全国学力テスト、参加しません。
今日は、午前中から、「緊急シンポジウム このままでいいのか 全国学力テスト」に行ってきました。犬山市教育委員会がつくった『全国学力テスト、参加しません』の発刊を記念してのシンポジウムです。犬山市の教育委員でもある中嶋哲彦さんからの問題提起のあと、教育評価が専門でもある松下佳代さん、そして教育社会学者の苅谷剛彦、藤田英典両先生の発言のあと、会場からも熱心な発言があいつぎました。足立、江戸川、東久留米、あいついだ東京の発言は、ここまできたかというほど重く、つらいものでした。
驚いたのは、神奈川の発言です。学校マニフェストという言葉を、正直、はじめて知りました。あとでネットで調べると、国立教育政策研究所の小松さんなどがさかんにすすめていて、各地でひろがっているようです。子どもの教師が、学び合いの中でつくる学校の教育活動が、マニフェストといった、あたかもサービスの約束のようなかたちで目標化されているのはおどろきですが、それが実際すすめられる中では、数値目標化していきます。その核心部分に学力テストが位置づけられるというのでしょう。
シンポジウムのあとで、現場の先生たち2人と食事をしました。教員評価だとか、学校の中での管理のことが話題になり、教師たちがやりたい教育活動への自由度が奪い去られているさまについて、話をききました。こうしたなかで、少なく教師たちの生きがい、使命感がもぎろとられている状況が手にとるようにわかりました。
さて、一方で、犬山のとりくみです。「全国学力テスト、参加しません。」このきっぱりした判断には、まったく拍手です。教育の常識から、どう考えても逸脱した、全国の悉皆学力テスト。これがまともな議論もなされず、犬山以外で(一部の私立をのぞき)実施されるのは、ほとんど理解できません。
競争は、犬山のめざす教育とはあいいれない。その核心部分には、「犬山の教育は犬山で」ということがあります。その、精神は地方自治にあります。そして、それは形だけではなく、中身として、犬山のめざす教育像として「学び合い」という理念、教育理論があり、そして、学校像がある。そういうことが、発行された本のなかからもよくわかりました。
ただ、それをふまえ、考えていることがあります。学校や教員への支援のあり方という問題です。いま、学校の困難、教員の苦しみの背景には、2つのことがあるように思えます。1つはいうまでもなく、行政による管理・統制の強化と競争による支配です。もう1つは、学校という領域だけでは、解決できないような問題が学校にもちこまれていると思います。消費文化ということや、格差の拡大の問題です。そのとき、学校や教員への支援はこれまででいいのかということです。その点が、父母などの学校・教員不信をときほぐことにはならないでしょうか。
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