土割の刻
少し空いた時間に、『土割の刻』という本のページをめくる。そう、田中昌人先生を偲ぶ教え子のつどい実行委員会の手による、追悼集といえるべき本である。田中昌人先生は、このブログでも何度か書いてきたが、発達保障理論をはじめ、生涯発達心理学、障害者教育学、発達診断学、教育権理論など幅広い研究領域に大きな足跡を残した。その弟子たちが、これらの研究を引き継ぎ、創造的に発展させる道を探る。先生の最後の講演も収録している。懐かしい人の名前もある。おそらく、このつどいに関われなかった弟子たちも少なくないのだろう。それにしても、この本で、多くの人から語られる先生の足跡の意味の大きさは何ていうものだろうか。私は、若いころ、現実の実践の弱点と理論のもつ深さとの区別がつかず、何となく図式的と単純に、斜めから見ていたりしていた時期もあった。なんと、浅い理解だったのだろうか。基礎というものを、法則と言うことを、ちゃんと、勉強していくんだった。もっときっちり、授業に出ておけば良かったと、後悔ばかりである。
胸が打たれるのは、先生の発達ということに対する、真摯で厳しい姿勢である。それは、人権ということに対する先生の姿勢そのものでもある。ああ、自分は、何をしているんだろうか、と、つくづく思う。もっと、真摯に生きなきゃなあ、と。
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