権がありません。したがって、自衛隊員による武器の使用ということも、自身の身を守るということに限定することを含め、2重3重の規制がこれまでかけられてきたわけです。それは、イラクにおける自衛隊の活動を見てもわかることですし、ましてや、イラク以外の自衛隊の海外での活動は多くの場合は丸腰です。それが、近年、アメリカ軍と一体となった活動が広がるなかで、武器使用の基準の緩和がおしすすめられようとしているのです。昨年、自衛隊法が「改正」されましたが、この時期に、部隊行動基準(ROE=海外では交戦基準という)の改定をしています。この流れの裏には、憲法「改正」で、自衛隊を「軍隊」にしようということがあるのは言うまでもありません。
つまり、「人殺しの練習をしている」というのは、自衛隊が「軍隊」であるということを認めよと言うことでもあるのです。あからさまに、改憲を主張するに等しい発言として、批判されなければならないと、私は思います。
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