最近読んだ本から
ちょっとは体調は回復しただろうか? 今日は、無事、朝から仕事である。なんとか、ギリギリのペースで仕事をこなす。一応、大きな山場と言えるだろうか。
最近、あまり、本の感想を書き込んでいなかったので、最近読んだ本の感想を少し。
1冊は、元朝日の田岡俊次さんの『朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(朝日新書)。「北朝鮮の核兵器開発はどこまで進み、ミサイルの標的は日本なのか。中国の軍拡・近代化で、『台湾侵攻』は現実味を帯びるのか。極東軍事情勢を豊富なデータをもとに鋭く分析、日本人に取り付く『不安』の正体を明らかにする」という、内容。感想は、詳しくは、松竹さんのHPと同感なので、そちらででどうぞ。著者が言うように、現代の政治や外交を理解する上で、軍事的な知識は不可欠だ。そのうえでも、さすがに田岡さんの本は役に立つ。個人的に興味深かったのは、田岡氏の人となり。彼のまとまった本を読んだことがなかったので。そこから垣間見えるのは、彼の立脚点の危うさ。軍事に関しては、いうまでもなく、一級の情報なだけに、政府による管理は厳しい(ただ、実際には、案外そうでもない部分も日本は存在する――いろいろな回路で、情報を集めると、ここがたたかわない軍隊しかもたなかった日本でもあることはわかる=笑い)。それだけに、政府に近い、氏の議論の危うさがこの本からも垣間見える気がしたりする。
2冊目は、『戦争責任と追悼――歴史と向き合う』 (朝日選書 )。朝日新聞に連載したものをまとめたもので、この本の紹介も、松竹さんのHPに詳しい。東京裁判や靖国をめぐる論点を、網羅的に紹介していて、それだけで役に立つ一冊でもある。朝日には、豊さんなど優秀な記者は多い。それだけに自分の欠けていた知識を補充したり、頭のなかを整理するうえで、それなりに面白かった。アメリカの知識人の議論なども、アメリカが何を考えているかを整理する上でとりわけ役に立った。だけど、物足りないというのが、実感。あまりにも網羅過ぎて、一つひとつの論点に迫り切れていないというか、作り手の主張が見えないのだ。これは、読売の『戦争責任』に比べても、その内容上の是非は別として、強く感じる点である。ジャーナリズムとしての朝日のありようを象徴しているようにも感じてしまう。
3冊目は、魚住昭さんの『官僚とメディア』 (角川oneテーマ21)。この人の書いた『沈黙のファイル』などは、ジャーナリストが書いた本のなかでは、ダントツに秀逸と言えるもの。個人的には好きな書き手だ。まだ読み始めたばかりだが、共同のありようや彼が共同をやめるにいたった経過なども書かれている。俗っぽく言えば、ジャーナリストとしての生き様を語りかけてくるような内容にもなっている。田岡さんの本、朝日の本続けて読むと、どうしてんもジャーナリズムの今を意識して比較して読んでしまう。いま求められている批判精神とは何なのか。そして、ジャーナリズムに何が出来るのか。
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